のりたま交流戦自戦記 vs to-sinさん

 将棋倶楽部24で活躍中の将棋サークル「のりたま将棋クラブ」さんと将棋系Vとの交流戦が開催中です。8/16日に自身の対局がありましたので、自戦記を書いていきたいと思います。

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総譜

棋譜再生 (tosin_shogi 対 TokiwadaiMei) / 81道場 Webシステムtosin_shogi 対 TokiwadaiMei (2020-08-16 12:26:28 UTC)system.81dojo.com

◇本局へ向けての準備

 今回の対局は事前に組み合わせが決まっていたため、充分に準備をして臨みたいと考えていました。お相手のto-sinさん対振り右玉と振り飛車、そして対石田流にきmきm金を指されることを確認し、私がノーマル振り飛車を採用すればまず間違いなく対振り右玉になるだろうと予想しました。

 ということで将棋VのDiscordサーバーで対振り右玉のVSを募集したところ、鷺宮ローランさんに教えて頂けることに
 先手三間と後手四間で2局教えて頂き、私が吸収できたことを大まかにまとめると、

・端歩は突き得になりやすい。振り飛車から見て左は突き合えば終盤に活きやすく、突き越せば右玉の端角を封じられる。同様に右は突き合うと端攻めの味があり、突き越せば右玉が若干狭くなる。
・右玉は組み上がるまでに時間がかかり、完成すると手厚く攻めにくくなる。完成前に突っかけたい。
角が浮いた瞬間に仕掛けを狙う。角交換や角のタダ取りを含みに攻める。また、浮く瞬間までの手数を想定しながら駒組みをする。
・右玉の端、桂頭、玉頭辺りの歩を突き捨てて攻めの幅を広げる。いろいろな攻めを絡める。
美濃が完成していれば攻めが繋がればいいため、端を突破できるなら角を犠牲にしても大丈夫。

 というようなことを学びました。

 これを踏まえて特に用意していたのは次の2つです。

・先手三間で右玉の角道が止まっていて角が浮いている→9、6、7筋を順に突き捨てて全面戦争
・後手四間で右玉の角道が止まっていて角が浮いている→6、4筋を突いて無理やり角交換からさばき、後で3筋を突く

 研究が足りず、ぼんやりと検討していたのは以下の4つ。

・先手三間で右玉の角道が止まっていて角が浮いていない→7筋を交換して後に9筋と6筋を絡める
・先手三間で右玉の角道が止まっていない→9、7筋辺りを突き捨てて角交換から戦いを目指す
・後手四間で右玉の角道が止まっていて角が浮いていない→4筋と端を絡めて攻める
・後手四間で右玉の角道が止まっていない→角交換を挑んで軽くさばき、3筋を後から絡める

 という感じで万全の準備とはいかないものの、方針をつかんで勝負に挑めました。

◇対局開始

 ということで本譜の序盤は想定の1つ、後手四間で角道が止まっていて角が浮いていないケースでした。しかし精査が足りておらず、細かい手順は検討の余地がありそうです。例えば△1五角に▲1六歩の局面。

画像1

 感想戦で△3七角成が成立しそうという話を伺いました。本譜の△3三角は後に△5五銀と出られたので攻めが繋がりましたが、▲5六歩で△5五銀を防がれていたら攻めるのは難しかったかもしれません。角を切る順も細いので、厚く攻めるなら三間飛車に振り直す作戦の方がよい、ということもありそうです。

◇中央争い

画像2

 本譜に戻ります。画像の局面で△5五銀と銀をぶつけたのに対し▲6七銀と引かれましたが、これは少し気合い負けだったようです。感想戦で検討した▲同銀△同角▲4六銀打が有力で、銀交換を許すものの玉頭の厚みが絶大です。右玉が良いとはいかないと思いますが、互角に近い形勢に見えます。
 本譜は画像の△5五銀から▲6七銀△4六歩でクサビが入り、若干指しやすくなりました。駒をさばけば4七に放り込めるのが大きく、多少駒損でもこの歩が残っていれば勝ちやすいところだと思います。
 しかし油断はできません。中央の銀は威張っているものの、引き場所が少なく銀挟みをくらいやすいです。さすがに銀を歩で取られてはたまりませんから、上手くバランスをとる必要があります。
 △6五歩がタダですが引き場所を作りながら△6六歩や△6六銀も狙えそうな手です。本譜は▲5六歩とされたため△6六歩から銀交換を果たし、リードを保てた印象です。

画像3

 進んで△5五角に▲5六金が強い受けの手です。
 △6四角なら▲6五歩で角が死にますし、それ以外のどこに角が逃げても目障りな玉頭の歩を払えます。ということで△5四歩。角金交換を甘受しても4六の歩を守る方針です。

◇to-sinさんの激しい攻めを凌ぐ

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 さらに進んで△6七銀▲5七金△7六銀成。善悪はともかく私らしい順です。玉頭を厚くしてなにかのときに上へ逃げられるようにしつつ、相手玉の足がかりを作っています。すぐに効果が出るわけではありませんが、マイナスになりにくい手だと思います。
 ただ△7六銀成は手番を渡す手でもあり、ここからto-sinさんの猛攻が始まります。しかし、これは私も望むところ。ガッチリ受けて馬を作られるものの、駒得を果たして優勢がはっきりしてきました。

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 受けながら得した金を5五に打って根本の桂馬を取りにいくのが私らしい手です。振り飛車の中央~玉頭が厚く、負けにくい将棋になったと思いました。

◇入玉を防げるか

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 大きく進んで画像の局面、to-sinさんの入玉を止められるかが1つの焦点です。駒得が大きく最悪は点数勝ちもありそうですが、これだけ包囲網を作る駒があって7二の飛が遠く2二まで利いていることを考えると、なんとか寄せたいところだと思います。
 しかし秒読みの中、中段玉を捕まえるのは大変です。最強の守備駒である馬を目標にしつつ、詰み筋を織り交ぜて包囲網を絞っていきます。
 秒読みだったこともあり間違えているところもあると思いますが、最後はなんとか捕まえて勝利となりました。

画像7

◇一局を振り返って

 事前の準備が生きて序盤からリードに成功し、ほぼそのリードを保ってゴールできた将棋だったかと思います。課題の1つ「先攻して細い攻めを切らさずバランスを保つ」ような将棋を指せたのは大きな成果です。序盤で入れたクサビが終盤まで拠点として残り、常に攻めの含みを残せた上、最後の最後に詰みに働くのは出来すぎでした。
 とはいえ様々な点で改善の余地はあります。最近は将棋の練習時間があまり取れていませんので、9月の第2期V名人戦へ向けて少しずつ時間を作り研鑽を積んでいきたいと思います。

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