鑑賞記録「初恋」

三池監督の恋の描写、に絶大な信頼を寄せているので大変楽しみにしていた映画をやっと観られました。ヤッター！
正直意気込みすぎて最初乗り切れなかったとこもあるんですけど、とにかくラストがめちゃめちゃに良かったので全部報われた気持ちになりました。良かった。頭からっぽの状態でもう一回観たい。

総じて全員が一生懸命に取り組んでいるが故にちょっと滑稽なのが、リアル…リアル？というか、なんかわかる感ていうか、そっかこの画面の中でこのひとたち生きてんだな、と思わされるというか。
加瀬（染谷将太）さんの初手から思惑通りに行かないストレスと箍が外れていくさま、ヤス（三浦貴大）くんの怠惰な輩感、ジュリ（ベッキー）ちゃんのひとりキルビル（キルビル観てないのに言う）みたいな高純度の愛情と殺意とケンカIQの高さと恐ろしいほどの美脚、大伴（大森南朋）さんの圧倒的小物感、等々、不謹慎な笑いと態とらしさすらあるネタ（追跡アプリのくだりとか）が随所に散りばめられている。勿論恋も。
そのくせ要所でキチッとロマンを見せ付けられるのも素晴らしかった。権藤（内野聖陽）さんのワン（顔正國）さんの決戦（あれこそがまあ恋でしたよね！）とか車内ラストのセリフとか、古いタイプの、フィクションとしての、『極道のロマン』でしかなかったでしょう。好き。
チアチー（藤岡麻美）さんの、呼ばれて起き上がる前に手を振る仕草がすごく好きでした。あれも浪漫。

格闘・逃亡劇後、怒涛の恋愛描写ターンからの美しい終焉はもうもうもう、圧巻でした。素晴らしかった。

レオ（窪田正孝）さんもモニカ（小西桜子）さんもけっこう壮絶な生まれと育ちなんだけど、そのくせあんまりこう……儚く可哀想に描かれてはいないのが良かったです。どちらかというと他人事みたいに空々しく図太く見える。そうして朝が来て、もとからあった図太さに、柔らかく強い光が加わったようにみえた。素敵でした。


それはそれとして劇中一回は観客を「はぇっなんで？？」て思わせないと気がすまないみたいな三池監督のこともわたしはファンなので好きですが、別に理解出来るわけでは…ないので…いやほんと、なんでだったの監督…笑。