見出し画像

2023.10.04 「アストラゼネカ v. 日本ジェネリック・東亜薬品」 知財高裁令和5年(ネ)10012 ― 医療用医薬品シムビコート タービュヘイラーの形態の商品等表示該当性、混同を否定した不正競争行為差止等請求事件判決 ―

Summary

本件は、医療用医薬品シムビコート®タービュヘイラー®(控訴人商品)の形態と類似した形態の後発医薬品(被控訴人商品)を製造販売している東亜薬品及び日本ジェネリック(被控訴人ら)の行為は不競法2条1項1号の不正競争行為(周知表示混同惹起行為)に該当するなどと主張して、アストラゼネカ(控訴人)が、被控訴人らに対して、被控訴人商品の譲渡等の差止め及び廃棄を求めるとともに、損害賠償金の支払を求めた事案である。

知財高裁は、

  • 控訴人商品の形態は、不競法2条1項1号の「商品等表示」に該当するといえるために必要な「特別顕著性」及び「周知性」のいずれの要件も充足しないから、「商品等表示」に該当するとは認められない

  • 取引の実情に照らせば、控訴人商品と被控訴人商品につき、「混同のおそれ」があるとも認められない

ことから、被控訴人の行為は不競法2条1項1号の不正競争行為に該当しないとして控訴人の請求を棄却した原判決は相当であると判断した。

本稿では、控訴人商品の形態の商品等表示該当性を否定した判断がどのような観点に基づくものだったのか、また、混同を生じるおそれを否定した判断が医療用医薬品の取引事情のどのような点に基づくものだったのかについて、紹介する。



珈琲☕一杯分?の暇つぶしにいかがでしょうか。

※ 当記事は法的助言を与えるものではありません。全ての情報はその正確性と現在の適用可能性を再確認する必要があります。

ここから先は

17,469字 / 4画像

¥ 500

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?