成田空港第3ターミナルが好き
ここは、いったい……
コンクリの壁…
低い天井…無骨なエスカレータ……
きったねぇソファ……
金網……もしかして……
アメリカの刑務所……?
なんだ〜成田空港第3ターミナルかぁ〜
成田空港第3ターミナルが好き
私は、実家に帰省する時は必ずLCC(格安航空会社)を使う。
JALやANAだと片道25000円の航路がJetstar(第3ターミナルに乗り入れているLCC)だと往復15000円だ。引くほど安い。
LCCは現在進行形で懐事情が寂しい私の味方だ。
そんなLCCが発着するのが、成田空港第3ターミナル。
第1、第2ターミナルは全力で「日本の玄関口でござい!Welcome to Japan!」と主張し、楽しい海外旅行の思い出に全力で華を添えてくれる。日本の玄関口としての気概に満ちた、ホスピタリティの塊のような空間だ。
対して第3ターミナルは地味で無愛想。
楽しい海外旅行へ誘う広告もなければ、ブランド品が並ぶ免税店もない。低価格を実現するために徹底的にコストカットした結果なのだろうか。「貧乏なLCCユーザーに見せる広告はないっすよ」と言う声がどこからか聞こえてくる。
あと、新しく作ったためなのか、第3ターミナルにたどりつくには、最寄りの成田空港第2ビル駅から計15分くらい歩かないといけない。その途中の、高校の渡り廊下レベル100みたいな通路は半野外で、通る度に季節の訪れを感じることができる。日本には世界に誇る四季がある。
それでも成田空港第3ターミナルが好き
厶所呼ばわりしといてアレだけど、私は成田空港第3ターミナルが好きだ。
上記のような無骨さ、素朴さが、第1,2ターミナルにはない魅力だと思う。
華やかなクラスメイト(第1、2ターミナルのことです)がみんなの注目を集める教室の隅で、もくもくと勉学に励む地味な生徒みたいで、何だか愛おしい。たぶん、成績はそんなに良くない。
それに、飾り気のない第3ターミナルの空間は、心を落ち着かせてくれる。国内一の国際空港という非日常な空間で浮ついた心を程よくフラットにしてくれる。
何もないターミナルで搭乗時間を待ちながらぼんやりしていると、自然と、故郷にいる束の間、何をしようかと考え始める。
実家の母や父、きょうだいとどんな話しをしようか、東京で過ごした時間の中で地元の風景はどんな変化をしているだろうか(或いはそのままなのだろうか)……とか。
第3ターミナルという空間の醸す空気が、「故郷へ帰る」という行為にちょっとだけ真摯に向き合わせてくれる余裕をくれる、そんな気がする。
成田空港第3ターミナルは、「空港」という空間が持つ非日常感と日本一の国際空港にしては異質な無骨さ・素朴さが混ざり合った雰囲気を持ち、私の心を浮き立たせながらも落ち着かせてくれる。不思議で愛おしい、唯一無二で何かヘンな空間なのだ。私にとっては。
成田空港第3ターミナルが好き
試し書きすんな
(おしまい)
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