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理不尽な上司に出会うと、その思考回路がよく理解できなくて困ったりしませんか?
たとえば仕事の良し悪し、人事の良し悪しがわからない。わからないからどう仕事をしても良いのかわからない。どう評価を上げれば良いのかわからない。一定の評価基準みたいなものも見えないし、以前言ったことと違うことを言ってたりしてもうわけわかんない・・・なんてことに。
だいたい、そういう状態に陥ると人は思考停止します。評価基準がその都度違ったり、前回言ったことが覆ったりすると、もう自分の頭では考えおよばないことだと認識して、脳みそを労働に使うことを避けるのだと思います。要するに“考えるだけ無駄”ということですね。
理不尽な上司がまとめる部署、会社を見ると、恐ろしいほど部下の人たちが自分で考えなくなっている事が多いのですが(ずっと中にいる人はわからないのでしょうが、外から転職してくるとそれがよくわかります)、それはおそらく自己防衛のためだと思います。
論理矛盾が発生していて、それでも一生懸命考えるんだけど答えが出なくなり、そのまま考え続けたらノイローゼになります。だから思考停止して、上司が言ったことをやるだけ、意見が変わってもその都度その都度「はい、はい」と頷くだけ頷いて、その場で一生懸命やるようにする。事前にも事後にも考えない。時に、「お前それちょっとでも考えればわかるだろ・・・」みたいなとんでもない行動をとる人がいるのですが、それはこういうカラクリなのだと思います。ある意味当然の流れですね。
でも、これがいけないと僕は思うのです。絶対に思考を止めてはいけません。思考を止めるということは人間が人間であることを放棄することだと僕は思っています。そうなった人は成長が止まります。自分でちゃんと自分の仕事について判断できない人、社会で通用すると思いますか?通用しませんよね。これでは転職も厳しいはずです。
そう、そうなんです。思考停止をしてしまうと、理不尽上司対策の最終手段である“転職”までもができなくなってしまうんです。自分の仕事がその組織の中でしか通用しなくなりますから。これではもう、不幸しか待っていません。幸せな会社生活を送るには、その上司が定年退職するまで待つことになります。
「でも、思考停止しないとノイローゼになっちゃうじゃないか」と思いますよね。それは、相手を買いかぶりすぎなのです。買いかぶって「上司がああいうのだから、正しいのだろう。考えがおよばないのは自分が至らないからだろう」と思ってしまって、論理矛盾を解消できなくなる。でも、そうじゃないんです。
理不尽上司の思考回路を観察するところまでは間違っていません。とても大切なことです。誤ってしまうのはその観察結果、分析した結果の結論なのです。理不尽上司はどうして言うことがコロコロ変わるのか?どうして仕事や人事の評価の軸がわからないのか?。答えは簡単です。そんなもの無いからです。はじめからそんなもの無いんです。コロコロ変わるのは、信念が無いからです。ブレない考え方がないからです。評価が一定じゃないのは、評価基準なんか持ってないからです。ただそれだけです。
要するに、全部その場の思いつき、感覚でモノを言ってるんです。困ったものですねぇ。お仕事なのですからブレてはいけませんし、ちゃんとした評価基準を持つべきです。評価するのが管理職の仕事の一つなのですから。ただ、そんなことを言ってもはじまりません。自分が上司になったときはそうしましょう。まずはそうなるために今を生き抜くことの方が大事ですから。毎日憂鬱になったまま仕事していてもうまくいくわけがないですし、うまくいかなきゃ昇進もありません。
じゃあ、どうしたら良いか。簡単ですよ。明確な評価基準がなくて感覚的なんですから、所詮ちゃんと仕事なんて見てないんです。だから、感覚に訴えるようにアプローチすればいいんです。簡単でしょ?根拠無く感覚的に判断する人だから、感覚的にわかるようにすればいいっていう、なんとも簡単なことです。
具体論にいきましょうか。理不尽上司は本当の意味での仕事なんて見てないんです。見ているのは感覚的に「頑張っているか」「優秀っぽいか」「従順かどうか」ということだけです。よくある「残業してる=一生懸命仕事している優秀な奴」っていうのはその典型です。
残業すると評価が上がるなら、残業すればいいんです。
