向精神薬の具体的減薬方法 漸減法と隔日法を考える
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次回は2024.10.9水曜日20時から
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『ゆっくり減薬ダイアローグカフェ』第6回のテーマは向精神薬の離脱症状とその緩和策について皆さんで考えます。
10月2日のふりかえり
向精神薬を減薬していくためには、ゆっくりと計画的に行うことがとても大事です。その理由は、向精神薬が依存性のある脳の薬だからですね。
10年近く減薬について取材してきて、本当に色々なタイプの当事者の方、回復者の方を見てきました。
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『ゆっくり減薬ダイアローグカフェ』第6回のテーマは向精神薬の離脱症状とその緩和策について皆さんで考えます。
そんな経験から思うのですが、向精神薬はすごく慎重に計算しながら、離脱症状に耐えながら減薬する人もいれば「なんとなく知らないうちにいらなくなった」というとてもラッキーな方もいます。また「薬は最小限でもやはり必要なので減らし方というより使い方を考えたい」と話す双極性障害の方もいます。
結局、その方の人生が、その方にとって満足なものになれば良いと思っているので、断薬を目指して一所懸命頑張っている方を応援する一方で、私も絶対に断薬だけがゴールだとは思っていません。
とはいえ、減薬を考えるためのカフェですので、今回は向精神薬の2つの具体的な減薬方法である漸減法と隔日法について考えてみました。
増田さやか医師の減薬に関するポリシーをベースに
トリセツのFAQにある監修者である増田さやか医師のポリシーを基本にこのテーマを考えていくことにしました。
上の画像の一番下の少し見えにくい部分「抗精神病薬は圧倒的にやめにくい薬である」という部分についてですが、増田医師のもとで抗精神病薬の断薬に成功した方が確かに複数存在しますが、体調が再び悪化する場合がないわけではなく、難しい薬であることは増田医師も指摘しています。
この問題については10月2日に参加していた精神科医のフルさんから、他の薬とは異なり抗精神病薬の減薬はかなりリスクがあり注意が必要という意見が出ました。
増田さやか医師インタビュー
漸減法と隔日法
漸減法と隔日法については、トリセツ↑に向いている人、向いている薬、良い点、難しい点をそれぞれについて記してあります。
薬の種類による選択の部分は変えられない条件ですが、毎日少しずつ減らすか、決められた日に少しまとめて減らし、減らす日を増やすかというのは、その人の感覚によって選択するということでいいように感じています。医師に相談できる場合は、このページを見せて。どのようにするのが向いているか相談するのもいいかもしれません。
また減薬のプロセスの中で、様子をみながら2つの方法を変更していくこともできるようです。
一般的にあまり減薬や離脱症状に詳しくない医師の場合は、隔日法で週1回4分の1ずつ減らしましょうといった方法を選ぶことが多いようです。
例えば神経眼科の若倉雅登医師の場合もベンゾによる薬剤製の眼瞼痙攣の患者さんに対しては、対象者には隔日法による減薬を支援しています。下記のインタビュー後半に若倉医師の減薬に関する考えがあります
減薬を行う時知っておきたい基礎知識
減薬を支援してくれる医師は増えてはいるというものの、多くの経験を持った医師はまだ少数と考えた方が良さそうです。このためあまり信頼関係ができていない医師に、減薬を相談して、完全にお任せしてしまうのはちょっと危険だと思っています。実際に患者さんの希望を聞いて、ベンゾなどについてパッと断薬に近い処方を書いてしまう医師もいるので要注意です。
2023年に一気断薬にご用心!という記事を書いています。
そこで、ゆっくり減薬するためには、最低でも自分の服薬している薬につい知っておいた方が良いです。ここでは3つのことを挙げておきます。↓このページで調べられます。
自分の薬について以下を調べておきましょう。
1 薬の種類
2 薬の力価(等価換算で調べることができます)
3 薬の半減期
中でも微量減薬に一番重要なのが、薬の力価でどのくらいの強さの薬をどのペースで減薬していくのかを決める具体的な目安になります。
また薬を別のものに置換する際にも、同じ程度の強さの薬に置き換えるために、等価換算を理解することは大切です。
等価換算は第2回にやっていますので詳しくはそちらを見てください。
特にベンゾをジアゼパムに換算する方法は、イギリスのアシュトンマニュアルなどで推奨されていますが、ジアゼパムの代謝酵素の問題などから、必ずしも日本人に向いていないのではという意見もあります。
第2回 自分の薬について調べる等価換算
支援してくれる医師が見つからないが減薬したい場合
「医師の許可なく薬の調整をしてはいけません」というのはよく聞きますし、確かに正しい一般論なのですが、減薬を治療と考えてくれない医師に受診している場合で、近くに頼れる医師が見つからない場合は、自分で減薬方法を考え慎重に減らしていくのも1つの方法だと思います。その場合医師には事後報告して結果が良ければそれなりに進むようです。
医師にしか薬の処方権がないので、知識のない医師に一気断薬されることはとても危険なことです。
また患者に寄り添って丁寧に減薬をサポートしている医師が異口同音に「減薬の感覚は医師にはわからないから患者さんが自分の感覚を大切にして調整できることが大事」と主体性を尊重して相談相手として伴走することが多いのです。
つまり頼れる医師はいた方がいい。でも頼りになる医師ほど、患者さんに調整を任せてくれるというのが現実です。
この本はワイパックスさんという当事者の方が、ご自身の減薬体験と方法をとても詳しく解説しています。なので、抗不安薬や睡眠薬などベンゾジアゼピン系薬を減らしたい方で医師は協力してくれそうもないけど減薬をしたいという場合にはこちらを一読すると良いのではないでしょうか?
