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【映画日記 l love Cinema 】    カラーパープル

🔳監督 ブリッツ・バザウーレ
🔳主演 ファンティジア・バリーノ
🔳制作 スティーブン・スピルバーグ 他
★★★★★ (2024 0210)

人種差別・ジャンダー問題を超えて女性の友情・希望と再生についての物語


 映画の原作である小説はアリス・ウオーカーが1982年に発表した『カラー・パープル』という書簡形式の作品だ。(私は読んでいない。読もうと思う)
 この小説はスピルバーグが1985年に映画化して話題となり、その後ブロードウエイミュージカルとしてヒットしたという。
 ところで実は私は、“劇の途中で唐突に歌が始まるミュージカル”というのがあまり得意ではなかったのだが、この映画はパワフルな歌によってシーン自然にグイグイと進行していく素晴らしいミュージカル映画に仕上がっている。各シーンにはいつも歌声が必要で、歌うことに本当に必然性がある。小説→映画→ミュージカル→ミュージカル映画とそれぞれの創造性が見事に融合し、カラフルで私たちの魂を揺さぶる今日的な作品になっている。

女性同士の友情によってしか成し遂げられないこと


 映画の舞台は1902年から1950年のアメリカジョージア州。黒人女性の苦難に満ちた生活が描かれている。
主人公の黒人女性14歳のセリーは義理の父親に犯され出産、生まれたばかりの赤ちゃんを取り上げられ、無理やり黒人のDV男性の後妻にされ、殴られ蹴られ、奴隷のように扱われても、黙って耐えいつも暗い目をしている。
 
そんな彼女が、その街を出て自立して戻ってきた女性友達のミュージシャンとの交流によって少しずつ自分らしさを取り戻す。

主人公はある日、くっきりと自分は誰であるのかを見出し、自分を虐待する環境から逃げ出し、そして再生していく。

長年、白人によって搾取され虐げられてきた黒人の人々。そして人種差別の中に入れ子のように存在する黒人男性による激しい女性蔑視と暴力の存在。私はこれらを今回この映画で改めて認識して無知な自分を恥じながら画面を見続けた。
 
新しい時代を切り拓いていくために、黒人女性たちは、まずは同じ黒人である男性たちを変えていかなくてはならなかった。彼女たちは立ち上がり、歌い、叫び、権利を激しく主張する。

愛と友情で結ばれた女性同士がフィジカルに愛し合うシーン、性的な解放も肯定的にそして本当に美しく描かれていた。これは85年当時のアメリカでは描けなかったことのようだ。

映画はハッピーエンドを迎えるが、残念ながら、虐げられたものがより弱いものを虐げてしまう負の連鎖の形は、今日も私たちの社会で同じように続いている。

今、地球上で起きている悲惨な戦争に代表されるその負の連鎖を断ち切り再生するためのヒントは、きっと女性たちの連帯と、文化の創造性中にあると思う。

そしてもう一つ再生のために大切なことは、土とそこに根を張る木を囲み尊敬し守ることだ。

この大切なメッセージは、ずっと変わらず、私たちに向けられている。そのことはきっと映画を最後まで観るとわかると思う。これを感じるために、特に女性たちにこの映画を見てほしいと思う。

差別、暴力、戦争終わらせたいよね。


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月崎時央 編集
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