木枯らしの向こう側

扉を開けて、ただ歩きだす

今日はモノクロームの世界か

姿のない鳥の声が、必死に訴えかけ

生ぬるい風が、Tシャツを湿らせて

合図のように騒ぎ出した樹冠の

その先にある色を確かめたい衝動にかられる

枯渇した花のようにこうべを垂れた老人が静かにベンチに座り

耳に掛けたイヤホンを揺らす若者が空を見上げてその前を通り過ぎる

枯れ葉の豪雨の音が鳥の鳴き声を遮る

真実を描いたグラフティの壁側だけ身体が熱くなる

温かく巡る血の跡を辿った先には

モノクロームの向こう側が蘇る

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西丘塔子
最後までお読みいただき有難うございました!😊🙏