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「アリスとテレスのまぼろし工場」@2023.9.15

先に挙げた、下記記事の「ミステリと言う勿れ」と一緒に観て来た「アリスとテレスのまぼろし工場」についても感想を。。


岡田麿里さん監督・脚本2作品目の本作。
これは、きっと少し前までの私たちの日常と、今の時代の‥
どこにいても息苦しい感じを表現した世界なんだろうな、と思った。

ある事情で、外界からも遮断され、時間の流れまで止まってしまった街で、ひっそりと息を潜めるように暮らす人たち。

全体的に暗いトーンで、そこに暮らす人たちの表情も暗い。
そんな中で、一番多感な時期を生きる少年、少女たちにスポットを当てた物語。設定自体はファンタジーなんだけど、めちゃめちゃ生っぽくて、リアルだった。

自分たちの気持ちに蓋をして過ごすには、どう見ても酷だとしか言えない年ごろの子たち。ヒリヒリと、その痛みが伝わって来た。

でも、そこに生きる大人たちだって、言葉にしないだけで‥
どうしようもできない不甲斐なさや、たくさんの怒りを抑え込んでいて‥。
今にも爆発しそうで‥
とにかく、見ていて、とても苦しくなった。

そんなところへ‥
1人の少女が現れる。いや‥
現れるというよりも、ずっと、ある場所に隠されていた。
ある大人のエゴの為に‥。

そして、その少女をきっかけに‥
その街に生きる人たちは‥

そして、一番に少年、少女たちは‥
とても、とても苦しい決断を迫られる。

世界が終ろうとするその時に‥
”人は何を選ぶのか”と、問われている作品。

大切な人たちと‥
もう二度と会えなくなる時に‥
”誰を選ぶのか”と、問われている作品。

ヒロイン、睦実が‥
その少女に言った、最後の言葉が、世界を救う。

「トンネルの先には、お盆だけじゃない。
いろんなことが待ってるよ。
楽しい、苦しい、悲しい…強く、激しく、
気持が動くようなこと。

友だちが出来るよ。
夢もできる。
挫折するかもしれないね。
でも、落ち込んで転がってたらまた、
新しい夢が出来るかもしれない…

だから、
せめて、
ひとつぐらい。
私にちょうだい。

正 宗 の 心 は、私 が も ら う」



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