特許請求の範囲(請求項)に「等」「など」と記載しても大丈夫か?【リライト版】
(Q)まずは自分で特許の出願書類を作ってみたいと思います。
最終的に弁理士さんのお世話になるかも知れませんが・・・
【特許請求の範囲】の【請求項】で発明を特定する際の質問です。
「等」「など」と記載しても構いませんか?(以下、単に「等」)
(A)記載しないほうがベターです。以下のように考えましょう。
特許請求の範囲(請求項)の記載が不明確だと特許にはなりません。
特許の権利範囲が不明確だと第三者に不測の不利益を与えるからです。
「等」の記載は、それ自体が悪いというわけではありません。
「等」によって不明確になる場合は、特許にならない悪い書き方です。
また基本的には「等」を使わずとも、発明を特定することは可能です。
■いくつかの記載例
(例1)
【請求項1】
・・・の上面を覆う金属板やガラス等と、・・・
これは「等」の範囲が不明確ですので、NGです。
(例2)
【請求項1】
・・・の上面を覆う金属板やガラス等の硬質部材と、・・・
これは「等」が悪いというよりは、「硬質部材」が不明確です。
どのような硬さのものが含まれるのか、わからないからです。
(例3)
【請求項1】
・・・の上面を覆う金属板やガラス等の上面被覆部材と、・・・
これは、OKだと考えます。
(例1)や(例2)と不明確さは変わらないように見えます。
ただ、上面を覆う部材であることは明確です。
金属板やガラスが例示されています。
ただこれは、上面被覆部材の材質は、限定しないということです。
つまり、以下の(例4)と同じです。
(例4)
【請求項1】
・・・の上面を覆う上面被覆部材と、・・・
この(例4)でしたら、OKであると納得される方も多いと思います。
「等」を使わずとも、発明を特定することは可能なはずと述べました。
(例3)(例4)がその一例です。
■例は明細書に記載する
あなたの発明が、上記(例3)で特定できたとしましょう。
この場合、次のようにするのがよろしいかと思います。
✔特許請求の範囲の請求項には(例4)のように記載する
✔例の金属板やガラス等は、明細書に記載する
そもそも、例を記載する理由は、なんでしょうか?
発明の内容がわかりやすくなるからではありません。
将来的に、その内容に発明を限定する可能性があるからです。
いわゆる、拒絶理由通知時の補正の根拠です。
請求項に記載して、不明確と判断されるリスクを負うのもなんですね。
明細書のほうに記載しておくのがよろしいかと思います。
とはいえ、請求項にあまりに抽象的な記載をするのはよくありません。
例えば、こういう記載はあまりよくないと思います。
✔請求項に「第一手段」のような「何とでも解釈できる」ような内容
✔明細書で「第一手段は・・・でもよい」などと「後付け」で定義
このような記載は、
✔審査官が苦労するだけでなく、
✔結局、出願人(権利者)自身が最も困ることになります
何とでも解釈できる記載は、結局、何にも解釈できないのと同じです。
つまり、何も記載されていないと同じとも言えます。
そうなるリスクが大きいからです(この点は、別の記事で)。
■特許事務所へのご依頼もご検討ください
いかがでしたでしょうか。
上記(例1)~(例4)は必ずしも最適な例ではありません。
発明の内容や技術分野によっては、判断が変わる場合もあるでしょう。
詳細は、特許事務所(弁理士)にご相談ください。
なお、特許事務所に依頼時には、あなたのアイデアを伝えますね。
その際には、本記事のようなことを意識する必要はありません。
ご参考まで。
<元記事>
【Q&A】特許請求の範囲(請求項)に「等」「など」と記載しても大丈夫ですか?(2016年11月07日執筆)
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