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エッセイ『デタラメだもの』

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デタラメに生きる。デタラメに暮らす。薄暗い世の中をデタラメに生きるための処世術、バイブル。妄想まみれで日常を綴るエッセイです。
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#日常

あなたはM気質? それともS気質? 血液型はO型A型B型AB型? それを議論することに、果たして意味はあるのだろうか。『デタラメだもの』

「ボク、歯医者が好きなんですよ」といったことを言ってのけると、周囲から、あり得ない、考えられない、信じられない、などと距離を置かれてしまうことがよくある。しかし、その実、歯医者はめっぽう好きだ。 治療にはもちろん痛みが伴う。定期検診で歯石を取り除く施術だけでも、ぞんぶんに痛みを伴う。しかし、基本的には、治療によって死ぬことはないと盲信している。別に死ぬわけではないが、めっぽう痛い。そこが歯の治療のミソなわけだ。 痛みの延長上の最果てには、死が待っているとしよう。ところが、

スマートフォンで簡単決済。調子に乗って便利なものを利用すれば、背中に冷や汗をかくような場面にも遭遇するわな。『デタラメだもの』

便利なものを利用すれば、やはりそれなりのメリットは享受できる。特に昨今では、次から次へと新しいサービスが登場したりもするので、生活を便利にしてくれるものは、率先して取り入れていきたい。 そんな中でも、スマートフォンひとつで決済できるようになったのは、なんとも画期的だ。なんせ、財布を持ち歩く必要がなくなったんですもの。小銭やお札に触れて、手が汚れることもない。加えて、ポイントが加算されるカードを登録しておけば、買い物ごとにポイントも増える。むふふ。あまりにも便利過ぎて、これは

心から食を楽しんでいるにも関わらず、早食いで且つ、三角食べをしないことから、食に無関心なヤツだと思われる始末。『デタラメだもの』

食べるという行為は、実に楽しいものだ。その楽しみを知らぬ子供の頃は、食べることはあくまで単なる食事。サッサと済ませてゲームをしたり遊んだりしたくなったもの。しかし、大人になるにつれ、食べることが楽しみに変わっていく。 家庭で出される食事以外にも、多様な料理に触れるようになるし、何より食べたいものを食べることができる。雑誌などで見かけた店に足を運び、気になった料理を嗜む。食への興味も湧いてくるし、料理に対する造詣だって深まるだろう。 「楽しみ言うたら、食べることくらいでっせ

いちいち髪型を気にする必要がなくなる、画期的なアイデアを思いついたのだが。『デタラメだもの』

公衆トイレで用を足し、洗面台で手を洗っていると、たまにこういう場面に出くわす。洗面台の隣に立つ年頃の男子が、鏡に向かい、一心不乱に髪型をセットしているという状況。 年齢とともに、髪型の決まり具合を綿密に確認するようなことはなくなった。ただ、あまりにも鏡を見ずに過ごしていると、顔面に何か付着していないだろうかとか、余計な毛が余計な部分から生えてやしないだろうかとか、少しはチェックしたくもなる。 しかし、洗面台の前に二人の男が立ち並び、己の状態をチェックしている様子は何だかこ

消防車のサイレンがきっかけで始まるご近所付き合い。近隣住民がご近所さんに昇華する瞬間を想う。『デタラメだもの』

救急車や消防車のサイレンが聞こえる。遠くのほうから聞こえはじめたサイレンの音は徐々に大きくなり、すぐ近所まで近づいたかと思うと、ピタッと止まる。 サイレン音は音楽でもエンターテインメントでもないから、リスナーの気持ちを害さぬよう、フェードアウトなどして終幕を迎えてはくれない。いつだってピタッと止まる。音が止んだ瞬間、近隣住民たちは一様に思う。「近くで何かが起こってる!」と。 外ではガヤガヤと近隣住民たちの声が聞こえる。家着のまま、サンダルまがいの履物で玄関先に飛び出す者。

