趣味は映画鑑賞です。
自己紹介の場面でよく使うこのセリフ。
結構ありきたりだけど、僕は映画が好きだ。
でも映画をよく観るようになったのは皮肉にもあの時期なのである。
2年前の4月。
1年の浪人を経てようやく始まると思ったキャンパスライフは見事に消え去ってしまった。
対面授業は全部無くなり、当時はなんとオンライン授業ですら見合わせるという状況だったのだ。
全くもってガッカリだった。
わざわざキャンパスから徒歩1分の下宿に決めたというのにこの有様。
流石に笑うしかなかった。
あの時期はきっとみんなが家に閉じ込められ、暇で暇で暇でしょうがなかったと思う。
でも僕は、今になっても自分を褒めたいぐらいだが、あることを思いついた。
大学が始まったら自己紹介をたくさんすることになる。
そこで趣味として発表できるものを今作ってしまおう。
そう思ったのだ。
中高は軟式野球部に所属していたが、楽しかったものの正直自分に合ってるのかと聞かれると微妙であった。
今は別のスポーツに心の底から燃えているけど、それはまた別の話。
ともかく人に発表できる趣味を作りたかったので、とりあえず両親に質問をした。
「2人がこれまで観てきたオススメ映画を教えて」
1,2本知れればよかったのだが、結構な数のタイトルが返ってきた。
2人は特別よく映画を観るわけではないが、やはり僕より30年長く生きているだけあって名作が多くあった。
まず観たのは"STAND BY ME"
少年4人が死体を見に行こう!と言って冒険をするあまりにも有名な映画。
でも、正直面白くなかった。
名作だからって自分にハマるわけではないのだろう。
続いて"Forrest Gump"
これは素敵な話だったなぁ。
「人生はチョコレートの箱みたいなもの」
好きなセリフだ。
お気に入りの1つは"LEON"
少女と殺し屋の関係がとてもよかった。
お気に入りなのでTシャツも持ってる。
もう1つは"FIELD OF DREAMS"
観終わった後晴れやかな気分になれた。
野球、というかキャッチボールがしたくなったな。
これらに加えて合計で10本くらい観ることができた。
面白かったのもあんまりなのもあって、親子でも好き嫌いは分かれるんだなってちょっと不思議な気分だった。
この時点で、僕は自分が毎日映画を観ていたことに気づいた。
4月1日から約10日間、毎日だ。
あ、これ1ヶ月いけるな。
そう思った僕は、わざわざ作ったSNSの大学用アカウントにこう書いた。
「あなたがこれまで観てきたオススメ映画を教えて」
当時は顔も知らないフォロワーさんが、次の日の僕の2時間埋めてくれた。
たくさんの人がたくさんのジャンルを薦めてくれたので、僕は"雑食"になっていた。
スポ根の極み "WHIPLASH(セッション)"
大どんでん返し "THE USUAL SUSPECTS"
超胸糞 "SEVEN"
個人的ナンバーワンゾンビ映画 "釜山行(新感染←邦題は嫌い)"
まさかの子供向けアニメ映画 "すみっコぐらし"
僕がガチ泣きして小松菜奈さんにハマるきっかけとなった恋愛映画"ぼくは明日、昨日のきみとデートする"もこの時期に観た。
4月30日、気づけば30本の映画を観終えていた。
全く苦じゃなかったし、楽しかった。
僕の趣味は「映画鑑賞」になっていたのだ。
それからは毎日ではないが映画を観続けたし、行動制限が解除されてからは映画館に足を運ぶようになった。
2回生の夏、京都に引っ越してから念願の映画館スタッフになった。
今では大きな映画館のみならず、マニアックな作品を上映する小さな映画館にもちょくちょく通っている。
映画を観る、それは非日常な体験なのだ。
数時間だけ、作品の世界に飛び込む。
僕の趣味は映画鑑賞です。