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R.E.T.R.O.=/Q
《街》にダイヴするとき、決まって全身全霊を総毛立つような感覚が駆け抜ける。
自我を除く全情報が書き換えられ、私達は指定座標に出現する。
私は耐刃レザーのボディスーツ、パートナーのエドはへんな騎士鎧の姿だ。
「なあオリー、本当にこんな場所に適合者がいると思うか?」
エドの機嫌が悪い。
「さあね、おやっさんが言うのだから確かでしょうよ」
《街》。それは無限に続く巨大な一本の通廊の形をした閉鎖系世界だ。そこに共通した上下の概念はなく、本人にとっての接地面が下となる。
四つの壁面すべてに建造物群が犇めき、その間を橋梁や階段が複雑に連結している。
私は橋の欄干から周囲を見回した。相変わらず騙し絵のような、眩暈のする光景だ。しかしここの住人にとってはありふれた日常である。
突如、目の前の空間が縦に裂け、眩いスペクトル光の中から神々しいスーツ姿の男が出現した。
「そんな……まさか……こんな所にまで……!?」
「撤退するぞ!」
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