3手目▲7七角戦法へのささやかな工夫
3手目▲7七角戦法をご存知でしょうか?
文字通り初手から▲7六歩△3四歩▲7七角(基本図)とあがる作戦です。
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有効な1手パスをして、居飛車振り飛車どちらの余地も残してちょっとでも得をしようという高度な作戦であり、力将棋模様になりやすいこともあって真っ向勝負は見た目以上に大変です。
ということで、個人的に気に入っている工夫を一つご紹介しようと思います。
◇きっかけ
こちらのツイートにいいねをたくさん頂いたので詳しく書くことにしました。
対▲7七角戦法です。これが打てるからと言って楽に勝てるわけではないのが楽しくも難しいところですね
— 常盤台メイ@バーチャルメイド (@TokiwadaiMei) March 16, 2020
将棋ウォーズ棋譜(kaokikansha:二段 vs TokiwadaiMei:初段) #shogiwars #棋神解析https://t.co/SFOUSytQER pic.twitter.com/osBgHqcrCJ
◇前提知識
ところで、3手目▲7七角戦法の形は気になる変化がないでしょうか? これは後手の4手目△3三角戦法にも共通することなのですが、
(基本図より)
△8四歩▲8八飛△7七角成▲同桂△4五角(変化図1)
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そうです。この△4五角が受けにくいように見えます。しかし、これには返し技があります。
(変化図1より)
▲6五桂△6二銀▲5五角(結果図1)
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桂馬跳ねから▲5五角で先手は香車が取れる格好のため、先手よしです。ここから後手の秘手として△1二香として香を取ったときの馬の位置を悪くする手があり意外に難しいのですが、それは研究課題とさせてください。
▲7七角戦法の優秀な点の一つは、角道を開けたまま向かい飛車にできる点にあります。特に相振り飛車では非常に大きな得で、後手番の4手目△3三角戦法ですら優秀なのですから、その優秀性は推して知るべしでしょう。
かといって後手から角交換をしても桂馬が活用しやすい格好で、無駄な手がありません。三間飛車などにも振りにくく、振り飛車党からすると困った作戦ではないかと思います。
◇ささやかな工夫
さて、前提知識をもとに私がオススメしたいのは4手目△1四歩です。例えば5手目が▲8八飛なら
(基本図より)
△1四歩▲8八飛△7七角成▲同桂△4五角▲6五桂△6二銀▲5五角△1三香(結果図2)
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ということで、秘手に比べてもはっきり得で、先手に香車を取らせず、後手だけ一方的に歩を取りながら馬が作れるのです。
かといって5手目に▲6八飛などと妥協してくれれば少し後手が得をします。先手から角交換するのは手損がひどい(1手かけた角をさらに1手かけて消しているため2手損)ですし、角交換しないと四間飛車は素早い攻撃がしにくいです。後から向かい飛車にするのはやはり1手損。
後手の端歩は相振り飛車にするなら多くの場合いつか突く歩なのでなかなか損になりません。居飛車が指せるなら端の位を取ってしまう作戦もあります。これだけで勝てるような対策ではありませんが、少しだけポイントはあげられているんじゃないかと思います。
ということで、ささやかな工夫でした。