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2024.09.26 「ノーベルファーマ v. 沢井製薬」 東京地裁令和5年(ワ)70178 ― ノベルジン®(酢酸亜鉛水和物錠)後発医薬品の製法は「(乾燥して造粒物を得る工程における)品温が40℃未満」を充足するか

Summary

本件は、ノーベルファーマが、酢酸亜鉛水和物錠の製造方法に関する特許権を沢井製薬が侵害していると主張し、沢井製薬の製品(ノーベルファーマの先発医薬品ノベルジン®の後発医薬品)の製造・販売の差止め及び廃棄を求めた事案である。

争点は、沢井製薬の製造方法が特許発明の構成要件「(乾燥して造粒物を得る工程における)品温が40℃未満」を充足するか否かであった。

東京地裁は、沢井製薬から提出された製造指図記録書等からすると、沢井製薬の製造方法は品温が41℃以上になることが認められるから構成要件を充足しないと判断し、ノーベルファーマの請求を棄却した。

また、裁判所は、傍論として、特許法104条に基づく製造方法の推定も成立しないと言及した。

一般に、製造方法に関する特許権は技術的範囲が限定されているため、第三者に回避されやすく、製品の独占的地位を確保するのが難しい場合がある。沢井製薬による後発医薬品の市場参入により、ノベルジン®のマーケットシェアはかなり浸食されていると推測される。


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