【ネタバレあり感想記事】映画ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章
安心安定のアニメ。60分が溶ける。
※この記事は現在公開中の映画、映画『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』のネタバレあり感想になります。まだ見てない人は今すぐ映画館にGO!
この日のために全話見直した(1期は3回目)
アニメ「ラブライブ」シリーズは全部で4つ。
無印、サンシャイン、ニジガク、スーパースター。この中でもニジガクのみが異色の作品で、脚本が飛び抜けて安定していると個人的に思う作品。
特にラブライブを目指さないという一点がこれまでの先品と一線を画す。スポ根に割く時間が各キャラの心情や日常、他校や校内の生徒連中との交流時間にあてられているため従来よりも大勢の人間を感じられる。
映画を見るにあたり私は「1期・2期・ネクストスカイ・にじよん・にじよん2」の全てを、再度鑑賞してから挑みました。1期を通しで見るのはこれで3回目ですがまるで苦にならない。5日想定でしたが3日で十分でした。
でも別に見直す必要は無かったりする?
映画冒頭でほんの少し振り返りの短縮版総集編があるため、ガッツリ見直す時間がない人も安心だ。でも時間があるなら全話見て欲しいな……1期6話とか12,13話、2期3話、13話の深い感動はしっかり見た者にのみ与えられる。
感想の前に
作画の変更について
他の人がどうかは知りませんが、個人的には「また変わった」だけです。ニジガクほど作画がころころ変わる作品も無くて
と、今まででも4種類。これに「映画版」が追加されるだけなのでぶっちゃけあまり気にしていない。変化し続けるコンテンツ、良いじゃん。
全体的な評価
たった60分ちょいの中に、ニジガクの面白さやテーマがギュッと詰まった作品に仕上がっています。ラブライブ出場&勝利という明確なゴールがないニジガクにとって、映画でやる事は従来の海外旅行ではなく3年組の卒業式と思っていたのにまさかの沖縄旅行。そして「競い合うことでお互いをより深く知る」という、仲良しから一歩踏み込んだ領域に到達する物語で度肝を抜いた。
だって、基本的にソロで活動し、2度開催されたスクフェスや2期最終回の同好会単独ライブも、他校と競うとか票を集めるとか人気を勝ち取るとか、そういうのと無縁で「競争」要素が一切なかった。映画でそれを解禁するわけですが、それに伴う面白さと葛藤、親しい者たちの知らない一面を少しずつ知っていくという相互理解も込み。更には追加の新キャラも出してお悩み解決もしちゃいますというのだから驚きだ。
普通のサンドイッチを期待していたら、美味しい具材タップリのドデカサンドイッチをお出しされた気分、非常に満足度の高い映画になっています。
100点満点中、100点。許されるなら200点。
思い切ってメンバーを分割という英断
勿論、60分にそれだけ詰め込めたカラクリもあります。
ニジガクは侑ちゃんと12人(2期含める)のスクールアイドル、計13人が織りなす物語ですが、この内6人が別会場にいるため本作では殆ど出番はありません。主要メンバーを削った分、新キャラを出してその背景に注目しても時間的余裕がある。
最初は全員で行けば良いとか考えていましたが、それだと60分では到底終わらないし、ソロ曲12曲分と全員で歌う曲を1本の映画で一気にお出しするという事態になってしまうのでボリュームが過剰になる。
無印版の劇場版ラブライブも、トリオで1曲ずつ=3曲、9人で3曲の6曲だったことを踏まえれば、流石に12曲は多すぎるのでこの判断は正しいです。
「推しがいないんですが?」←完結編第2章を待つのじゃ…
「1人だけソロ曲ないのですが?」←完結編第2・3章を待つのじゃ…
※ここから先は本格的にネタバレ感想になります。
スクールアイドルGPX(グランプリ)
※※少し考察※※
ラブライブとは違った大会「スクールアイドルGPX」。ソロをメインにして、期間中にライブ配信・動画配信などで人気を得て、最終的に多くのファン投票を勝ち取った者にドームライブをプレゼントというもの。
何でこんな大会が開催されたのか? と思ったけど、昨今のラブライブ事情(アニメシリーズ内)を考えると納得してしまう。
穂乃果ちゅんが奮闘して勝ち取ったラブライブの頃から、サンシャインに時代が移り変わると「超絶技巧の聖闘士スノーですら予選に苦戦する」レベルに様変わりし、「応募人数増加の割にハードルが上がりすぎている」状況になっている。そしてニジガクのOVAネクストスカイを見るに、上記2作品は密接に関わっていて、尚且つスクールアイドル記念館が出来るほど歴史を積み重ねている。
