触覚ってなんだろう?
今回は2つ目の基礎感覚である「触覚」について紹介します。
触覚は危険を察知するほかに、ものを認識したり、心の発達や人との関わりを育てるために重要なはたらきをします。また、赤ちゃんが母乳を飲むときは乳首に口が触れて初めて「飲む」行動が始まるように、生きるために必要な感覚でもあります。
主な働き
触覚には主に以下の4つの働きがあります。
①危険回避
危険を及ぼすかもしれないものに触れたときに、避ける行動や不快な感情を誘発します。
②探索・識別
物の手触りを確かめたり、形や大きさを認知したりして外の環境と関わります。
③情緒の安定
心地よい触覚の体験はこどもに安心感を与えて、情緒の安定に貢献します。
④身体地図の把握
からだの大きさや手足の格好など、からだを動かすときに使う地図をつくります。
感じる感覚の種類
触覚では圧力、温度、痛みなどの刺激を感じます。
このような感覚の情報から、とっさに反射的にその刺激から身を遠ざけたり、周りの環境の物理的性質を判断したりすることができます。
触覚が基礎となる発達
触覚のはたらきが基礎となり、以下のようなことができるようになります。
道具を使いこなす
物を触って確かめたり、物の操作したりして得た情報のフィードバックを得ることで、物の性質を知覚する力や巧緻性(指先の器用さ)が発達し、さまざまな道具を使いこなせるようになります。
運動のコントロール
赤ちゃんのときに手足を舐めたりつかんだりするあそびをくりかえしながら、自分のからだの大きさや格好の地図を作っていきます。この地図ができてくると、環境に合わせてからだを動かすことができるようになります。
安定した人間関係を築く
親しい人物との間で、なでたりなでられたりといった、人の皮膚と皮膚との接触はリラックス効果や不安を軽減させる効果があることが研究によって報告されています。触覚の調整につまづきのあるこどもは、対人関係を築きにくい、恐怖心が強い、感情の起伏が平板な印象を与えることもあります。
砂あそびや泥あそびなどをはじめとする触覚あそびは子供の発達に重要な役割を果たしていると言えます。あそびの中では、安心して触れられるものや、心地のいい素材にたくさん触れることが大切です。
参考:
土田玲子(2013)『感覚統合 Q&A 改訂第2版-子どもの理解と援助のために』協同医書出版社.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?