糖尿病治療薬を【安易に目的外使用する】リスク
前回の「糖尿病に関する話」の派生として今回は書いていきたいと思います。
そもそも【処方される医薬品を適切に使用する意味】
そもそも月島さくら以下「信者レベル(*1)」の擁護者は
【処方箋の適正利用】
が何故厳密に守られなければならないのかを理解していない節があります。
(*1)=批判を一切聞かない擁護者はカルトや宗教の様な信者として扱います。是々非々が出来ない時点で盲信しています。
こちらは神奈川県のホームページとなりますが、概ね厚労省の通達からの情報ですので全国の各自治体でも通じるお話となると思いますが、まず医薬品の適正利用の点で
>>医薬品の適正使用とは、まず、的確な診断に基づき患者の状態にかなった最適の薬剤、剤形と適切な用法・用量が決定され、これに基づき調剤されること、次いで、患者に薬剤についての説明が十分理解され、正確に使用された後、その効果や副作用が評価され、処方にフィードバックされるという一連のサイクルと言えよう。
とあります。(HPから引用。)
では前記事の様な月島さくらの使い方にこれを当てはめた場合、どうなるかを次項で見ていきます。
医薬品の適正使用を細かく見ていくと・・・。
まずは実際に所持していたとされるオゼンピックの適用範囲をサラッと紹介しておきます。
日本での認可は「2型糖尿病」に限って認められています。
この場合、処方適用になるには糖尿病と言う診断を受け、除外診断で1型(*2)と膵臓がん(*3)を否定した場合に限ります。(*4)
(*2)=膵臓の機能自体が破壊され、インスリン分泌が低下又は出来ない状態の事。主に先天性の事が多いが緩徐型もあり成人発症もある。5%程度と非常にまれな疾患である。
(*3)=膵臓から発生した悪性の腫瘍のこと。時にインスリン分泌を阻害するため高血糖を引き起こす可能性がある。ちなみに逆の低血糖を起こす場合はインスリノーマの可能性がある。
(*4)基本的にHbA1c・・・ヘモグロビン・エーワンシーを基準に考える。
5.9%以下は問題なし、6.0~6.4%を境界型糖尿病(所謂糖尿病予備軍)、6.5%以上を糖尿病と診断をする。但し最終的な診断は「耐糖度試験」を経てやる為、あくまでも参考値。医師によってはグリコアルブミン値やCペプチドも検査をして、総合評価する医師もいる。1型疑いの場合はCペプチドは必須の検査になる。
では【ダイエット目的】での処方はどうなのか。
これに関しては「薬剤が十分流通しており、現行の日本の法律では違法にならない」点があればお金を払えば自由診療でお好きにどうぞと言えますね。
但し、今回は薬剤不足の点があり、現状厚労省・医師会・製薬メーカーから医師や患者に対しての使用を控える旨が発表されていますので、これを無視していいとは思えません。(各リンクPDFのため注意)。
で、何故そもそも医薬品の目的外使用はいけないのか、この点本来元看護師の立場ならば絶対に理解できる点なのですが、私が「かかりつけの大学病院の医師、薬剤師」からの指導も含めてお話しします。治療などの誘導では無いので、医業とは関連しません。
そもそも目的外使用は【本来の患者に対しても負担を強いることになる】
まぁ要約・つまり簡単に説明しますが、医療って税金で賄われているからこそ、3・2・1割の負担、もしくは上限がありますよね。
で、目的外使用を続けられた場合、保険適用分以上に目的外使用が多いとして、保険適用から外されることがあります。
日本の現行法でこのような事は一度たりとも行われていませんが、今後、適用疾患以上に適用外疾患に対して使用が増えれば、保険適用から外すことは普通にあります。(ピルの様に本来認可外でも適用できるからと改正の動きがあるような例もあります)
また、間接的にですが、目的外使用は【税金の無駄遣いの助長】ともなります。
当然ですが、目的外使用に対しての対策は税金から賄われますし、下手をしたら社会保険料や国民健康保険料と言う形で、私たちの負担が増すことになります。
さらに突っ込んだお話をすれば、目的外使用を続けることにより、本来必要な患者へ届ける事が出来ず、命を奪うことになります。
無自覚に差別していませんか?
糖尿病は治ることが無い、完治不可の病気です。
薬も千差万別で、中には薬剤アレルギーで重篤な副作用を起こす方も居ます。
そんな中、漸く使える薬がオゼンピックだった場合、自己満足のダイエットでその人から奪う行為、命の選別や差別と言えませんか?それとも、自分が満足できれば、他人の命はどうでも良いですか?
