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駐車場の端っこで抱き合う恋人たち_往復書簡vol.5
これへのお返事
井上拓己くんへ
ずいぶんとご無沙汰してしまいました。とは言っても間に会ったり電話したりはしているんだけど。私が吐いたちょっとした弱音と他者への恐怖に対するカウンセリングみたいな返答にあえてカウンターくらわそうと思っていたのだけど当てはまる事象が多すぎて普通に何も言い返せませんでした。
さて、時は流れて年末です。私がクリスマスソングのプレイリストを延々と聞き続け、やたらめったら
20230505往復書簡vol.3
これへのお返事
井上拓己くん
なんか一応女性監督とか呼ばれる人間なので、生活の中で見つけたささやかで素敵なことでも書こうかしらと思ったんだけど、生活の中でささやかで素敵なものを見つける余裕も才能も皆無なのでやめておきます。
前のお手紙を読んだんだけど、あんまり記憶がないので新しいことを書くね。多分だけどこの往復書簡って相手が書いたことに対してリアクションをしてもいいけどガン無視しても大丈夫よ
【ネタバレ有】映画『左様なら今晩は』公開初週を迎えた監督のお気持ち
このnoteは趣味で書いている小説などを主に載せている場所なのですが他に良い場所がないためこちらで映画『左様なら今晩は』の公開初週を迎えた高橋名月の個人的な気持ちを書かせていただきます。
内容としては見て頂いた皆さまに対するお礼と𝓛𝓸𝓿𝓮です。
オフィシャルな表明というよりも本当にしょうもない感じです。今の高橋のお気持ち覗いてやんよって感じであんまり突っ込まずに読んで頂けるとうれしいです
裸足で歩く世田谷通り
黒田くんは三軒茶屋に住んでいる。三軒茶屋とは言っても、三軒茶屋駅からは20分くらい歩かないといけないし、最寄り駅は東急世田谷線の若林だ。それでも黒田くんは「どこに住んでるの?」と訊かれると必ず「三軒茶屋」と答えるので、美織も黒田くんの家は三軒茶屋にあると思うようにしている。
千駄ヶ谷にある美織の家から黒田くんの家に向かうには、少なくとも2回は電車を乗り換えなければいけない。だから、黒田くんの
1000字小説 少し濃い夜
彼は地元の電鉄会社に就職してしまった。大都市トウキョウからは遠く離れた地元の、ほとんどが不採算路線ではないかと思われる、電鉄会社。そこの社員として今頃研修でいろいろな部署を回っているであろう彼を想像すると、目の前にある安っぽい発泡酒の缶の輪郭が少しぼやけた。
とるに足らないひとだった。そう思いなして、空になった発泡酒の缶をペコリと潰した。その間抜けな音に無性に腹が立ったので、ビーチサンダルを