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『空の大怪獣ラドン』(1956年)──記録映画としての円谷特撮

 「円谷特撮のサイズや構図は、本物の怪獣がいたらこう撮れるだろう、全身は簡単には撮れないだろう……という、撮影者のドキュメンタルな姿勢から生まれたものだ」(池田憲章/『特撮円谷組 ゴジラと東宝特撮にかけた青春』)。
 円谷特撮の「アングル」は撮影者の「ドキュメンタルな姿勢」から生まれている。怪獣が本当にいたとしたら、周囲にどのような「影響」を及ぼすか。1956年の『空の大怪獣ラドン』では、ラドンの都市破壊が記録映画手法によって描かれた。
 「その翼が産み出す衝撃波=ソニックブームによる地上の大混乱は、むしろ台風のような自然災害によるそれに近い。いわば破壊の意志なき破壊である。となると、当然ながらその実際は邪念を含まぬ、自然の猛威のような巨大さとリアルさで表現されねばならなかった」(『大特撮 日本特撮映画史』)。
 ソニックブームの「影響」を、円谷は自然災害に近いものとして描いている。ラドンが写らない「アングル」は、作品の「テーマ」──「破壊の意志なき破壊」──に即したものでもあった。

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