となれば、現在のラブライブはスーパースター並かそれ以上のレベルになった可能性も……まさに魔境と化しているだろうなって。
1期3話で、せつ菜ちゃんが「私がいたらラブライブに出られないんですよ?!」と叫ぶシーンがあったが、つまりはスクールアイドル=ラブライブに出ることが常態化しており、ラブライブに出ないとスクールアイドルを名乗れないみたいな常識も蔓延ってそうなんですよあの世界。
だからこそ「スクールアイドルの祭典」スクフェスは、「スクールアイドルがメイン」で、競わずともスクールアイドルが輝く場所は必要なのだという侑ちゃんが思い付いた革命なのだ。
大人の手が入っていない事などもあり、短期間に2度も開催する程の盛況ぶりになったスクフェス。しかしこれはあくまでも、廃校とは無縁で生徒の自主性を尊重する巨大な虹ヶ咲学園あってのことだろうから、他所が真似したくても小規模になるか、金などの利権が絡みそう。
「スクールアイドルが輝く場所」を新たに作る事で、高くなった敷居を下げてスクールアイドル志望者が増え、未来のアイドルを発掘しやすくなる。参加者には知名度というメリットを与え、大人にはお金の匂いを漂わせる企画こそ、スクールアイドルGPXなのでしょう。
で。これに参加することになったニジガクメンバー。ソロで参加活動とあり、まさに彼女たちのために誂えたような大会だ。
沖縄が会場
沖縄という大きな舞台どこでも配信が可能というトンデモないスケール。しかも招待したアイドルたちの旅費も出してくれる、ステージ増設を半日で終了させるスタッフの数などを考えると金のかかり方がエグイ。
スクールアイドルの認知度が飛躍的に増したからこそ、大金持ちが大金をかける価値ありとみてくれるのは正直有難い。というか地元に落ちる金の量も大変だ。でもこれだけカメラあるのに「カメラの映像が一望できるサイバー空間」描写がないのは新鮮だった。絶対に変なキャラがポテチ片手に「おーおーやっとりますねぇ」とか言ってそうなのあると思ってた。
新キャラ3人ともキャラが濃い
ランジュママ
アプリ版でも出たようですがアニメだと初。超お金持ち。ランジュ同様に「伝え方が下手」。ランジュとはしなくてもいい対立をすることに。流石ママライブだけあって美人さん。
赤嶺天
長身で控えめ、素朴で優しくいい子。同級生にいたら好きになってしまいそうだ。スクールアイドルをやったことで、幼馴染の小糸とギクシャクすることに。
石嶺小糸
「ふーん。ま、私の方が上だけどね」と言ってそうな初登場時、南の聖闘士スノーか? サニパ枠か? とか想像していたけど実際は真逆だった件。スクールアイドルに何か因縁はある模様。
各人の感想
エマさんの包容力
アニメでも随所で「おおらかで優しいふわふわの雰囲気」が立ち上っているため、歌えばどこからともなく子供たちが寄ってくる、歩くマイナスイオンのエマさん。(そうか。果林さんは女児だったのか……)
悩める天ちゃんや、傷心のランジュを救う時の違いも良い。
天ちゃんの場合は優しく包み込むように悩み事を聞いて、その上でベストな方法を選び、関係の修復・改善をしてくれた。
ランジュには拒絶する意思を見せられてなお、その腕を掴んで強い意思で話を聞いた。2期を踏まえるとより一層「2人の関係性が進んでいる」ことがわかる良いシーンです。
一言で優しいと言っても表現が画一じゃないのが彼女の魅力だ。ソロ曲も三線が神秘的雰囲気をマシマシにしていてマイナスイオン直飲みです。
彼方ちゃんの世界
スヤピで癒しの彼方ちゃんは、水族館でのソロ曲でもゆったりした曲かなと思ってたらまさかの明るい曲。薄暗い水族館とは思えない「明るさ」がそこにはあって、「ここ水族館だが他の客大丈夫か!?」と無用な心配をしてしまった。
同好会に入ってから彼女はどんどんと変わり続けたのを見ているから、今回の曲はまさにその変化を感じる。マッサージで蕩けていたと思ったら一気にお姉ちゃんに変化してしずくを包むのとか、貴女はメタ〇ンかよと。良いよ、最高です。
先制攻撃のしずく
個人的にソロライブ衣装の攻めっぷりが一番癖に刺さるのが、GPX開幕直後に行ったしずくちゃん。お腹も胸元も腋も生足も全てが良い。赤い水着も南の島の情熱を感じるし、白いリボンのカチューシャやいつもと違う髪型は赤いリボンよりも少しだけお姉さんになったようで垢ぬけている。控えめに言ってエッチなのに、本人の可愛らしさと元気いっぱいの曲で見事にいやらしさが弾き飛ばされている。デザインしたのは神でしょう。
1期の「周りに合わせる」ことを最重要視していた頃から、「周りよりも先に」ライブを始める積極性を持つに至った強さも見逃せないポイントだ。
で。君はいつ歌うのだ、かすかす?
