見出し画像

【Q&A】スプーンの考案とペンの考案を、一つの出願で出せますか?

(Q)スプーンを持ちやすくするためのアイデアAで、実用新案を出願しようと思います。このアイデアAは、ペンにも適用できます。スプーンとペンを、一つの出願で出せますか?

(A)アイデアAの内容にもよりますが、一つの出願で出せることもあります。

<解説>
出願人間の公平の観点から、一つの出願に含められる考案が決められています。技術的な特徴が関連していれば、二以上の考案を一つの出願に含められます(考案の単一性)。特許にも同様の規定があります。

例えば、ある考案と、その考案になんらかの限定を加えた考案については、一出願が可能です。

<例>
✓「磁石を埋め込んだ人形」と「球形の磁石を埋め込んだ人形」は、一出願が可能です。
✓「磁石を埋め込んだ人形」と「磁石を埋め込んだウサギの人形」は、一出願が可能です。
(ただし、磁石を埋め込んだ人形が、公知でないとします。)

なお、技術的な特徴が関連しない考案を、まとめて一出願にしてしまうと、特許庁から、補正指令が出されます。これに対して応答ができないと、出願は却下されます。つまり、実用新案登録されません。


さて、今回の事例ですが、これは、上記例と少し異なるので、以下のように2つの考え方があります。

①スプーンとペンは、物として全然違うので、一出願にできない。

この考え方は、ある意味、有力です。特に、特許庁としては、審査効率から、一出願にしてほしくないと考えるかも知れません。スプーンとペンでは、担当する審査官の部署が異なるからです。

特許で一出願にできないなら、実用新案でも、一出願にできないということになります。

②アイデアAが、技術的特徴として同じであるので、たとえスプーンとペンでも、一出願にできる。

この考え方も、もっともです。ただし、アイデアAが、単に表現として同じというだけでなく、技術的特徴として同じであることが重要です。

また、②をサポートする考え方として、こういう考え方もあります。

「アイデアAを有する器具」と「アイデアAを有するスプーン」は、一出願が可能です。器具を、スプーンに限定した、と考えられるからです。同様に、「アイデアAを有する器具」と「アイデアAを有するペン」は、一出願が可能です。

そうすると、「アイデアAを有するスプーン」と「アイデアAを有するペン」も、一出願が可能と言うべきでしょう。


後半は難しくなりましたが、いかがでしたでしょうか。
弁理士に相談・依頼すれば、一つの出願にできるかどうか、的確にアドバイスしてくれます。

<余談>
よく審査官は、『一出願にできないほど、まったく違う発明』を例示する際に、『ゲタと飛行機(は一出願にできない)』ということがあります。

しかし、上記事例からもおわかりのように、ゲタと飛行機を一出願にできる考案もあり得ると言えます。それは、どんな考案か?そんなこと考えてみるのも、頭の体操にはいいかも知れませんね。

最後までお読みくださりありがとうございました。

●YouTubeで音声でもご覧いただけます

●元ブログ(+αの情報あり)

https://www.tokkyoblog.com/archives/14616902.html

********************************
【PR】個人様・社長様に特化&元特許審査官が運営する特許事務所!
「おすすめの特許事務所」「おすすめの弁理士」を目指します!
そんな東雲特許事務所(しののめ特許事務所)へのお問い合わせは、
お気軽にこちらからどうぞ!
https://www.patande.com/お問い合わせ/
(↑お問い合わせフォームが開くだけですのでご安心ください。)
********************************

東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営

いいなと思ったら応援しよう!