減薬の協力者として薬剤師さんに期待
微量減薬を勧める時に、特に後半になり現実的な問題となってくるのは、どのようにして微量の薬を正確に作るかというテクニカルな問題です。
減薬に取り組んでいる医師たちは、その調整を薬剤の専門家である調剤薬局の薬剤師さんに委ねています。具体的には粉砕、軽量、カサ増し、分包化の袋詰めなどです。
薬剤の種類は異なりますが下の絵のような作業を行うことで微量の薬を準備することができるわけです。
薬剤師さんに色々なお手伝いをしていただくためにどうしても必要なのが「医師の指示」です(^^;;
薬剤師さんに聞いてみました。 ^ ^
質問1
隔日法を行う際に、医師の指示があれば、調剤薬局は「減薬する特定の日」の薬だけそ れに合わせた量でパッケージしてもらうことなどは一般的に可能なのですか?
医師の指示があれば可能だと思います。念のため指示された医師に確認した上で調剤を始めた いですね。病院薬局のように、パッケージが自動可能な分包機がある調剤薬局なら、日付(曜日も あれば望ましい)を印字し、当事者に手渡す際には、減薬する日付にマジックで印をつけて見やす くするやり方が望ましいですね。これは錠剤の指定日投与と同様のやり方で、薬剤師は当事者の 方に説明して薬を渡します。
質問2
漸減法を行う際に、医師の指示があれば、特に微量減薬の場合は粉砕可能な錠剤を粉 末化したり、乳糖を混ぜて、かさましをしてもらうことも可能と聞いていますがこの理解で良いで しょうか?乳糖が苦手な人にはビオフェルミンを粉砕するという話も聞いたことがありますが本当 にそうなのでしょうか?
錠剤を粉砕したり、あるいは微量なのでかさましして、有効成分を均一にする(顆粒は均一になら ないのでかさまししません)のはよくあります。1包あたりの量も施設内で決っております。当院は 一包あたり0.5gの乳糖またはデンプンを加えます。かさましのことを私たちは〝賦形する〟と言っ てます。 それと、乳糖が苦手な人に遭遇したことがないので詳細はわかりませんが、ビオフェルミンを加え ることが適切なのかどうか?整腸作用のあるビオフェルミンですので、別の薬剤に効能のある薬 剤を付加することに抵抗があります。別件ですが、糖尿病の方には乳糖が糖分なのでデンプンを かさましに使い分けしている施設もあります。デンプンだから血糖が上がらないのか?よくわかっ ていません。あくまでも慣習です。
質問4
こういった微妙な調整をしてもらうことについては、まず医師が減薬に協力してくれる状態 が前提となりますが、それがまだできていない場合、まず患者さんが減薬希望であることを、薬剤 師さんに相談した上で、専門の立場から医師とのコミュニケーションを支援してもらうということが できたらと思うのですがどうでしょう。
そうですね。医師次第だと思います。微量な減薬を治療の一環と考えていただけるならば円滑に 話が進むと思います。ある一定の期間処方薬を服用して、次の来院時に効果なしと判断し変薬す るような医師であれば、交渉の余地は少ないですね。またタイミングを見計らって疑義照会をしな いと受け付けない(あるいは受け付けにくい)医師とのコミュニケーションも難しいですね。しかしな がら薬剤師の立場で医師とコミュニケーションすることは薬剤師の責務だと思っております。
質問 5
薬剤師さんは薬に関してより深く広い知識、また飲み合わせや食べ合わせ、等価換算な どについてもさまざまな知識を持っていると思います。しかし日常の処方箋を介して薬をもらうとい う行為の中では、コミュニケーションする時間も短く、定型のやりとりに終始することが多く、減薬を 希望する患者さんも、その知識を活用しにくいという印象があります。向精神薬の問題だけに関わらず、健康管理や回復のために薬剤師さんと良い関係を持つためには患者側はどんなことをす れば良いでしょう?
