わんだふるぷりきゅあ49話「あなたの声」感想
最後の敵(ガオガオーン)は、最も身近な動物。
前回のあらすじ
仮面に隠された哀しき心。ガオガオーンたちを浄化せよ。
※この記事は「わんだふるぷりきゅあ」のネタバレを含みます。
その始まりが、わんだふる
在りし日のスバルとガオウ。これから起こる狼狩りを伝えねばならない心苦しさに胸が張り裂けそうになっているスバルに、ガオウはただ寄り添っていた。その親愛の情が、重ねてきた思い出が、後にアニマルタウンに憎しみとして現れる原点。わんぷりメンバーたちが歩んできた全てのわんだふるは100年以上も前から繋がっていた。永い永い縁の結びはどうなるか? 泣いても笑っても今回で決着がつく。
たくさんの幸せを求めて
ガオウたち狼を絶滅させた人間が憎いスバルは、ニコ様から奪ったダイヤの力でアニマルタウンの大地から森を生やす。人間は眠りにつかせ、自分はその森で何をするのかと思ったら…
スバル「ガオウを蘇らせろ!」
迫害する者のいない静かな森の中を、もう一度友人と駆け抜けたかったのだろう。失った命を取り戻すために、全能の鏡石に願いを告げたスバルだが…
私たちは知っている。「限りある命には必ず終わりがあり、それはニコ様でも覆せない」ことを。沢山の幸せを貰ったフクちゃんが虹の橋を渡った時のことを覚えている、命の尊さを知っている、だからこの願いが届かないことも分かっていた。
奇跡の力を以てしても、スバルの悲願は絶対に達成出来ない。それを知った彼の絶望の行き先は鏡石。砕け散った鏡石はあちこちに散らばっていく。
人間のガオガオーン
失った友達を取り戻す。そんな最後の希望も断たれてしまった以上、スバルが戦う理由もなくなってしまった。自棄になって鏡石を砕き、使い道のなくなった力を取り込んで自らをガオガオーンに変化させてやることが、亡き友達のために怒り狂って(人間の)世界を破滅させること。
そんな大それたことをガオウが望んでいるハズもないのに、袋小路に追い込まれたスバルに声は届かない。
わんだふるぷりきゅあの最後の敵。それはこの世に多く存在する、人間のガオガオーン。願いの力を取り込み、巨大で威圧的な見た目は、人間の姿を捨てて狼になっていた。それは彼が願ってのことだったのか? それとも人間でなければ何でもよかったのか。
誰に届けるわけでもない遠吠えが響き渡る。ただただ悲痛な叫び声は、スバルの泣き声にしか聞こえない。
こんなに哀しいラスボスは類を見ない。
この世で一番憎いもの
全て優しさだけで解決できない
空を自在に駆け巡る狼の幻影が複数体襲い掛かり、スバル本体も2足歩行で大振りかつ素早い猛攻でわんプリメンバーに反撃する。
月光のない狼人間に対し、やはり最後まで説得と専守で応じるプリキュア。フレンディはスバルを「動物に好かれる優しい人」と必死で叫ぶが
スバル「優しさでは、何も出来ない!」
そう、彼は元々底抜けに優しかった。だから狼たちを何とか助けたかった。それでも力がないから、全てを失い、憎しみと奇跡に心を濁された。知った風な口を利く邪魔者たちを払いのける嵐のような攻撃、そして足を止めたフレンディに襲い掛かる強烈な一撃―――
その攻撃を庇ってワンダフルは、張ったバリアを貫通するほどの攻撃をまともに受けてしまった。意識を失い変身が解けるほどの致命的な一撃で陥落するこむぎ、それを抱きかかえて涙を流すフレンディを見てスバルは
忘れたい記憶を呼び覚まされる
狼を逃がす手助けをしていた自分に向けられた人間の銃口。それを護るために飛び出し、凶弾に倒れたガオウを、抱きかかえて泣き叫んだあの日。
「自分がいたからガオウは撃たれた」
「自分と知り合わなければ狼たちは何処かに行っていたかもしれない」
なによりも、
「今。自分が嫌った人間の凶行と、同じことをした」
彼は元々底抜けに優しかった。だから、狂気と勢いで人間性を捨てることは出来ない。誰かのせいにして憎しみ続けるような性分ではない。根本的に彼はラスボスどころか敵役に向いていない。
そんな彼がただただ自分を責め立てる。
「狼たちはきっと俺を恨んでいるだろう」
「何も出来ずにガオウを死なせた俺を憎んでいるだろう」と、狼の幻影たちを自分の体に縛り付けて、自罰的な行為に走らせる。とんでもなく悲しい光景だ。ダメージが通っているのに、これ程嬉しくないなんて。悲痛な叫び声に胸が苦しくなる。
ザクロ「スバルやめて、もういい! これ以上私(狼)たちのために怒ってくれなくて良いんだ!」
当のザクロがそう言っているのに、スバルには声が届かない。答を求めない遠吠えにかき消されて、何も聞こえなくなっている。仮に聞こえても、スバルは決して己を許さないだろう。彼を救うとすれば、それは彼の妄執の源泉だけ。すなわち
こむぎの帰る場所へ
意識のないこむぎは、大きくて青い毛並みの狼と向き合っていた。きっとその狼はずっと、スバルに声を届けたかったのだろう。その声を受け取ったこむぎは再び、彼女の帰るべき場所へと帰還した。
いろはの元へ。大好きが止まらない相手の元へ。
スバルに届けなければならない狼の声。それを伝えるために、この哀しい戦いを終わらせるために再び起ち上がる。
悪夢のコラボレーション
暴走する自縄自縛と自己嫌悪、そしてニコダイヤから溢れる奇跡の力は、スバルを狼人間の姿から更に上……怪物に変貌させる繭を生みだした。動物でも人でもないそれを、上位と言って良いか分からないが、それが良い結果に結びつかないことは誰の目にも明らかだろう。
無数の狼を取り込むというより、スバルには「自分を恨む狼たちが自分を食い尽くそうとしている」ように見えるのかもしれない。
プリキュアの水先案内人
映画を乗り越えた時空
強固な繭に籠り、自動反撃も可能な要塞と化したスバルに成す術のないプリキュア達。それを見守る事しか出来ない悟君……ではなく、
悟君のことを案じる大福の目の前に、砕けた鏡石の欠片があった。鏡石に映った大福を見て、私の胸の内に沸き上がる予感。そして
大福「俺の願いは決まってる。お前と出会った、あの日から!」
会いたかった…会いたかったぞ、大福ぅ!!!
