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古代宇宙うなぎ士説

さあ皆様、ご覧ください。
この驚異的な広大無辺の地下大空洞を!
都市のごとく整然と、見渡す限り何処までも埋めつくすのは、すべて墓地です。
何万年もの間、この空間は誰にも知られることなく、彼らは暗闇と静謐さの中で眠り続けて来ました。
文明が滅びる前の華やかなりし時代を生きた、旧人類達です。

ご存知の通り我々は、今なお崩れ去ることなくその姿を遺し続ける古代建造物群と共存して暮らしています。ですが、それらを築いた旧人類達は遥か昔に滅び去りました。その文明がいかなるものであったのかについて、私達は未だに多くのことを知りません。研究は今もなお続けられています。
そして遺跡の発掘作業の果てに、地下5万フィートの大空間に辿り着きました。
今では調査用に、地上からの直通エレベーターと、いま私達が立っているこの鉄の欄干が建造されています。照明もこの地点を中心に取り付けられていますが、果てしない大空間を照らすには弱々しい光と言わざるを得ないでしょう。大部分は未だ闇の中に沈んでいます。この空間の全体像も明らかにはなっていません。

そして向かって右手をご覧ください。
最近発掘調査が急速に進められている墓地の一つです。
埋葬されていた旧人類の骨がシート上に並べられていますね。
地上に遺された建造物群の形状から、旧人類は我々の3〜5倍程度のサイズであったと推測されてきましたが、まさしくそれを裏付ける実物が目の前にあります。

この人物は《宇宙うなぎ士》という職業に就いていたのではないかと考えられています。
宇宙うなぎ……すなわち、宇宙空間を特定の密度で満たしながら移動する、不可視のエーテル生命体。不定形ですが概ねチューブ状であると考えられています。
そして宇宙うなぎの中を生身で航行して作業にあたることのできた特殊専門職、それが古代の《宇宙うなぎ士》です。

宇宙への航行技術は古代文明の滅亡とともに失われ、我々は文献や発掘調査によって、その概形を知ることができるのみ。しかしいつの日か、それら古代技術を再現し、遥か昔の彼ら同様、宇宙へと飛び出し、宇宙うなぎの内部を駆け巡ることも夢ではないのかも知れません。

さあ皆さん、写真は撮りましたか。
今は死者の眠りを妨げぬよう、直通エレベーターへと戻りましょう。

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