SF映画の法則
「戦争が始まったときの日本の政治家や庶民たちの反応は、八住脚本では善意の弱者ばかり登場して、悪人はほとんど現われない」(大伴昌司/『世界SF映画大鑑』)。
『世界大戦争』(1961年)の登場人物は善意の弱者ばかりで構成。大伴昌司はこれをリアリズムの観点から疑問視している。
「SFは飛躍した世界と飛躍の面白さをたのしむものだ。だが、それを映像化する場合は慎重な考慮が必要で、飛躍の程度をしめすための基礎ともなる現実の世界を、よりノーマルな状態で描いておかないと、イメージのひろがりをたのしむことが不可能だ」(大伴昌司/『OH! SF映画』)。
「純粋のSF映画を作るには、まず第一にリアルであること、正攻法で描くことが必須条件である」と大伴昌司。ディズニーの記録映画『砂漠は生きている』(1953年)は、砂漠をリアルに描くに当たり、生き物を「公平」に扱うことを心がけている。
「砂漠の生き物たちを正義の味方と悪役に区別することは出来ません。大自然はどんな生き物にも常に公平なのです」(『砂漠は生きている』)。