2023.08.29 「P1 v. 全星薬品工業」 大阪地裁令和2年(ワ)12107 ― 顧問が共同発明者として認められた塩酸アンブロキソール徐放性OD錠職務発明相当対価請求事件 ―
1.はじめに
2015年7月10日に、職務発明制度の見直しを含む「特許法等の一部を改正する法律」(平成27年法律第55号)が公布され、2016年4月1日に施行された。
この法律改正により、職務発明制度を定めた特許法35条の「相当の対価」の表現が「相当の利益」に変更され、さらに、手続きが適正である限り、使用者と従業者があらかじめ定めた契約などが尊重されることとなった。
特許庁: 職務発明制度の概要(更新日2017年7月27日)
この改正を機に、企業では職務発明規程の再整備が進み、その施行から約7年半が経過した現在まで、職務発明に関する訴訟件数は減少してきたと思われる。
本件(大阪地裁令和2年(ワ)12107)は、法律改正前に生じた職務発明に関する相当対価請求事件であるが、医薬品の製剤研究から生じた職務発明について、発明者の適格性や貢献内容に争いがあり、これら争点において、裁判所がどのような判断を下したのかを理解することは、現在でも製薬企業における発明者認定の実務に有益と考えられる。
そこで、本記事では、本件で争われた原告の発明者の適格性と、共同発明者間での原告の貢献割合に焦点を当て、裁判所の判断を紹介する。
珈琲☕一杯分?の暇つぶしにいかがでしょうか。
※ 当記事は法的助言を与えるものではありません。全ての情報はその正確性と現在の適用可能性を再確認する必要があります。
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