調剤薬局では前後の患者さんとの兼ね合いもありますが、遠慮なさらず薬剤師を活用して いただければ良いと思います。良い関係を保つために、特段何かするとかではなく質問していた だけるだけで薬剤師はレスポンスあるはずです。地域によって差はありますが、調剤薬局さんに は〝かかりつけ薬剤師〟という制度も少し前からできました。これは、遠慮なさらずに気心の知れ た薬剤師さんにどんどん質問して下さいねと言った意味合いでできた制度ですので・・・
実際に減断薬している当事者の体験
ろくさんの場合 抗精神病を大幅に減薬
6,7年ほど前に、エビリファイ12→4ミリまで減薬(薬局で粉末にしてもらい2,3週に1ミリずつ)して酷かった強迫症状と睡眠障害が大きく緩和しました。
また現在までに、常用量離脱を最小にするため色々工夫し、最終的に薬(睡眠薬も)を細かく割って数時間ごとに一日中満遍なく飲む方法(良いかわかりませんが、増田先生の了承を得て)で離脱症状がかなり改善してきています。
現在生活を優先しエビリファイ4ミリステイ中です。(眠剤フルニトラゼパムについては初期から現在まで2ミリを減らせていません。何度か挑戦はしていますが)
Pさんの場合 6年かけてベンゾ系薬を水溶液減薬で微量ずつ断薬
順番はデパス→アモバン→ルネスタです
水溶液に粉状にした薬剤を拡散して細かい値での減薬をしていきます
減らしてから症状が安定したら進めるといった感じです。
もし症状がきつかったら薬の量を調整したりしていきます
最後は症状が全く無くなり断薬です。
最後が一番楽です。
意味がわかってない人が多いのですがテーパーリング(先細りにするという意味)最後に行くほど微量になっていきます
自分は最後はルネスタ0.00005mmでした
ちなみに最初に減薬したデパスは2剤の下支えがあるのでもっと大きな量で減らしていけます。
やっていくと必然的に最後に行く程微量になります
この方法は時間をかけた方が出来がいいです
最後雑になってしまわずに症状が消えるまでやっていた方ががいいです。
現在後遺症などは全くありません。
Tさんの場合 抗精神病薬を隔日法(ミニマム7週法)で減薬
減薬前
インヴェガ3mg 1日1錠 週7日
ヒベルナ25g1回2錠 1日3回 週7日
メイラックス1mg 1回1錠 朝晩
減薬開始時の薬
インヴェガ3mg 週6日 2週間
セレネース0. 75mg
ヒベルナ25g1回2錠 1日3回 週7日(以降同様なので省略)
メイラックス0.5錠 朝(以降同様なので省略)
メイラックス1錠 晩(以降同様なので省略)
ここから隔日法をスタート
インヴェガ3mg 週5日 2週間
セレネース0. 75mg
インヴェガ3mg 週4日 2週間
セレネース0. 75mg
インヴェガ3mg 週3日 2週間
セレネース0. 75mg
インヴェガ3mg 週2日 2週間(5/7~)
セレネース0.3mg
インヴェガ3mg 週1日 2週間
セレネース0.3mg
セレネース0.3mg
セレネース0.27mg 4週間(7/16~)
ヒベルナ50mg,25mg,50mg
セレネース0.24mg 4週間(8/13~)
ヒベルナ50mg,25mg,50mg
セレネース0.21mg 4週間(9/10~)←いまここ
ヒベルナ25mg,25mg,50mg
※以下が今後の予定だが、現在のところ離脱症状はなし
セレネース0.18mg 4週間
ヒベルナ25mg,25mg,25mg
セレネース0.15mg 4週間
ヒベルナ25mg,0,25mg
セレネース0.12mg 4週間
ヒベルナ0,0,25mg
セレネース0.1mg 4週間
ヒベルナ0,0,0
減薬には様々なアプローチがある
今回は抗精神病薬を大幅に減らしたろくさんと、ベンゾジアゼピン系3剤を微量の水溶液減薬でで6年かけて完全断薬したPさんに直接お話を聞きことができたが、隔日法で減薬中のTさんはその場にいなかったため、また機会を改めて詳しく
その体験を聞いてみたいと考えています。
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