ラブライブサンシャインがシリーズ中、個人的評価が地の底にある理由
ラブライブ!サンシャイン!! は劇場版を含めて、大きく盛り上がる山場のない作品だった。
今回は少し前の作品【ラブライブ!サンシャイン!!】の、全26話+劇場版まで含めた、私の感想記事になります。私は放送当時にリアタイして1期2期共に視聴済み、かつ最近スーパースター放送前に再度1期2期、当時見れなかった劇場版含めて視聴済みです。
※ここから先は私のサンシャインに対する批判多めの感想になります。サンシャイン大好きで批判意見は聞きたくないという人は即時ブラウザバックをお勧めします。
全体的あらすじ
作風
前作は都会の中心地秋葉原が舞台のため建造物が主な背景だった。今作は海が近く山もあって、自然豊かな街並みが目に優しい。グループ名【Aqours】の通り【海・水】がメインのため、青さが強調されている。
作品テーマ
【脱却】がメインと感じました。1期は【ラブライブ=μ's】という世間・作中での認識からの脱却を図り、憧れからの脱却を主に描かれています。
2期は【学校という縛りからの脱却】。廃校に伴い学校と言うモチベーションの喪失から、学校は生徒あってのものであることの再認識、学校だけが目標ではない事を描きます。
劇場版は【3年生組からの脱却】。卒業後、上手くいかない6人の奮闘が描かれていた……はず。
キャラクターの味付け
前作から今作へ移行した時に最も気になったのがこの部分。前作も濃いキャラは本当に濃かったが、今作はほぼ全員濃い。リアタイ時でも相当きつい部分があったが、見直してその濃さを再認識しました。
これは前作からの脱却を図るための差別化と言うのは分かりますし、濃い事は別に悪くはないのですが、連続視聴すると胃もたれを起こす。ルビイちゃんに関しては個人的に最後までどうにも受け付けることが出来なかった。個人回があったのに……あれが神回だったら……(詳細は後述)
個人的神曲
・青空Jumping_Heart
1期のワクワク感が爆上がりするテンション上がる一曲。後半の「だって」から始まる部分は戸惑いや迷いを振り切る元気と勢いを感じる。
・未熟DREAMER
1期最大の山場で歌われた、今の彼女達を示す曲。当時は泣いた。
・未来の僕らは知ってるよ
2期OPで、ラブライブシリーズOPの中で最も好きかもしれない曲。繋がる映像は一見の価値あり。彼女たちの行く末を知っていると悲壮感を感じる不思議で爽快感のある名曲。
・WATER BLUE NEW WORLD
2期の決勝にて歌われた、3年生を含めたAqoursが最後に世に出す一曲。羽根を受け取る立場だった彼女たちが、次世代への青い羽根を渡す立場になることで「新たなる旅立ち。巣立ち」を表現していて涙があふれる。
最終話が全てを台無しにした1期
記事冒頭で「山場のない作品」と言い切ったが、何度も涙しているため山場がないというのはおかしいのではないかと思う事でしょう。確かに、山場はある。しかし酷い展開のせいで山は爆破されて平たんになった。それは1期、2期、劇場版全てで起きているため、結果的にサンシャインは何にも残らない平野になっているのである。
1期から順に解説します。
まず1期は「メンバー集合」までに8話を要し、ライバル登場の回、その後は高海千歌の「憧れからの脱却」を描く12話へと繋がっていく。
そして13話で地区予選へと繋がっていくのだが……正直12話で綺麗に終わらせればよかったと思う程に酷かった。
酷かった最終話には5つの意味不明ポイントがあり
「これは演出なんだ」の度を超えて意味の分からない展開になっている。そもそも生徒全員で踊りたいという案を、大事な地区予選数日前に提案するのも変だし、それは自己満足であって付き合う必要は何処にもない。
視聴者の私としては「ラブライブというステージはこれまで頑張って来たAqoursだけの活躍ではなかったのか」等のもやもやが募るまま、生徒たちが会場まで本当に着てしまう。そこでようやく告げられる「実は無理だった」というのは肩透かしどころの話ではない。なぜもっと早く言わなかった??と疑問符しか浮かばない。割と有能な子がこの体たらくで、脚本の都合上あほにされたとしか思えない。
そしてミュージカルで語られる過去12話分のあらすじ。リアタイ時も今も、ただただ痛々しい。誰に向けての演出かもわからない。長い。視聴者は全員知っていることだし、観客には一切関係ない苦労話だ。アピールタイムってこんなに長くて大丈夫なのか?
その後歌う時に観客席で興奮した地元民たちがステージ下まで押し寄せてしまうトラブル発生。指定された席ではないのだろうけど、明らかに他の客に迷惑。
極めつけは歌の最中にフォーメーション等を無視して勝手に駆け出し出口を開ける千歌。開いた先はさざ波の音が心地いい海…で終わり。リアタイでは勝ったか負けたかもわからないです。ナニコレ?
