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特許の書類に請求項を複数記載する理由と特許調査【リライト版】

(Q)特許の書類には、請求項を複数個記載することが多いようです。
なぜでしょうか?
 特許の書類:特許請求の範囲(実用新案登録請求の範囲)

(A)さまざまな理由があります。
主な理由の一つは、広い内容から狭い内容までいくつか記載しておく
→どの部分で特許になるか(有効な権利になるか)がわかることです。

<補説>
以下、特許について説明します。実用新案についてもほぼ同様です。

【請求項1】限定の少ない広い内容。課題を解決する最小限の内容
 :
【請求項n】限定の多い狭い内容。より効果のある内容。

■審査結果との関係

審査結果として、例えば、こういう場合があります。
✔請求項1、2は特許にならないが、請求項3~nは特許になる

広い内容から狭い内容まで請求項を作っておくことができます。
どの程度限定すれば特許になるかがわかりやすくなります。
審査結果に対して、1回応答するだけで、特許にすることができます。

実用新案の場合も、同様に考えることができます。
実用新案技術評価書で、どの請求項が権利として有効かがわかります。

■さらに補足3点

■(1)請求項は単にたくさん作ればいいというものではない

上記理由の請求項は、単に多く作ればいいというわけではありません。
(請求項を作る理由は他にもあるので一概には言えませんが)

一般に、ある限定をすれば、その発明の内容(範囲)は狭くなります。
特許の可能性が上がるような限定でなければ、意味がありません。

例えば、次のような事項を請求項に記載したとしたとします。
特許の可能性を上げることにはあまり役立たないかも知れません。

・用途(・・・用の・・・)
・効果(・・・の効果がある・・・)
・あまりに具体的な設計的な事項(例:位置や数値など)

一つのポイントとしては、
✔効果が追加されるような限定事項を請求項に記載するとよいでしょう

■(2)限りなく限定しても、必ずしも特許になるとは限らない

発明の内容を限りなく限定しても必ずしも特許になるとは限りません。
(この点は説明したらキリがないので、別記事にします)

どのような限定が必要か?どのような限定が効果的か?
こうした点は、弁理士(特許事務所)に相談されるとよいでしょう。

■(3)特許調査

上記(2)とも関係しますが、本記事で最も重要なのはこの点です。

請求項を多数作るのは、言ってみれば「結果待ち」ということです。

審査官による審査結果がどうなるか?
どのような先行特許を見つけて、どのような審査結果が出るか?
それがわからないので「すべり止め」を作っておくようなものです。

もし事前に、どのような先行特許があるのかわかれば、どうでしょう?
効率の良い請求項の作成が可能です。

受験の例で言えば、模擬試験を受ける(特許調査する)ことです。

受験校選びが効率的で、むやみに「すべり止め」を受けずに済みます。
また模擬試験の結果、受験が難しいと分かれば、別の対策も取れます。

特許で言えば、特許調査を行うことで、
✔より特許になりやすい書類にすることができます
✔さらに改良を重ねてから特許出願を行うこともできます
✔アイデアをノウハウ化(秘匿化)することもできます

特許出願は、受験と違って、やり直しはきかないのです。

■いかがでしたでしょうか

(3)で説明した特許調査は、行わないこともあるでしょう。
出願を急ぐ場合や、権利取得の目的などによります。

✔お客様の目的に応じて、どのような特許戦略を立てるか?

弊所では、ていねいにご説明し、納得頂いた上で手続きを進めます。
あなたと弊所の双方に(さらに審査官も)メリットがあると考えます。

<元記事>
【Q&A】請求項を複数記載する理由と特許調査(2016年02月13日執筆)

<関連記事>当ブログのリライトについて
特許の過去記事をリライトします&YouTubeも【1文1行ブログ】

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●元ブログ(+αの情報あり)

https://www.tokkyoblog.com/archives/89535342.html

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