人間は思った通りに動いているつもりなだけで、実際のところ、思った通りに動いていない論を、日常生活の中で体感してみた。『デタラメだもの』

なるほどな。という発見をすることがある。あまり知識を持ち合わせない幼い頃は、出会うものの多くが「なるほどな」につながっていたが、年齢を重ねるとともに、それなりに知識が増えたり、既成概念を持ってしまったり、そもそも出会いたい情報にしか出会っていなかったりして、「なるほどな」の機会も減っていくように思う。 そんな折、10種競技や陸上競技のマスターズ大会など、さまざまな競技で結果を出してきた人で且つ、「百獣の王」「有名人の倒し方」など、バラエティ番組などでも活躍される武井壮氏の発

予定調和と化したライブでのアンコール。それでも人はなぜ、全力でアンコールを求めてしまうのか。『デタラメだもの』

ライブやコンサートなどに足を運んだことのある人ならわかると思うが、ステージにはアンコールというものが付き物だ。本編のステージが終わり、アーティストが一旦バックステージに引っ込んだ後、来場者の熱望に応えるかたちでステージ上に再登場。そこから数曲を熱演し、ファンの「まだ足りないよ!」という腹ペコさを埋めてくれるサービスだ。 まだライブやコンサートへ参加することに不慣れだった若かりし頃は、このアンコールのサービスに興奮したものだ。まだまだ熱狂に浸っていたいと渇望する気持ちを満たす

道案内に隠されたさまざまな物語。滅私奉公の精神で目的地まで案内して差し上げる勇姿をとくとご覧あれ。『デタラメだもの』

ふと自分の人生を思い返してみると、やたらと人から道を尋ねられることに気づいた。当の本人としては、人と違った生き方をしたいと、はみ出し者の生き様を貫いていることから、常に変顔をして道中を移動するなど、奇をてらった行動を演出しているつもりが、どこか朗らかなムードを醸し出してしまっているのだろう。老若男女、特にシニアの方々に道を尋ねられる機会が実に多い。 こうも道案内に精通してしまうと、前方十数メートル先にいらっしゃるシニアの方が、道を尋ねるべくこちらに寄ってくるだろうことを事前

店内の客に聞こえるように従業員を怒鳴りつけるバーの店長。過去の学びを活かして仲裁に入るも思わぬ結果に。

飲食店では、時に怒号が飛び交う。その商売に命をかけているからこそ熱がこもり、スタッフの至らぬ点を叱責してしまうものなのだろう。繁盛している店や昼時に混雑する店では、その光景は顕著だったりもする。 ところがどっこい、ごく稀に、客に丸聞こえの位置で、客に丸見えの位置で、従業員を怒鳴りつける店長なり先輩なりがいる。とてもじゃないが客として歓迎できるものじゃない。 以前、地元の先輩が結婚され、その後、地元を離れ夫婦で生活しているとのことで、「よし、じゃあその街まで行きますんで、呑

ふとした瞬間に昔を思い出してしまう。あの頃はよかったなぁと昔を懐かしんでしまう。あの追憶装置の正体とは?『デタラメだもの』

ふとした瞬間の街の空気が漂わせる香りに、つい昔のことを思い出してしまい、急に立ち止まり、「嗚呼、あの頃はなぜにあんなにも自由だったんだろうか」などと回顧するも、急に立ち止まったがために後ろを歩く人にぶつかられた。「いきなり立ち止まるなよ、クソがッ」と吐き捨てられ、はっ、そうか、ここは現実か、などと我に返る日々。 そういった類の、昔の記憶を呼び戻す装置的なものは一体なんだ? 一瞬にして感情があの頃に遡れたり、まるで映画のワンシーンを眺めているように、ウットリと自分の人生に酔い

馴染みの立ち飲み屋が想像を絶するリニューアルを遂げ、もはや二度と立ち寄れないほどの有り様になり果てていたやん。『デタラメだもの』

馴染みの飲み屋が潰れてしまうことは、長年生きていればそれなりに経験するものだ。しかし先日、馴染みの立ち飲み屋の店長が変わり、店を新しくリニューアルオープンするという出来事があった。リニューアル前の店は、仕事帰りにフラッと立ち寄れる飲み屋で、値段も格安。気のいい店長とアルバイト2名体制といった、こじんまりした立ち飲み屋だった。 オフィス街の一角にあるということもあって、スーツ姿のサラリーマンやオフィスレディーが目立つ店だった。店側も客側も隔たりがなく、あちこちで飲み屋特有のコ