木枯らしの向こう側
扉を開けて、ただ歩きだす
今日はモノクロームの世界か
姿のない鳥の声が、必死に訴えかけ
生ぬるい風が、Tシャツを湿らせて
合図のように騒ぎ出した樹冠の
その先にある色を確かめたい衝動にかられる
枯渇した花のようにこうべを垂れた老人が静かにベンチに座り
耳に掛けたイヤホンを揺らす若者が空を見上げてその前を通り過ぎる
枯れ葉の豪雨の音が鳥の鳴き声を遮る
真実を描いたグラフティの壁側だけ身体が熱くなる
温かく巡る血の跡を辿った先には
モノクロームの向こう側が蘇る
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