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唯一無二の“ゆるさ”で村の魅力を発信


お話しを伺った方

普代村/昆布ブラザーズ すっきいさん・えんぞーさん(2024年取材)


息を呑むほど美しい“青の国”

盛岡から車で2時間と少し走った先に、海と空の「青」に包まれた普代村が見えてくる。

岩手県の沿岸北部に位置し、漁業や水産養殖業が盛んな村。

果てしなく広がる海は、浜に近い場所ほど瑠璃色を帯び、空へ近づくほど深い青に変化していく。その美しいグラデーションをぼんやりと眺めていたら、コトコトと音を立てて三陸鉄道が走り抜けていった。

全国にファンを持つ人気者

そんな穏やかな雰囲気に満ちた普代村には、周りの人を笑顔にする“ゆるい”存在がある。

自らを「村のゆるい代表」と称する、すき昆布のすっきいと塩蔵昆布のえんぞーだ。

左がすっきい、右がえんぞー

彼らは昆布ブラザーズという名前で村の魅力を発信しているが、実は兄弟ではなく幼馴染。あるとき、弓状に広がる砂浜が特徴の「普代浜園地キラウミ」からやってきた。

二人の生まれ故郷でもある「普代浜園地キラウミ」。夏は海水浴やバーベキューを楽しむ人たちで賑わう

現在は役場の職員と一緒にSNSを投稿したり、村内外のイベントに参加したりと大活躍。

彼らのファンは幅広く、なんと全国各地にいるという。

えんぞーは「毎年、年賀状が200枚近く届くんだよ」と語り、その横ですっきいが「ファンレターをもらうこともあるよね」と、うれしそうに教えてくれた。

えんぞー「なんせ僕ら、人気モノだから~」  すっきい「足、足が組めな…組めた!」

ゆるキャラ総選挙でグランプリを獲得

すっきいとえんぞーが全国に知られるようになったのは、あるテレビがきっかけだった。

毎回、何かに特化したスペシャリストが登場し、「MCが知らない世界」を紹介する番組。ここで二人は推薦を受け、非公式の「ゆるキャラ総選挙2021」に選抜。見事、グランプリを獲得したのだ。

優勝の理由は「群を抜いてゆるすぎるから」で、PR動画に登場した個性豊かな商店街のメンバーも決め手になった。

その後、SNSを通して自分たちの活動を発信するようになった、すっきいとえんぞー。

イベントで子どもたちに囲まれる人気者の姿を投稿することもあれば、村の車に乗せられて運搬(?)される様子や「今日はやる気がしない…」と役場内で遊ぶ  ひとコマなどをアップしている。

イベントでは、子どもたちが遠くから駆け寄ってくるほどの人気ぶり
夏の暑さに呆然とする、ある日の午後

彼らの日常に癒やされる人は多く、SNSの総フォロワー数は4600以上にのぼる。

二人は「目指せ!1万フォロワー!!」と、ゆるさの中にもメラメラと野望をのぞかせていた。

専用の名刺を持っている二人。ビジネスマナーも完璧!

二人が自信を持って勧める特産品

そんな二人にイチオシの特産品を尋ねると、声を合わせて「昆布!」と答えてくれた。

普代村では、昭和40年代から昆布の養殖とすき昆布の加工を行っている。

暖流と寒流が交わる海は、三陸の中でも特に資源豊富な漁場として知られていてミネラルいっぱいの海藻類が育つ。これを丁寧に加工することで、鮮やかな緑色と柔らかい食感のすき昆布ができあがるのだ。

ほかにも粉末状の昆布を練り込んだ、「ふだい昆布うどん」や「ふだい昆布そうめん」、「ふだい昆布らーめん」、「ふだい昆布冷麺」、「ふだい昆布はっと」など、さまざまな麺を販売。『昆布麺シリーズ』として、観光客から人気を集めている。

絶景や観光スポットも目白押し!

さらにオススメの観光スポットを聞くと、えんぞーが「一番景色がいいのは、やっぱり黒埼灯台だね!」と答えた。

「広い水平線と『海のアルプス』と言われる断崖絶壁が見られるし、幸せを呼ぶ『カリヨンの鐘』もあるよ」

「ここは『恋する灯台』に認定されているから、カップルにもオススメだよ~」と、すっきい。

真っ白な黒埼灯台と青い海。遠くには、ゆったり進む船の姿も

ちなみにすっきいに触れると、片思いの人にスキになってもらえるらしい。恋に悩む人にとっては、耳寄りの情報だ。

青空に赤い鳥居が映える鵜鳥神社

「鵜鳥(うのとり)神社も、ぜひ行ってみてほしいな」と二人が語るのは、村役場から車で10分ほどの場所にある神社だ。

ここは大漁や海上安全、縁結びの神様が祀られているほか、「義経北行伝説」にまつわるスポットでもある。

毎年、旧暦の4月8日(5月中旬頃)には例大祭が行われ、地域の人たちがみんなでお参りに行く。

鳥居の近くに設けられた遥拝殿(ようはいでん)から卯子酉山(うねとりやま)の頂上にある本殿までは、歩いて30~40分程度。傾斜のキツイ箇所が多く、ちょっとしたハイキング気分が味わえる。

静寂の中、木々の気配だけを感じながら進む本堂への道のり

「夏場はお水と塩分を持って行った方がいいかも」と、“テンションが上がると塩をまいてしまう”えんぞーが教えてくれた。

今年は生誕10周年のイベントを開催

普代村の魅力を語りだしたら止まらない、すっきいとえんぞー。

実は、今年は二人が村へやってきて10周年を迎える節目の年なのだそう。その姿を初めて村民にお披露目した11月30日には、「道の駅青の国ふだい」で大々的に誕生日イベントを行う予定だ。

二人は「普代村には新鮮な海産物や個性豊かな商店街の人たちなど、おいしくて楽しい場所がたくさんあるよ!ぜひ遊びに来てね~!」と語ってくれた。

普代村は、岩手県で一番小さい村だ。

しかしここには、三陸ならではの絶景や村の人々が丹精込めて作るおいしい食べ物など、岩手が誇る宝物が凝縮されている。

そして何より、すっきいやえんぞーがナチュラルに村を闊歩するファンタジーな日常もある。

行けば行くほど愛おしさを感じる普代村。

この温かくも美しい村へ、ぜひ一度足を運んでみてほしい。


◆すっきぃとえんぞーのInstagramはコチラ!

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◆普代村HP


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