時山 正|Consultants NOVARE, Inc.

東京工業大学大学院修士課程修了のバリバリ理系の経営コンサルタント。 経営支援、経営支援人材の育成、論理的思考力の強化など。武器は論理と弁証法。 お問い合わせなどは http://www.novare.co.jp から。

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マガジン

  • コンサルタントはこう考える

    さまざまな社会現象などについて考察しています。

  • 中小企業の経営支援読本

    地域の中小企業を経営支援するのに必要な経営知識や思考法などの内容をアップしていきます。たんなる知識やノウハウではなく、理論と実務を橋渡しすることを意図しています。 次の読者を想定しています。  商工会や商工会議所の職員さん、  税理士さんなどの専門家  行政で地域振興を担当する職員さん  地域金融機関の職員さん  など

  • できるビジネスパーソンの思考法

    ビジネスでつかえる、さまざまな思考法をまとめています。

  • 経営の道具箱

    経営に関するさまざまな手法や、その考え方などをまとめています。

  • どこで、なに食べよう?

    仕事などで訪れた各地で食べたものを中心に記録しています。 そこには、それぞれの地域の事情と、それを活かしたり克服しようとする人々の努力があります。さらには「われわれは自然のものを頂かなくては生きてはいけない」という、現代では忘れがちな大前提を思い起こさせてくれます。 そう、生きることは食べることなのです。

最近の記事

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弁証法思考 ~理解を深めて新しい価値を生み出す思考法

 不透明な時代ということでしょうか、論理思考力がとても重要視されています。大きな本屋さんに行けば、自己啓発やビジネスのコーナーに、さまざまな論理思考の書籍が山積みされています。またビジネスの現場では「ロジックが甘い」などと厳しい上司に指摘されることもあるでしょう。あるいはコンサルティング会社就職の面接では、ホワイトボードの前に立たされて、わけのわからない質問(有名な例は「日本に電信柱は何本立っているか」)をされたかもしれません。  たしかに論理思考力はビジネスにとって強力な

¥750
    • Webセミナー『ビジネスに活かす弁証法思考』開催のお知らせ

      仕事ができると評判の人と話しをしていて、「そんなこと考えたこともなかった」とか「そんな視点はなかった」あるいは「その手があったか!」などと感じたことはありませんか? 説明されればすべて理解できる。ただ一点わからないのは「なぜそこに着目したか」だ・・・こんな具合ですね。 経験や知識量が違うのかもしれません。しかしそれ以上に異なるのは「思考法」ではないでしょうか。よく言われる「モノの見方、考え方」です。同じ現象を見ているのに、なぜ彼は人と違う見方ができるのか。ただの思いつきでは

      • 『金融機関を説得できる経営改善計画書作成のポイント』オンラインセミナーを緊急開催します

         商売や事業をおこなっていて資金繰りが苦しいとき、どうしていますか?  多くの経営者さんは、新たな融資を考えるかもしれません。しかし大切なことは「なぜ資金不足になるのか」を突き止め、その原因に応じた対処法をとることです。  長年、個人事業を含む中小企業さんの支援をしてきた経験では、せっかく商売や事業で利益を上げながらも資金繰りに苦しんでいる経営者さんは少なくありません。なぜ利益を上げているのに資金繰りに苦しんでいるかといえば、返済余力を上回る借入返済をおこなっているからで

        • 政治家と倫理

          政治家を法律で裁くことは困難だ。なぜなら、法律は彼らがつくるから。 だから政治家は倫理で判断されなければならない。 古来より「瓜田に靴を納れず(かでんにくつをいれず)、李下に冠を正さず(りかにかんむりをたださず)」という言葉がある。瓜畑に踏み入れれば瓜泥棒と間違われても仕方ない、スモモの木の下で冠を直していれば盗んだスモモを隠そうとしていると思われても仕方ない、どちらも「人に疑われるような行為は慎むべきだ」という教訓である。 会計責任者が実際に起訴されたかどうかは関係な

