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請求項の長さについて~冗長な請求項は必ずしも悪くない【リライト版】

特許や実用新案の出願書類における【請求項】の書き方として、
✔長い請求項は良くない
という議論があります。

これは本来、次のような意味です。

発明とは、課題を解決するための手段です。

特許を最も広くするためには、
✔課題を解決するために「必須の構成のみ」
を、請求項に記載します。

ある課題を解決するために、ある装置にa、b、cが必須とします。

これで、a、b、c、d、eの5つの構成を請求項に書いてしまう
→d、eが必須となる分、特許は狭くなります。

「長い請求項は良くない」というのは、このようなケースです。
本来必須のa、b、cについては、いくら長くても構いません。


以上は、ごく一般的な話しです。
以下、請求項の記載が長くてもいい別の事例について説明します。

ある発明に必須の構成が、a、b、cの3つだとします。

a、b、cの3つとa、b、c、dの4つが発明として同義とします。

つまり、dは、必須でもオプション的な要素でもないケースです。
敢えて言えば「冗長な」要素です。

この場合、請求項にdを書くと、形式的には請求項は長くなります。

<例>
a: 数式1=数式2
b: 数式2=数式3
c: 数式3=数式4

d: 数式4=数式1

このような場合、a、b、cの3つだけで、発明を特定できます。

a、b、cの3つだけで書くのが「玄人受け」すると言えます。
データベースの用語で言えば「正規化」された請求項の記載です。


上記例で、たしかに、dを書くのは、冗長です。

ただ、ここで重要なのは、
「dを請求項に記載しても、狭い特許にはならない」
という点です。

この点で、必須ではない構成を記載することとは、全く異なります。

この例では、dは、記載してもしなくても同じということになります。
(玄人受けの点を除けば(笑))

もし、dを記載した方が、発明が明確になる
→むしろ、dを記載した方がいいのではないかと思います。

以上が、長い請求項が必ずしも悪くない、一例です。


<余談>
同じ「冗長」でも、審査官がかなり嫌がる冗長さがあります。
それは、拙い翻訳文の冗長さです。

在外法人の案件によく見られますが、審査官の心証は非常に悪いです。
現行法では、必ずしも逐語訳にする必要はありません。
技術的に理解できる出願書類にすることが望まれます。

<元記事>
請求項の長さについて ~冗長な請求項は必ずしも悪くない!(2015年08月25日執筆)

<関連記事>当ブログのリライトについて
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