12話まではかなり楽しめていたのに、最後の最後がスピリチュアル超えて人類には早すぎるような展開が続いている。私がサンシャインを他人に勧める時があるなら「13話だけは見ないで欲しい。見なくても続編は分かる」と伝えるよう心掛けている。MIRAI TICKETは悪い曲ではないが、この展開のせいで2度目の視聴までどんな曲だったか全く思い出せなかった。
姉立ち出来ぬ2期
2期は「チームを2分しないとイベントを埋めることが出来ない」回があったが、「実は何とかなったぜ!」な展開もある。
最終話では「皆が何故かいる」展開もある。だがこれは別に何とも感じなかった。先程の最終話に比べたら何でもないことだ。「まああるある」と、演出上の強引な展開と割り切る事が出来る。
どうしても割り切れない回は9話。これがあったため個人的にサンシャインの評価は地に落ちた。その解説をしていく。
姉妹が敗北し、姉へのライブを決めるのが8話。披露するのが9話という、ライバルキャラとの共演をメインにした絆の物語。8話時点は最早神回にしかならないと個人的に最高潮の山を感じていた。同じ1年生同士、姉を失った後の事を考えねばならない巣立ちの回。その思いをライブと言う形で披露する、ラブライブと言う作品上筋の通った展開。
更には狙ったであろう、前作2期9話は雪降る場所で【Snow halation】を歌った繋がりで、雪降る北の大地で歌われる曲。9話がどんな展開になったとしても、歌と妹の真心があれば8割くそみたいな展開でも10割神回に反転することは約束されている。
そんな心持のまま迎えた9話。
神回ではなく屑回になった。
他作品「さようならドラえもん」をご存知でしょうか。ドラえもんが未来に帰るという最終回である。ドラえもんが帰る前に秘密道具に頼らずともやっていくことを示すため、不意に現れたジャイアントの理不尽な喧嘩をのび太は独りで戦い抜く。何度やられても立ち上がり、不屈を示して根負けさせたことでドラえもんは強くなったのび太に涙を流し、帰っていく。という物語だ。
もしも、ドラえもんが途中で駆けつけてジャイアンを何らかの秘密道具で倒したらどうなるでしょう? 心意気も決心も台無しになる事請け合いだ。
サンシャインが9話でやったのはまさにこの助太刀だ。
準備を重ね、妹同士2人だけの大舞台。イルミネーションが綺麗な道路を舞台に【Awaken the power】を熱唱。ああ、巣立ちの音が聞こえると大満足で聞いていた私……の視界に、「2人の姉含めた全員が駆けつけた」。
わが目を疑った。何やってんだと疑問に思った。神曲だと思っていたAwaken the powerは二度と聞けぬ曲になった。(リアタイ時の反応)
知っていたがやはりつらい。「サプライズを用意している」などの全員参加の伏線はあった事に気付くが、それを補って尚酷かった(2度目の視聴)
この、8話と9話を使って何がしたかったのかわからない。未だにわからない。何故、姉妹との決別、巣立ちと言う超大事なイベントにサプライズで水を差したのだろうか。ラブライブサンシャインは【脱却】をメインテーマにしていると私は先ほど述べたが、この回はまさに象徴的回になるはずだったのだ。いつも姉の庇護にあった妹が、姉を安心させる、超えるための超重要回になるはずだった。
全員で歌う……成程、AqoursとSaint Snowの決着回としては大団円だ。その発想自体は大賛成だ。ただそれは妹2人だけの歌の後でもよくはないか? 何のためにこのステージを大人が大勢いる面接乗り越えて確保した? お姉ちゃんたちに「自分たちで出来ることを伝えたいため」ではなかったのか?
途中で参戦するのが「1年生組2人」ならまだいい。一緒に準備していた縁もあり、「1年生が卒業する3年生に送る歌」というテーマを持ってもまるで不思議でもないし矛盾もしない。
やり方も演出もあっただろうに「全員出す」という過程を雑にした結果何が言いたいのかわからない回になってしまった。
因みにスーパースター放送前にラブライブシリーズ一気見を日に4~5話のペースで行っていたが、この回を見て2週間はラブライブを見ることが出来なくなるほどの嫌悪感を抱くことになった。
味のないゴムを噛むような劇場版
リアタイ時には「もうこれ以上やる事もないし映画は良いや」として未視聴だったサンシャイン劇場版。しかしスーパースター視聴前に全部見ておかねばならないとして視聴したところ……当時の私の感性は正しかったと判断するにいたったのでした。
実を言うとどんな話だったか思い出すのが難しい。いや、本当に。ながら見ではなく真剣に座ってみていたのに、満足感を感じないばかりか、感動もしないし山場もないし、何か目的意識はあるのにフワッとした解決になってしまう。致命的なのは【Aqoursが劇中、何を歌っていたか思い出せない】ことです。
前作の【Angelic Angel】【SUNNY DAY SONG】【僕たちはひとつの光】みたいに、印象的なシーンにバシッとハマる象徴的な歌があったはずなのですが、何一つ、フレーズも思い出せない。聞いても多分、思い出せない。
それは多分、印象的シーンがそもそもないため、フックがかからず落下しているからでしょう。唯一覚えている曲がSaint Snowの【Believe_again】。フレーズも曲調もかっこよくて覚えています。それだけです。ライバルの曲しか印象に残っていないのはヤバい。歌がメインのアニメでこれは最早大失敗です。
劇場版は2期みたいな深い悲しみと怒りを感じることもないし、1期のような意味不明の坩堝に落されることもないので安心。それくらいしかアピールポイントがない。
お金払って劇場で見ていたら、見終えた時に虚無の表情をしていたと思います。味がない。濃すぎるキャラのドタバタなのに何の味もない。そしてガムではなくゴムなので再度食べる気も起きない。何度も視聴に耐える前作からの脱却は、【脱色・脱臭】という完全漂白の形で果たされた。結果何にも残らないという残念な結果に終わった。
総評
「ラブライブに優勝する」ことはもう100%決定事項なんです。最後の最後にわかり切ったドラマです。
故にラブライブシリーズにおいて大事なのはその過程。その山の悉くが爆破されてしまっているのがサンシャインです。2021年10月現在におけるサンシャインは個人的に、シリーズ作品中ぶっちぎりで最下位の位置づけです。これを下回る作品が今後現れないことを五体投地で願う次第です。
以上、ラブライブサンシャインの感想でした。
サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。