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人生を戦った男──『仮面ライダー(スカイライダー)』(1979年)

 東京MXでリピート中の『仮面ライダー(スカイライダー)』。主人公の筑波洋は3年前に事故で両親と妹をいっぺんに亡くし、その上バッタ(イナゴ)の姿に改造されるという過酷な人生を生きている。「死んだ方が身のためだ」とは、パイロット篇に登場したガメレオジンの言。
 『スカイライダー』の世界観は第2話で語られる。この世界の人間は数が増え過ぎたため、今のままでは食べ物が不足して、飢え死にで全滅してしまう。影の組織・ネオショッカーの目的は人口を3分の1に減らすこと。そのために彼らは駄目な奴らを消す「人間減らし計画」を深く静かに進めていく。
 「殺したければ殺しなよ。生きてても大して面白いこともなさそうだしよ」(第2話)。
 『スカイライダー』の世界は暗い。人間たちは自分の未来に希望を持てずにいる。そうした中にあって、人生に命を懸ける筑波洋。彼を支えているのは「無理強い」をするネオショッカーへの憎しみだった。
 「嫌がる人に無理強いは反対だな!」(第1話)。
 原作は石森章太郎。石森は『氷河戦士ガイスラッガー』(1977年)でも戦う理由を失ったヒーローの人生を描いている。

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