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日米安保と怪獣映画

 「ちなみにどちらの映画でも、自衛隊がゴジラによって壊滅させられたというのに、在日米軍は全く登場しない。日米安保条約はどうなったのかということも注目されるべきであろう」(佐藤健志/『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』)。
 不在の「在日米軍」に言及した佐藤健志のイデオロギー論は、同時代の作り手に少なからず「影響」を与えた。日本が怪獣に襲われた時、同盟国であるアメリカはどう動くのか? 2023年の『ゴジラ-1.0』では、アメリカが「軍事的関与」を行えない中、民間人がゴジラ対策に当たるという設定になっていた。
 「ダグラス・マッカーサー最高司令官は「誠に遺憾ながらソビエト連邦との情勢を鑑み、軍事的関与は行えないと通達。同時に日本国政府に対し、日本の安全保障諸機関の増強を要望する」と要請」(『ゴジラ-1.0』)。
 『ゴジラ-1.0』は戦後の混乱期の物語なので「日米安保」とは直接の関係はないが、彼の国が「アメリカ・ファースト」で動いている点は注目される。ここでのアメリカは第二次世界大戦当初の、「中立」という立場に近い。
 

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