ただし、そういう会社はおそらく慢性的に忙しいですね。すると多くの人が残業しているはずです。ただ「残業してる=一生懸命仕事している優秀な奴」となるということは、残業していない人もいるはずです。波だったり偏りがあるということですが、問題はそこではありません。全員が残業していようが、一部だけだろうが、理不尽上司は「残業している=偉い」だったのが突然「残業ばかりしやがって。人件費や管理費の無駄遣いだ」なんてことを言い出したりします。
惑わされてはいけません。よく考えてないだけですから、深い意味なんて無いんです。きっと、雑誌の特集や本で「優秀な上司は残業させない」なんてフレーズでも見たのでしょう。いまはそういう話もいっぱい転がっていますから。
これは理不尽上司に見られる特徴的な行動パターンの一つです。彼らは実は結構本を読み、TVを見て、偉い人の話を聞くのが好きです。成功した人の話が好きなのですね。自分も成功した気になるし、彼らが発した言葉を自分も発言すれば仕事が出来る人だと錯覚できますから。でも、本当の意味で成功者を観察や分析はしていません。表面的な、前後関係も考えないで言葉や態度だけを見事にコピーしてきます。まさしく、名言のコピペです。
何の根拠もなくそういう話にすぐに左右されるから言うことがコロコロかわるのです。だから理不尽になるのです。故に、そんなものに惑わされてはいけません。惑わされるのではなく、それを逆手に取って利用してやればいいんです。
つまり、「残業いっぱいやって一生懸命な部下」と「きっちり仕事をやって早めに帰るできる部下」の両方をやればいいんです。本来、これは両立しない話です。でも、理不尽上司のもとではこれが両立するんです。意見が変わるから。そしてどちらの意見も表面的なことしか見てない、たいして意味は無い発言だから。
やり方は簡単です。残業を偏らせるんです。本当は明日でも良いことを今日まとめてやって、明日は「ちょっと予定がありまして」なんて言って早く帰るんです。こうすると「お、いつも残業して頑張ってるアイツは、ちゃんと予定があるときは調整もできる優秀な奴なんだ」と思われます。本当はやっている仕事がそれほど量がないとか、実は明日にまわしているだけだとか、そんなことは見てないので関係ないのです。頑張っている、優秀っぽい、熱意があるっぽい“見た目”が大事なのです。
もし、毎日残業しなきゃ終わらないなら、休日出勤をするなりして平日の業務量を調整すればいいんです。休日出勤なんか嫌だと思いますが、たかが1日それをしないだけで一気に評価が変わるんです。将来の評価を得るために、どこかで頑張っておくその1日が休日出勤です(毎週休日出勤するのは大変ですけどね)。
ただ、もう業務量的にどうしようもないことはあります。本当に慢性的に忙しすぎるブラック企業ですね。そういう企業ではそもそも「残業している=頑張っている」とも思われないので(みんな残業しているから)、この手は使えません。でも、基本は同じです。感覚的にしか判断をしてないのだから、感覚的にわかるように行動すればいいんです。
例えば、ネットで仕事に関連するニュースを見つけたらそれを部署の全員に「これはもしかしたら、状況が変わるかもしれません」なんて一言コメントをつけてURLを送ってみるというのは有効です。「お、こいつ意識高いな?」と思われることが多いです。そんなことで?と思うかもしれませんが、理不尽上司はそんなことしか見てないんです。ネットなんか見てないで一心不乱に仕事をしている人のほうが本来は良いはずですが、そんなこと上司には見えないんです。評価する方法がわからないんです。だから表面的なことしか見えないんです。だったら、表面的な部分で見せればいいんです。
他の人よりちょっと多くやる、ちょっと早くやる、ちょっと違うものも加える、そんなことでいいんです。というか、そんなことしか見てないんです。ちょっと早ければ「仕事早いな」、ちょっと多ければ「効率いいな」、違うものを加えれば「違う視点があるな」ぐらいにしか見ていません。そのためには、まず何よりも「他の人より一歩早く手を付ける」ということが大事です。早く手を付ければ早く終わるはずですし、早く終われば量を増やすこともアレンジすることも可能なはずです。
皆が口頭で報告しているなら、簡単なメモを作ってみる、皆が言葉(テキスト・文章)で伝えているなら図を加えてみる、そんなものでいいんです。決して大それた、物凄い資料や仕事が必要なわけではありません。そんなことやるのは大変ですし、続かないですし、何よりも上司がそれを理解できなくて評価されません。ほんのちょっと、人より先に動けばいいんです。通常業務時間のなかで難しいなら、帰宅後に20分程度時間をとって調べ物をするとか、事前にメモを作っておくとか、そんなことでいいのです。そしてそれをさり気なく見せればいいんです。たったそれだけで良い評価が出ますから。