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ば/けものの話

本日の一首は特にありません そんな気分じゃない時もある。

5月30日深夜〜31日未明 県下に大雨注意報

降り止まない豪雨の音を聞きながら『羊たちの沈黙』の
移送されたレクターとクラリスの会話シーンを延々と眺める

警官と囚人の立場が逆転するような
どちらが檻に入っているのか分からなくなるカメラワーク
歪な師弟関係が鮮明に描写されるこのシーンがとても好きだ。

恩師が人を試すような人間だったからなのだろうか。
色々なことを考えて頭がパンクしそうな時
かなりの頻度でこのシーンを眺めている気がする。

当たり前の話ではあるけれど誰にでも時間は平等で。
私が仕事をしている間に他者は他の場で
遊んだり勉強したり言い争ったりしている。

その「他の誰か」の行為が直接的であれ間接的であれ
自分に影響を及ぼす時、後になって気付く時、知らされる時
よく分からない獣に喉元を噛まれたような嫌悪感を感じる。
その際の逃避行動がこの映画を眺めることなんだろう。

根本に目を向けろ。答えは簡単だ。
マルクス・アウレリウスの哲学書を読め。物事の本質を探れと書いてある。
クラリス、君たちが探している男は何をしている。

映画『羊たちの沈黙』より

違う、それは二次的なことだ。
(中略)
極度の切望、それが本質さ。

映画『羊たちの沈黙』より

何に切望をしているか知りたい
そう強く思える他人なんて滅多に現れない。
それは他者に価値がないからではなく
自分が空っぽで、何を求めているか
分かっていないからなのだろう。


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