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        弁証法思考 ~理解を深めて新しい価値を生み出す思考法

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          17本
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        記事

          経営支援の実務3.収益構造と経営シミュレーション

           経営支援者に「この事業の損益分岐点はどのくらい?」と尋ねると、「むかし勉強した記憶はあるんですけど、公式を忘れました」という答えが帰ってくることがしばしばあります。centiped の例のように、理解せずマル覚えした知識は、使っていなければ忘れてしまうのも仕方なしです。  今回は、いくつかの基礎知識をもとに、さまざまな状況での経営シミュレーションを考えます。 管理会計での利益計算  「経理が記録して決算書にまとめる」というどこの企業でもおこなっている作業を財務会計といい

          経営支援の実務3.収益構造と経営シミュレーション

          経営支援の実務2.経営支援の入口

           経営相談で多いのは「資金繰り」と「〇〇補助金を使って◇◇(設備投資など)したい」です。それに対して、国や県などの制度融資を斡旋したり、補助金申請を支援したりするのが経営支援だと考えているならば、それは誤りです。つまり相談された内容の解決支援が経営支援ではないのです。  たとえば、頭痛がひどいので病院に行ったとしましょう。もしお医者さんがろくに診察せずに「つらいですね。鎮痛剤を出しておきましょう」と言ったら、それはヤブ医者というものです。もしかすると強度の肩こりからくる頭痛か

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          経営支援の実務1.中小企業の実態と課題

           中小企業の経営支援をおこなうにあたって、まずその実態を知っておくことは大切です。次の図は、ここ数年の中小企業白書および小規模企業白書に掲載(2023年版も同図が掲載)されているものです。ややデータは古いのですが、まずはここから考え始めることにしましょう。  この図を見れば、いかに中小企業が多いかわかります。とくに小規模企業(従業員数が、商業・サービス業は5人以下、製造業他は20人以下)が、数でいえば全体の85%ほどです。  ところが従業員数になると、全体の1/3は大企業、

          経営支援の実務1.中小企業の実態と課題

          経営支援の思考法3.知識の創造と伝承メカニズム

          形式知と暗黙知  自転車に乗れない大人に、乗り方をどうやって説明しましょうか? 「ペダルをこげばタイヤが回転して前に進む」「ハンドルを回せば、そちらに曲がる」「ブレーキレバーを握ればタイヤの回転が落ちて止まる」・・・基本的なことしか説明できませんね。このように『言葉や文字などで説明できる』知識を形式知といいます。  この説明を聞けば、ふらふらしながらも前に進めるかもしれませんが、その姿はぎこちないものでしょう。どのくらいの勢いでペダルをこげばどのくらいのスピードが出るのか、

          経営支援の思考法3.知識の創造と伝承メカニズム

          経営支援の思考法2.問題発見と課題抽出

           中小企業の経営支援にあっては、2022年に経営力再構築伴走支援が国から提示され、2023年にはその実施に向けたガイドラインも公表されました。これによれば『経営者との対話傾聴により、本質的な経営課題を設定する』ことが重要とされ、どのように対話するかという具体的な方法が記述されています。しかし次の2点から、これでは不十分です。  経営者の発言は、経営者の認識を述べているにすぎず、それが事実あるいは真実である保証はありません。たとえば「売上減少の原因はなんだと考えていますか」と

          経営支援の思考法2.問題発見と課題抽出

          経営支援の思考法1.知識と思考

           centiped という英単語に接したとき、みなさんは次のどのタイプでしょうか。   A かつて覚えたから知っている   B かつて覚えた記憶はあるけれど忘れた   C 初めて見る単語だから調べなければわからない   D 初めて見る単語だけれど、たぶん〇〇〇だろう  知識というのは厄介なものです。いくら覚えても、次から次へと新しい知識が登場します。しかも使っていないと、どんどん忘れていってしまいます。量という観点では、コンピュータに勝ることはできません。上の例でAだった人も