男にも宿る乙女心にセンチメンタリズムを感じずにはいられない!
わんぷり映画を見たあの時から心奪われていたんだぞ!!
しかし最終話直前でようやく地上波初登場とはまさに眠り姫!
そして大福さんの願いはいつだって、悟君の力になりたいとか、そういうもので決まっているんでしょう! 分かっているんだ!
悟君の願いは「いろはちゃんたちと、プリキュアの力になりたい!」
どっちもよお! 自分のためじゃなくて、他人のために願いを使うのは、ペットは飼い主に似るって、ほんとそれな!! しかもこれ私生活とプリキュアで分けているのもね!!
「プリキュアの力になる」願いといったら、そりゃあもうプリキュアと同等の力を得るしかないじゃない!! つまり降臨するんだ!!!
キュアファイヤー!! キュアセバスチャン!!(違)
変身シーン、飛び出すシーンが、すげえヌルヌル動く! 最終回直前の割に作画は結構大人しい、とか思っていたけど溜めてやがった!
映画で見たコンビだ! 特典もこの2人だった、ときめくねえ!
人間体の大福を見ても悟君は慌てないし、フレンディも一発で「大福ちゃん!」と気付いたのを見ると、映画わんだふるぷりきゅあの経験を経ているんだな! ……だとしたら助けてくれヒーローガール!! この世界にいるんでしょう!? というか本編でも出てたじゃない! BGMも引っ提げていたじゃない! この繭ぶっ壊して!
でもスバルへの水先案内人は大福が引き受けてくれたわ、ありがとう大福!
君たち男組のバリアは押し付けると貫通も出来る攻撃性能込み、流石は兎。RPGやガルパンでは最も警戒すべき動物だ!
ガオウの声
それを聞きたくて奇跡に縋ったのに、聞けなかったからスバルは暴走している。でもワンダフルは、繭の中に囚われたスバルに「ガオウはスバルの事全然怒ってないよ」と言うのだ。出鱈目と言われてもおかしくないだろう。
飲み込まれても彼女は、託されたガオウの声を届けるのをやめない。
フレンディ「さっきガオウと会ったし!」
普通は動揺を誘うための嘘だと一蹴されるフレンディの言葉に耳を貸し始めたのは、ハロウィン回で交流をし「嘘をつく子ではない」ことを知っていたからだろう。そこから紡がれる、動物が人に寄せる真心、ガオウからスバルへの想い、1つ1つがスバルの心の闇を晴らしていく。
フレンディ「スバルが苦しんでいると、ガオウも苦しいんだって」
スバルが知るガオウと、フレンディの言葉が一致したのか。それまで自分で生み出していた「自分を恨み蠢く狼の群れ(己に課した苦しみの罰)」が消え始める。解放されたフレンディたちもスバルに慈愛の言葉を投げかける。
スバル「何故だ。俺は罪なき動物たちを苦しめ、お前たちを傷つけたのに」
と涙を流し、己を縛る繭すら消滅し始めた。ここのフレンディの言葉は、単純明快で、優しさに溢れていて、涙が溢れる。是非本編を見てほしい。
わんだふるなニコエボリューション!
ニコ様「様々な生き物が集まれば、ぶつかり合って争いが起こってしまう。でも、相手を想う優しい気持ちが集まれば、怒りや憎しみをやわらげ、争いを止める力となる」
優しさだけではと言ったスバルの言葉も真実だ。しかし力に振り回された彼を癒すのは、やはり優しさなのだ。
スバルほどの強大になった存在を浄化するには、単なるダイヤモンドリボンキャッスル→エターナルキズナシャワーでは足りない。
いつもの可愛いマスコット姿ではなく、開幕から女神の姿で行う、おそらく最後のダイヤモンドリボンキャッスル。エターナルキズナシャワーも特別仕様だ。是非見て欲しい!!
スバルの友達
当の昔に亡くなっているスバル。ニコダイヤの力を失えば、仮初の命は消えるだろう。その少し前に、スバルの友達が黄泉路への付き添いに現れてくれた。次週、私はきっと泣く。
次回予告
次週最終回……その事実が私の前に付きつけられる。凄く嫌だ。なんかみんな、「お別れって表情している」のも寂しさに拍車をかけている。喋れなくなるとかないよなあ!? 不安なんですが! きっちりハッピーエンドを熱望します!
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