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請求項の記載と同じ内容が明細書に記載されていれば実施可能要件を満たすか?【リライト版】

(Q)【請求項1】Aを用いてBを実行することを特徴とする○○装置。

わたしの発明は、
✔Bを実行するにあたり「Aを用いて」の部分が発明のすべて
✔Aを用いてBを実行する○○装置のすべてについて特許を取りたい

つまり、Aを用いて「どうやって(How)」Bを実行するか?
この点についてまで、発明を限定したくはありません。
限定する必要もないと考えています。

このような理解でよろしいでしょうか?
なにか注意すべきことがありますか?

(A)発明の具体的な内容によって、一概には言えません。
ただ、多くの場合、以下のようにお考えください。

✔特許請求の範囲の【請求項1】については、これで大丈夫です。

✔明細書の記載については、これでは不十分な場合があります。
単に請求項と同じ内容を記載するだけでは、不十分な場合があります。

<解説>
特許請求の範囲については、
✔Aを用いているものすべてについて権利化を目指せます。

✔「Aを用いて」の部分が発明です。
「どうやって」Bを実行するか記載しなくても、問題ありません。

ただし、明細書については、
✔当業者が「どうやって」Bを実行するかを理解できないと問題です。
実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)を満たさない!
そう判断されることがあります。

実施可能要件を満たすためには、どうするか?
「どうやって」の内容が、次のいずれかである必要があります。

①「どうやって」の内容が明細書に記載されている。
②「どうやって」の内容が明細書に記載されていない
→しかし、記載されていなくても、当業者には理解できる。

②を期待して明細書に記載しないのは、リスクがあります。
①の「どうやって」の内容を記載しておくほうが、無難と言えます。

「どうやって」の内容は、少なくとも一例を示します。
特許請求の範囲の全体について実施可能要件を満たすことが多いです。
(そうでないケースもあります。別の記事で述べます)

■実施可能要件の拒絶理由の対処

では、実施可能要件違反の拒絶理由通知が来たときは、どうするか?

(対処1)明細書に記載されていて、審査官が①を見落としている
→見落としていることを指摘します。
(対処2)明細書に記載されていなくて、②である
→その旨を主張します。

以上が無理なら、このままでは拒絶理由を解消できないので、
(対処3)特許請求の範囲を補正することになります。

(対処3)は、最後の拒絶理由のときには難しい場合もあるでしょう。

その場合は、
(対処4)出願を分割する
以外に対策がない場合もあります。

■外国出願に基づいて日本に出願する際に要注意!

いかがでしたでしょうか。

実は本記事の事例は、
「外国出願に基づいて日本に出願する場合」
特に問題になることがあります。

例えば、このような場合です。
✔請求項の記載が、明細書にほとんどそのままコピーされている
✔明細書にそれ以上の説明が無い

具体的な例としては、
✔外国出願の「単なる対訳」程度の内容で日本に出願してしまう
(直訳であるか意訳であるかは、本質的な問題ではありません。)

本来、外国出願に基づいて日本に出願する場合には、
✔日本の審査基準に適合するように、外国出願の内容を修正・補充する

このほうが好ましい、というよりそうする必要があるのです。
そうしないと、日本での適切な権利化が困難になることもあります。

この点については、さらに別の記事で述べたいと思います。

<元記事>
請求項の記載と同じ内容が明細書に記載されていれば実施可能要件を満たすか?(2016年08月30日執筆)

<関連記事>当ブログのリライトについて
特許の過去記事をリライトします&YouTubeも【1文1行ブログ】

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●元ブログ(+αの情報あり)

https://www.tokkyoblog.com/archives/89535504.html

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