【ビジネス書を読む時間がない若手金融会社員・就活生向け!】ファイナンスの基本1
今回から、ファイナンスの基本について記載していきます
自社や他社の企業価値を算定する際に必要な知識となるため、ファイナンス業務が専門外の方にとっても知っていて損はないと思います
実務上は、投資ファンドや投資銀行のM&Aチーム、ファイナンシャルアドバイザー(FAS)が専門的な知見を保有しています
私自身も、投資ファンド在籍時は案件ごとに企業価値算定を実施していました
1. キャッシュフロー
キャッシュフローの定義
ファイナンス理論では、事業の経済性を評価するためのリターンの概念として、キャッシュフローが適切であると考えています
企業活動におけるキャッシュインからキャッシュアウトを引いた値となります
キャッシュフローの定義は幾つかパターンがあるものの、以下が代表的な定義です
CF=純利益+減価償却費-投資-運転資本増減
※運転資本:売掛金+棚卸資産-買掛金
※キャッシュフロー算出にあたっては、埋没費用(サンクコスト)は含みません。現時点から将来にわたって発生する経済的価値を算定するため、既に支払ってしまった研究開発費や市場調査費は考慮しないことが原則となります
2. 現在価値
現在価値とは
現在から将来に向かって継続する事業の経済性を判断するには、現在価値の考え方(時間軸の観点)が必要になります
現在価値を用いることで、あるビジネスの経済的価値を評価することが可能です
現在価値を式で示すと以下となります
Vo=Vt/(1+r)t
上記式のように、将来の経済的価値(Vt)を割引率(1+r)で割り、現時点の経済価値(Vo)に換算することを「割り引く」と表現します
割り引く数値(r)を割引率と呼びます
割引率の値は、資本コストとなります。資本コストは、資本の機会費用のことであり、ある投資をすることで他の投資機会を諦めることとなるので、その諦める代償として支払わなければならない費用のことです。あるプロジェクトへの投資資金調達にかけたコストとして理解することも多いです
永続価値とは
現在から将来に向かって継続する事業の経済性を判断するには、現在価値の考え方(時間軸の観点)が必要になります
ビジネスはGoing Concernという言葉があるように、長期的に継続するものと期待されます
従って、企業価値算定における期間も長期間で設定する必要があります
永続価値の定義式は以下です
永続価値=CF/r
割引率を5%とすると、100万円の永続価値は100/0.05=2,000万円となります
裏返しでは、「2,000万円を利子率5%で預金すると、毎年100万円の金利を永続的に手に入れることができる」ということになります
永続価値の定義式の応用として、成長永続価値の定義式があります
一定のキャッシュフローが毎年一定のパーセンテージ(g)で成長する場合の永続価値を指します
成長永続価値=CF/(r-g)
いかがでしたでしょうか
本日は、ファイナンスの基本として、キャッシュフロー、現在価値について記載しました
次回以降もお楽しみに!