国内優先主張出願で新規性喪失の例外の手続きを失念した場合の最善策
本記事は、国内優先を主張した特許出願で、新規性喪失の例外(30条)の手続きを失念した場合の対応についてです。
現実的に起きるかは別として、備えあれば憂いなしで、頭の体操にもどうぞ。
<事例>
①特許出願:内容a(新規性喪失の例外の手続き)
②特許出願:内容a、b(①を基礎とした国内優先。新規性喪失の例外の手続きを失念)
新規性喪失の例外の適用を受ける旨の記載は、「出願と同時に」行わなければなりません。
具体的には、願書にその旨を記載します。
「同時に」ですので、願書の記載を失念した場合、願書の補正等、事後的に直接対応することはできません。
特許的な不利益を受けないためには、どうしたらいいでしょうか?
以下の2つの対応が考えられます。
●対応1:②を取り下げて出し直す
②を取り下げて、以下の②’を出すという手があります。
②’特許出願:内容a、b(①を基礎とした国内優先。新規性喪失の例外の手続き)
②の出願に不備があったのですから、それを取り下げて出し直すというのは、自然に思いつく対応です。
しかし、この対応1では、内容bについて、新規性・進歩性の判断の基準日が、②’の時点に繰り下がってしまいます。
●対応2:②はそのままに、もう一つ特許出願する
②を取り下げずに、以下の③を出すという手があります。
③特許出願:内容a、b(①、②を基礎とした国内優先。新規性喪失の例外の手続き)
②についても国内優先権を主張しているところがミソです。
これなら、内容bについて、新規性・進歩性の判断の基準日は、②の時点を維持できます。
事例1との比較では、事例2の方が合理的と考えられます。
●弁理士や特許庁に確認する
なんらかのミスや疑問点があった場合、ネットで調べるよりも、弁理士や特許庁に確認することが確実です。
対応2は、現時点では最善と考えられますが、取り扱いが変わることや、さらによい方法が見つかるかも知れません。
このnoteでは、さらによい方法が見つかった場合、記事の内容を加筆するか、新たな記事を作成します。
●最後にCM
上述したように、お近くに弁理士がいると安心です。
特許庁に確認する際も、弁理士が確認したほうが、確実です。
さらに言えば、すでに現在お近くに弁理士がいる場合でも、弁理士の数を増やせば、より多くの提案が得られる可能性が高まります。
ミスの対応に限らず、通常の実務(出願手続き、拒絶理由対応、特許侵害の判断など)でも、最善の対応が可能になる可能性が高まります。
弁理士(特許事務所)はその専門性から、少なからず得意分野と不得意分野があるものです。
例えば、弊所は、一部の訴訟や意匠については、必ずしも万全ではありません。
弊所の取引先や顧問先にも、他の弁理士や弁護士を身近に置くことを提案しています。
少しでもお役に立つ部分があれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営