特許の出願書類の書き方2.0~ご自身で特許の書類を作成する方へ(後編)
特許の出願書類の書き方について、個人の方と専門家の比較をしてみたいと思います。
本記事では、特許の権利範囲を定める「特許請求の範囲」の書き方です。
さらに、少しバージョンアップした書き方もお伝えします。
ちなみに、世の中に、なんとか2.0という表現があります。
由来はプログラムなどのバージョンですね。
Ver1.0がアップデートがされるとVer2.0になります。
<特許出願書類の書き方>
✔①個人の方(個人発明家の方)
✔②特許の専門家
✔③特許の専門家2.0
■①特許出願書類の書き方(個人の方)
特許の出願書類の書き方で、個人の方に多いのが、
✔「アイデア品」を言葉で表現することです。
「特許請求の範囲」に、具体的な商品(アイデア品)を事細かく書いてしまいがちです。
その商品だけを特許で守れればいい、という考え方はわかります。
ただそれでは、細部をちょっと変えられただけで、特許で守れなくなります。
例えば、アイデアが同じでデザインが異なる商品を、他者に作られてしまうおそれがあります。
ある商品を特許で守るためには、その商品だけの特許を取ればいいというわけではありません。
■②特許出願書類の書き方(特許の専門家)
特許の出願書類の書き方で、一般に特許の専門家が行うのは、
✔「発明」を言葉で表現することです。
ある具体的な商品があるとしても、「特許請求の範囲」には、その商品に内在する発明を記載します。
具体的な例はここでは示しませんが、弁理士が書いた特許の書類をご覧になってください。
ちなみに、この発明を表現する際によく言われるのが、
✔不要な要素を除外する
✔上位概念化する
ということです。
これはあくまで「発明を表現する」という目的のために、結果的にそうなっているだけです。
手段と目的を逆にしてはいけません。
例えば、上位概念化(例えば、「ゴム」を「弾性体」にするなど)それ自体を目的にするべきではありません。
■③特許出願書類の書き方(特許の専門家2.0)
特許の専門家で、こういう書き方をすることがあります。
それは、
✔「特許になる発明」を表現するということです。
次のようなことを意識します。
✔他の特許・先行技術との違いを明確にする。
特許の出願書類は、どんなにうまく書いても、後からできることには制約があります。
例えば、出願書類に記載されていない新規な事項を、後から追加することはできません。
つまり、審査結果(拒絶理由通知)が来てからでは、うまく対応できないことがあります。
審査結果によっては、特許の権利範囲が狭くなりすぎたり、特許が取れないこともあります。
そこで、予め、他の特許・先行技術との違いを意識して、特許の出願書類を作成することが有効です。
そのために、予め十分な先行技術調査(先行特許調査)を行います。
調査結果を活かして、特許出願書類を書くことができます。
■弊所の対応
弊所でも、特許を出す前に十分な先行技術調査(先行特許調査)を行います。
調査結果を活かして、特許出願書類を作成します。
このような対応を、本記事では、あえて2.0と書きました。
どこまで一般的かは、なんとも言えません。
弊所としては、ちょっと難しいなという仕事を続けていれば、
✔お客様のムリ・ムダ・ムラな特許を防げる
✔弊所が末永くサービスを提供できる
そんなふうに、win・winになれるのかなと思っています。
■個人の方でご自身で特許の書類を作成する方へ
本記事の内容は、こういう傾向があるというだけで、個人の方がすべて①に当てはまるわけではありません。
弊所では、個人発明家の方の案件を多数扱っております。
わたしが審査官だったときには、個人の方の特許や実用新案の審査もしてきました。
そのためか、個人の方の特許出願書類が自然と目に入ります。
①の書き方は、目立ちやすいですね。
個人の方でご自身で特許の書類を作成する方は、②、③をぜひ参考にしてみてください。
●YouTubeで音声でもご覧いただけます。
●元ブログ(+αの情報あり)
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東雲特許事務所(しののめ特許事務所)
弁理士 田村誠治(元特許庁審査官)
【東京都港区新橋】【東京都中央区八丁堀】【東京都北区田端】
【稀有な経歴】特許技術者→特許庁審査官→特許事務所運営