          経営支援の思考法1.知識と思考

          企業の生態学4.ビジネスモデルの考え方

           近年、ビジネスモデルという言葉に触れる機会が増えました。なんとなくわかるのですが、「ビジネスモデルに必要な要素は何か」などと尋ねられても、なかなか正確に答えるのは難しいものです。それもそのはずです。研究者の間でも、共通した定義がありません。それでは話が進みませんから、ここでは『ビジネスの仕組みをモデル化したもの』としておきましょう。  一般にモデル化というのは、実際の姿から細かい要素を削り落とし、残った主要な要素を構造化したものです。繁茂した木から葉をすべて落とせば、幹と枝

          企業の生態学4.ビジネスモデルの考え方

          企業の生態学3.ニーズ原理

           経営環境変化により、既存事業の先行きに懸念がある、既存事業よりも見通しのよい事業がありそうだ、このようなとき変化への適応行動のため戦略を構築して・・・となるわけですが、その前にビジネス機会の根源である『ニーズ』について詳しく知る必要があります。 2種類のニーズ  ニーズには、顕在ニーズと潜在ニーズの2種類があります。  顕在ニーズというのは、こんなものが欲しい、もっとこうだったらいいのに、などと顧客自身が認識しているニーズのことです。企業はそのようなニーズを充足するよう

          企業の生態学3.ニーズ原理

          企業の生態学2.企業の内部構造

          機能の階層構造  経営支援者から「経営計画と事業計画って違うんですか?」という質問を受けることがあります。経営計画は『経営』の計画ですし、事業計画は『事業』の計画です。経営と事業の違いがわからないと、このような質問になってしまいます。まずここを押さえておきましょう。  企業は『経営』『事業』『業務』という階層構造をもちます。たとえば、ある中小企業はGS3店舗と居酒屋P店と喫茶店Q店を営んでいたとしましょう。するとこの企業には、燃料販売事業と飲食店事業という2つの事業部門が存

          企業の生態学2.企業の内部構造

          企業の生態学1.経営の外部環境

           原油価格が高騰し、しかも円安と相まってガソリン料金が高いため運搬コストの上昇が経営を圧迫する・・・、電気料金やガス料金などのエネルギーコストが急激に上昇して利益をくってしまう・・・、募集しても人が集まらず機会損失をおこしている・・・、原材料や購入部品が値上がりして原価を押し上げている・・・、郊外に大型ショッピングモールができて売上が急激に落ち込んだ・・・、商圏内人口は減少の一途で客数も減りつつある・・・などなど、企業外部にあるさまざまな要因によって経営は大きな影響を受けるも

          企業の生態学1.経営の外部環境

          事業再構築補助金 攻略の研究<第8回>

           補助事業期間での、事業再構築に向けた店舗改修や設備導入、従業員研修、販売促進などの具体的計画と、投資内容や金額、実施体制などを述べたら、次は「その事業再構築が(補助事業期間終了後に)うまくいく」ことを説明しなければならない。つまり計画の実効性を示すのである。 §7 事業計画策定のポイント(3) 今回の対象は次図だ。このセクションの目的は、新しい取組みが有望であることを審査員に納得させることである。  (1)市場規模予測では、まず市場(あるいは想定している具体的ユーザー層

          事業再構築補助金 攻略の研究<第8回>

          事業再構築補助金 攻略の研究<第7回>

           『事業再構築の必要性』についての論旨展開ができたら、いよいよ事業再構築の具体的取組の計画策定に取り掛かることになる。しかし、この補助金制度では、第5回で説明したように、いわば事業再構築への移行期間である補助事業期間と、準備が整って走り出す事業計画期間とに分かれている。今回の対象は前者だ。この移行期間に建物改修や設備導入・撤去あるいは販売促進などの経費がかかり、この経費の一部を補助されるわけだから、もっとも重要なセクションと言ってもいいだろう。 §7 事業計画策定のポイント

          事業再構築補助金 攻略の研究<第7回>