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犀の狩猟記録(ライナーノーツ):逆噴射小説大賞2024

本記事はFANBOXで不定期更新している日記(全体公開記事)から、逆噴射振り返りパートのみを抜粋し、改行調整や加筆修正を行ったものです。

https://unargon.fanbox.cc/posts/8824698


逆噴射小説大賞というものがございまして、パルプ小説の冒頭800文字の形式で、続きが読みたいと思わせる面白さを競う催しです。

ここで私の参加履歴を振り返ってみよう。

第1回(2018年) 3作品投稿、2作品が二次選考通過
第2回(2019年) 1作品投稿、二次選考通過
第3回(2020年) (不参加)
第4回(2021年) 1作品投稿、二次選考落ち
第5回(2022年) (不参加)
第6回(2023年) (不参加)

二次選考のハードル、年々上がってきている気がするんですよね・・・。最近思ったのですけど、「大賞は狙わないが二次選考通過のみを狙う」という意味不明なやり方は、逆に難しいかもしれない気がしてまいりました。年によってレベルが違ってたりするので・・・。やるなら最終選考を狙ったほうが良いのかもしれない。
なお、「不参加」の年は特に何も思い浮かばなかったり、別のことにリソースを割いたりしていた時期です。
それはともかく、今回、なんと! 1作品を投稿できました。今年も特に参加せずに傍観するくらいのつもりでいたのですが、突如ビジョンが脳に浮かんだので、文字に書き起こしたら大体800字だったという感じです。それがこちら。

私にとって小説媒体での表現は、夢の記憶を手繰り寄せて記録する行為にとても近い。この間はほぼ右脳しか働いておらず、それをお話に変換するのには左脳を稼働させなければならなくて、その「脳のスイッチング」みたいなのがとても難しいと感じました。

以下、書きながら考えていたことなどです。
自分で忘れそうなことを備忘録的にメモしてゆきます。

「ライナーノーツ」というのは音楽用語で、音楽ライターとかによる楽曲解説のことを指すのですが、主催のダイハードテイルズ出版局が「セルフライナーノーツみたいに自作品を振り返ってみてね!」といったことをアナウンスしていたところ、逆噴射ファイナリストにも残る猛者akuzumeさんがいつだったか「ライナーノーツってライノの狩猟記録かなんかか?」的なことを言っていたのが頭から離れなくなってしまったため、こんなタイトルになりました。

記憶だけで語っているので違ってたらご指摘くださいませ

1.これはなんですか?

「90年代ギャルゲフォーマットの作品」が発想の元となっており、ヒロインが全員暗殺集団の暗殺者で、通信してくる男性はハンドラーめいた存在(ゲームだったらこっちが主人公?)というイメージです。

上記の記事で言及している「暗殺集団を舞台とした恋愛シミュレーションゲームについてはそれ以前から別途案があり、もっと陰鬱なひどい作風のもの(ゲームを進めるほど精神的になんかクる感じのやつ)を想定していた」というのが、今回の作品のベースです。
あと『To Heart』とか私はプレイしたことはないのですけど、どうしてもタイトルに「Heart」という単語を入れたくて、結果的にタイトルがこうなりました。
「存在しない架空のゲームを小説として書き起こす」ことが第一義的になっているため、逆噴射小説大賞応募作品のアプローチとしては、なんかよく分からない形となっております。

2.意識したこと①

2019年の投稿作『奇怪一家』でも意識したことなのですが、文章に色彩を持たせること(話の面白さとは直接関係ないですが、なんとなく拘りたいからやっているだけ)。

『奇怪一家』の場合は、「焦茶色(上から5割くらい、夢の描写)→青白い色(下3割くらい、目覚めた世界での色合い)→橙色(最後の数行、手紙の色)」という感じで、マーク・ロスコの絵画作品のようなグラデーションの印象が、読んでる人の脳内に自然と構築される設計となっております。

今回の『ハート・オブ・サンダー』はどうかというと、とくに作中に明記したわけではありませんが、全体に黒色なんですよ。ただ、それだけだと色彩的には寂しいと思ったので、キャラ名に色のイメージを託しました(今回、外見とか色とかの描写は極力省いていたため)。「私」ことアマリリスは赤~ピンク系、「ステラ」は青緑系、「バナナ」は黄色系を想定しており、これで所謂キュート・クール・パッション的な必要最低限のヒロインをイメージする色彩が、漆黒の中を僅かに彩るようにしています(これらのイメージカラーが今後の展開で外見描写に反映されるかはまた別の話でして、この限りではありません)。あとは(殺しなので)やむを得ず飛び散る血の色がアクセントになればいいかな、という感じです。

3.意識したこと②

ゲームの作風として「物語を進めるほど陰鬱な雰囲気になってゆく」想定だったので、最初の時点では主人公が殺しに対して特段感慨を抱いておらず、淡々と仕事をこなしているような一人称視点の文体になるように、これはかなり意識的に心掛けました。

4.強化人間?

