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人から無断学習と、AIから無断学習、どっちが悪い?

「生成AIにおける学習データの透明性と信頼性!」
PDFでおなじみのAdobeは学習データについてこう述べています。

Adobeは学習データを公開することで透明性を確保しています。
たしかにこれなら著作権の侵害にはならないでしょう。

他の生成AI事業者はどうでしょうか?
今回ご紹介する事例で、著作権の知識も身につきます!

■人から無断学習と、AIから無断学習、どっちが悪い?

こんな事例を考えてみましょう。

A社:人から無断学習(ネット上のあらゆる著作物を無断学習)
B社:AIから無断学習(A社の生成物のみを無断学習)

実在する会社を想定していません。著作権の勉強のための事例です。
この場合、問題となるのはA社でしょうか?B社でしょうか?

■結論

著作権法上、問題が生じる可能性があるのはA社です。

B社は問題が生じる可能性は低いです。
なお、B社に問題が生じるときは、A社にも問題が生じます。

■A社について

✔①A社のAI生成物は、他者の著作権を侵害するおそれがある
✔②A社のAI生成物は、著作物ではない

①はAIの生成方法にもよります。
ただ、生成物を生成する以上、避けられません。

②については、AI生成物は著作物ではないと考えるのが自然です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
「AI生成物に著作権」のニュースを見るときの予備知識

A社は他者の著作権侵害のおそれはあるが、自社は著作権を持たない。
①と②の関係は少し皮肉ですね。

■B社について

✔③B社のAI生成物は、A社の著作権を侵害するおそれはない
✔④B社のAI生成物が他者の著作権を侵害する唯一のケースとは?

③:上記②のようにA社は著作権を有しません。
A社の著作権を侵害するおそれはありません。
冒頭のAdobeの例でもおわかりかと思います。

④:ただ唯一、B社が著作権を侵害することもあります。

それは、A社が著作権を侵害するような生成物を生成したときです。
そして、B社がそのような生成物を学習したときです。

この場合だけは、B社がだれかの著作権を侵害するおそれがあります。

例えるなら、
ピッチャーからグラスに注いだワインに毒が入っていた
→グラスに毒なら、ピッチャーにも毒が入っていたとわかる
→グラスに毒なのに、ピッチャーは無毒ということはあり得ません。

この点もA社にとっては皮肉な結果になっています。

本記事は実在する会社を想定していません。
またその他の規約など(AI生成物の扱い方)も考慮していません。

世の中では「蒸留」という言葉が用いられています。
本記事では、蒸留の理解や、著作権の勉強になれば幸いです。

<関連記事>
「AI生成物に著作権」のニュースを見るときの予備知識

●YouTubeで音声でもご覧いただけます

●元ブログ(+αの情報あり)

https://www.tokkyoblog.com/archives/90013021.html

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