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特許を取れば同じアイデアのものはすべて権利を主張できるか?【リライト版】

(Q)ある商品を開発したので、特許を取りたいと思います。
特許の出願書類には、この商品の説明をしていけばよいのでしょうか。
特許を取れば、同じアイデアのものはすべて権利を主張できますよね。

(A)出願書類にその商品の説明のみしかないとします。
その場合、特許の権利も原則としてその商品のみになります。
質問の条件や趣旨があまり明確ではありませんので以下補足します。

<解説>
特許(や実用新案)の出願書類は、商品の取扱説明書ではありません。
アイデア(発明)を説明するものです。

以前、このブログでも書きましたが、
✔アイデアと具体的な商品とは、必ずしも1:1ではありません。
✔多くの場合、アイデア:具体的な商品=1:多です。

特許の出願書類には、アイデア(発明)を説明します。
具体的な商品は、そのアイデアを説明する際の、一例に過ぎません。

例えば、有名なアイデア商品として「洗濯ネット」で説明します。

あなたが洗濯ネットを考え出したとしましょう。
これで特許(や実用新案)を取得したいとします。

その際に、具体的な洗濯ネットのみの説明に終始したとします。
その特許は、その具体的な洗濯ネットのみの権利となります。

例えば、以下のような内容を具体的に権利請求したとします。
✔ネットを保持するフレーム部分の材質
✔ネットの大きさ
✔ネットの形状
など

この場合、特許はその具体的な内容のみの権利となります。

では、洗濯ネットとは、どんなアイデアなのでしょうか?
パッと思いつくのは・・・

・水に浮かぶこと
・水が網目を通過するときにゴミを拾えること
・ゴミが再び水に戻らないこと
などでしょうか。

特許の出願書類では、これらのアイデアを、説明していきます。
別の言い方をすれば、
✔課題を解決するための必須の構成要件のみを説明します。
(課題:洗濯機内のゴミを取りたい)

アイデアの必須の構成要件のみを記載することがポイントです。
これで特許を取得できれば、最も広い権利となります。

その構成を含む洗濯ネットであれば、すべて権利を主張できます。
つまり、質問者の言うとおり、
「同じアイデアであれば、どんなものでも権利を主張」できます。

★補説
少しややこしいですが、
✔特許の出願書類はアイデア(必須の構成要件)を説明する
そのために、
✔具体的な商品の構成(必須の構成要件以外も含むもの)を説明する

このように一例として説明することはもちろんあります。
ただ、特許の書類は、具体的な商品の説明自体が目的ではありません。

以上、アイデアと具体的な商品との関係を、イメージで説明しました。

実際、特許の出願書類には、
①権利を請求する部分と、
②その詳細な説明をする部分があります。

②には、具体的な商品の説明を例示することができます。
①と②のそれぞれに、最適な書き方があります。

より詳細は、特許公報をご覧いただくか、弁理士にご相談ください。
ご参考になれば幸いです。

<元記事>
【Q&A】特許を取れば、同じアイデアのものはすべて権利を主張できますよね。(2014年12月29日執筆)

<関連記事>当ブログのリライトについて
特許の過去記事をリライトします&YouTubeも【1文1行ブログ】

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●元ブログ(+αの情報あり)

https://www.tokkyoblog.com/archives/89973354.html

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