ソロ曲は……な゛にも、な゛がった。いや、でも何もしてないわけじゃないんです、彼女はGPXで誰よりも対抗意識剥き出しだったのは確かだ! でもイメージ戦略のショート動画と、周りの橋渡し的役割をしていたら時間が無くなっただけなんだ!! かすみんの新曲聞きたかった!!!
「88位? インチキだ! ランジュママが贔屓している、もしくは圧倒的可愛い私を貶めようとしている、直談判だ! うぉおおお覚悟ぉおあああ(プールドボン)」←コントというかピエロで草。ライブしてないのに最下位じゃないだけまだましだよ
でも彼女なしにはランジュの問題を解決できなかった上に、他のスクールアイドルを救えなかったと考えるとまさに英雄なんですよ。行いだけなら旗を振り回すかっこいいかすみんで満足。
勘違いのランジュちゃん
かすかすが間を取り持ってくれたので大事には至らず。サンシャインの映画みたいに激しい親子喧嘩になると落としどころ分からなくなるからね。エマちゃんとの絡みもあったりするので女児みがアップしている。
背も体系もモデル並みで大人っぽい雰囲気のソロ曲も持っているのに、実に楽しそうにGPXを満喫する彼女の毒気の無さ、無邪気な大型犬って感じで凄く可愛い(にじよん2より)
良くも悪くも、何でも一人でやるという真の意味でソロアイドルだった面影はもうないけどこれでいい、これがいい。
推しぬいの歩夢
なんなら侑ちゃんも推しぬい持っているのなに??? 2期13話で「離れていても一緒」という素晴らしい終わり方をしてからの、今回、どうしたってくらい距離が近い! いくらなんでも近すぎる! お互いのぬいぐるみ持って要所要所で見せつけてくれるのは、流石にね! 他の皆が抱き合ったり肩に頭をのせたりとかそういう軽い愛情表現を見ても心が満たされるだけで済んだけど、この2人に関しては【ガチの親愛】オーラが溢れていて不用意に突っ込むことが出来ない。
肝心の物語においてもその存在感はあって、「競争」に伴う心のすれ違いを危惧し、ランジュからの「負けないわよ」に何故と思ったりなど、本作のテーマに彼女なりの答えを見つけるまでが実に熱い。ソロ曲も演出が熱い。
天と小糸
歩夢同様にメインテーマに1つの答えを出す。その結果訪れる瞬間最大風速のてぇてぇに耐えきれるかな? 私は見事耐えきってここにいるぜ! なんか体が半透明だけど気のせいだぜ! というかこの2人に関しては、これまでのラブライブを見ていると「ああ…」と考えてしまう。これ以上は大きなネタバレになるので劇場で見よう!
ED曲「どこにいても君は君」
ピクニックに行くような軽快なリズム。本作のソロ曲は5曲とも英語タイトルなのに、これだけはひらがな多用の日本語。
聞けばわかるんですが、終始楽しい曲なんです。しんみりさせるような部分もなさそうなんです。なのに、
「明日どんな夢が生まれるんだ」で1期や2期のあらゆるシーンが、頭の引き出しからなだれ込んできて、
「楽しくて」から涙があふれる。
これが最終回だったらまず、確実に号泣している。というかもう分かってる、これ、3章辺りに来るであろう卒業式で流れるでしょ!!!? それ想像するだけでもう涙があふれるんだよ!!! これを映画館の大音量で、ドルビーとかだと周囲から浴びるように聞くわけでしょう? なるほど、3章が私の命日か。じゃあそれまでは死ねないね!
最後にもう一度言います
絵が変わったとか、1時間しかないとか、そんなものは本当にいったん考えを捨てて見に行って欲しい。ニジガクファンなら行くべきです。彼女たちの3部作の門出を祝おう!
以上で感想記事を終わります、読了ありがとうございました。