貴方が糖尿病になった時、同じ立場になったら絶対に怒ると思いますよ。保証します。ダブスタがお得意ですから、命に関わるとなれば絶対にキレます。
そもそも目的外使用は【すべて自己責任】
これ多分理解できてない方が多いと思いますが
【本来の目的や用法容量を守らず、処方箋を使用した場合】
これ全額自己負担での治療になりますよ。10割診療です。
私は膵炎をよく起こす体質なので、オゼンピックの副作用でもあるこの膵炎に当てはめて考えてみましょうか。
薬剤性膵炎ってのがありますが、膵炎の主訴をご存じでしょうか?
腹部や背部の激痛
これだけです。一部には吐き気が出ますが、大半はこの耐え難い激痛が「カロナールやロキソニンレベルの鎮痛剤すら効かない」ものが1日中で続けます。
経験上、この腹痛を覚えて、2日もしたら炎症反応が10(*5)を超えて、緊急入院をさせられるレベルの病状になります。
(*5)=10以上は入院、20以上で強制入院、30以上で命に関わるレベルです。但し24時間経過しても上がらない人も居るため、原則画像診断も含めて診断します。
で、この薬って簡単に言ってしまえば
【膵臓と言う臓器にエンジンを取り付けて、薬と言うアクセルを使って働かせる】
そういった類の薬となります。
分かりやすく言えば、必要でもないのに膵臓に負担をかけてインスリンを分泌させる薬。とでも言えばいいでしょうか。
糖尿病の患者では、これをしなければ高血糖を起こし、最悪ケトアシドーシスを起こし、意識不明から命に関わる病状を起こすことがあります。
ですが、健康体の人がインスリンを無理やり分泌させることは・・・?
このGLP-1自体は「空腹時にはインスリン分泌をしない作用」があるのですが、そもそも医学界では「インスリン分泌を促すこと自体が、膵臓への過労を促すとしてよろしくない(*6)」として、避ける医者も居ます。
(*6)=インスリン分泌量は原則決まっているため、インスリン投与と違うGLP-1系統の薬では、膵臓への働きを促すため将来的にリスクが発生しやすい。なので急性期にはこちらを使用し、安定した場合は糖の吸収や食事・運動と言った薬に頼らない指導を行う事が一般的。1型はそもそも分泌が出来ない体の為、適用外。
幾つか文献、サイト、指摘もありますが、大体は
「インスリン分泌がそもそも足りない状況ではオゼンピック等のインスリン分泌を促す薬は使用せず、2型は必要に応じて処方、原則インスリン分泌を促す飲み薬又は血中血糖自体を排出する事で対処・もしくは抵抗性がある場合はインスリン自体を自己注射(*7)により対処。」
が原則です。
(*7)=自分の身内で、10年以上大学病院に通っているのがソース。その辺の診断書も出さない呟きより信頼できます。同じ先生へ私も受診していますので。
長々と書きましたが、自己責任と言う点でお話すれば、保険診療と言う観点は、あくまでも
「適正な治療・服薬を行いながらも、疾患を生じてしまった場合」
に限ってみて頂ける制度です。
例えば、適切な使用による副作用は、相応の制度があり、賠償を認めることもあります。
ですが、目的外使用による副作用は、現行法では明確に「認めない」としています。
膵炎を発症したとしましょう。私は2週間入院したときは、10割負担で50-60万円程の請求書が届きました。
ですが、この時は医薬品による膵炎を疑われ、明らかに故意的ではないと診断をされたため、限度額認定も適用され、この1割程度の負担で済みました。
ですが、目的外使用のために膵炎を起こした場合は、これをすべて負担する必要があります。
当然ですね、リスクを知りながら使ったのですから、病気になりたくてなったものです。
保険制度は、意図せず病気になり、必要な支援を行うのが目的です。コレは妊娠も含めてとなるので、多少は理不尽な制度ではありますが、現行法ですので認めるしかありません。
元看護士の立場で、リスクも説明せず宣伝することは薬機法違反の可能性も
薬事法は全て薬機法へ一元化されました。
と言う話は良いとして、そもそも当該人物は「リスクの説明」を一切してません。
勿論医者でもありませんので、本来はそのような説明は不要なのですが、宣伝をしておきながら、そのようなマイナス点を知らせないのは、不誠実だと思います。
また、現役医師からも、オゼンピックは不足しているという呟きからもわかるとおり、非常に日本の市場は枯渇しています。
そのような中で、命の危険にもなるこの薬での安易なダイエットを促す投稿は、非常に看過できません。
いい加減に理解して欲しい
別にアンフェでもフェミでも、何処の信者でも良いんですけど、医薬品を適切に利用しない行為は、税金の無駄遣いに直結します。
また、無意識に命を選別していることにもなりますので、このような状況・界隈に属しておきながら
【差別反対】
何て言わないでください。不愉快極まりないです。