いったん書いてから思ったのですが、「私」はなんで着地できてるんだ・・・?という疑問がずっとあり、これが自分の中で消化できるまで投稿できませんでした。

物理学とかはさっぱりなのですが、ものが落ちるときには加速度というものがあり、最初はゆっくりでどんどん速くなるらしいんですけど、空気抵抗とかでそれ以上速くならない「終端速度」なるものがあるようで、雨粒の場合時速25~30km、人間だと時速180~200kmくらいになるようです。

そんで、時速200kmでカッ飛んでいる最中の様子を想像するに、普通の人間が鉄塔を蹴ったからといって激突は避けられず、良くて脚を骨折するとかで終わりだよな・・・と思っていました。ただ、ニンジャめいた身のこなしができている描写が既にされているため、それには何か合理的な理由があるはずです。創作においては宇宙で爆発音がしても良いのは自明のことですが、作者がその理由を分かっている必要があります。たとえばニンジャスレイヤーでは「たとえエンパイヤステートビルから落下してもでんぐり返しさえすれば無傷」みたいな世界設定が貫かれているから良いんですよ。

ということで作者の私が至った結論は、やはりこの人は強化人間なのではないか、ということです(あくまで作風として生身の人間っぽさを前面に出したく、ロボにはしたくありませんでした)。「じゃあ戦ってる相手も強化人間なのか?」など疑問は次々湧いてくるのですが、どうするか悩んだ末、特に描写には全く手を加えず、そのまま投稿しました。
この勢いで始まったスピード感のある映像描写中に説明を挟むのはなんか違うな、と思ったためです。冒頭800字なのでこういう細かいところは読んだ人が自由に想像してくれても良いな、というのもあります。

なお、強化人間の強さ的なイメージは、東映特撮のスーパー戦隊くらい(これも漠然としているが、パワードスーツ着用前の状態でも強化人間のパターンがありますよね。ああいう感じです)。

そうなると、かつては普通の人間であった彼女たちを強化人間たらしめたバードニックウェーブめいた何かがあるはず・・・スカルガールズでいうところのスカルハートみたいな、何かが・・・(それが何なのかは続きの作中で明かされることになろうかと思います)。

5.逆噴射プラクティスになっているか

こちらは逆噴射小説大賞応募作ですので、パルプ小説の書き方』に照らし合わせて、「初心者の私がまずはカラテ木人拳めいた型で書けているかどうか」のチェックをしてみました(書き終えた後にですが)。

(1)一人称でやれ → できてる
(2)登場人物は最低2人出せ → できてる
(3)そんなことでInstagramのパフェ写真とかに勝てると思っているのか → できてる
(4)主人公を決めろ → この辺になってくると微妙で、本来であればここで言われている「これまでのあらすじ」に相当する情報、つまり「主人公の属する暗殺集団が何の目的で行動しているのか」を冒頭800字内に入れるべきであった、と投稿した後になってから思いました。

それにしてもこの『パルプ小説の書き方』、パルプ小説初心者がPROになってマネタイズするレベルになるまでの必要なことが全部書いてあるな・・・と改めて感銘を受けました。

6.ヘッダー画像

私はヘッダー画像は自作する派です。
舞台が「無尽蔵に増殖した工場プラント群」でイメージカラーは黒だったので、自分が撮った写真の中から人工物のパーツを引っ張り出してきた。

ビルとかだと遠景すぎて素材にならないと気づいたため、なんか鉄骨みたいな部分です。

これを角度を変えながら、曼荼羅めいて何枚も重ねてゆきます。
イメージカラーは黒色ですけど、真っ黒なフィルターをかけると何も見えなくなるので、鉄骨感が残るように上手いこと調整します。
あとは放射ぼかしのエフェクトを繰り返しかけ、雨が降る中落下してゆく感じを出します。
 ↓
そんで、こうなって、こうじゃ!(説明が面倒になってきた)

文字が赤いのは、不可避的に出てくる血(Blood)のイメージです


(いじょうです)

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