走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹著 文春文庫
素直に生きる
33歳からマラソンを始めた村上春樹さん。誰かに走りなさいと言われたわけでもなく、走りたくなったから走り始めた。
小説もまた然り。誰かに書いてくれと言われたわけでもなく、書きたくなったから、書き始めた。
一般的に、何かを始めたくても、始めるまでに相当時間を要する人が多いと思う。私もまた然り。
人間は弱い生き物なので、忙しかったり、疲れたりしていると、まあ別に今しなくてもいいかと流されてしまう。
でも、いったん始めてみると、こんなに楽しいのに何をあんなに躊躇していたんだろうと感じることがある。
やりたいことがあるからやる。続けたいから続ける。ある意味、そのほうが自分の欲望に素直に生きている証なのかもしれない。
障害は何にでもついてくる
当たり前だけど、マラソンは長時間走ることだ。マラソンまでいかなくても長距離を走ったことがある人ならわかると思う。それは走り始めた時の状態は長くは続かない。
息が切れ始めたり、足が痛くなったり、喉が乾いたりする。そういう苦痛がはじまると、一刻も早くおわらないかと考え始める。そして、まわりの声援ですら鬱陶しく感じることがある(私は)。
最近、kindle本を初めて書いた。過去に1万文字以上の長文を書いたことはなかった。もちろん一日で書けるわけもないので、何日かに分けて書く。
本を書くのも、長距離走だ。村上さんの小説ほど長くないが、文章を書き上げるのも忍耐がいる。
本業が忙しくて書けないとき、疲れはてて体が動かないとき、体調が悪いときなど、書けない理由をあげたらキリがない。
書きたいのに書けないときもアイデアを拾いながら書く。ゴールに向けてひたすら書く。書く。書く。
自分のルールを守る
村上さんがサロマ湖100kmマラソンに参加した時、歩くこともできた状況なのに走ることにこだわった。
私は自分に甘いので、自分で決めたルールをすぐに破ってしまう。でも、ルールを守るには、どうすればいいかを考えるきっかけになった。
何かをコツコツ継続することは、すぐに効果は出ないけれど、続けていれば新たな世界が開けるに違いない。そう信じて、今日も机に向かっている。