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SONY α7S IIIで撮影した10bit映像を最大限に活かすためのFinal Cut Pro設定

SONY α7S IIIを使って撮影した10bit映像の編集と書き出し方法について悩んでいる方は多いと思います。別にSONYのカメラじゃなくてもいいのですが、とにかく10bit収録できるカメラが増えてきましたよね。

特に、「HDRで編集したほうがいいのか」「SDRで十分なのか」という点は、多くの人が直面する問題です。本noteでは、Final Cut Pro(以下FCP)を使った編集ワークフローの最適化について、具体的な設定方法を交えながら解説します。


HDRとSDRの基本的な違い

HDR(High Dynamic Range)

HDRは、広いダイナミックレンジと色域を持つ映像を可能にします。特にハイライトとシャドウのディテールが豊かになり、映像が鮮やかで印象的になります。YouTubeやNetflixなどのプラットフォームではHDRコンテンツが増えており、将来的な需要も期待されています。

SDR(Standard Dynamic Range)

一方、SDRは従来の標準的なフォーマットであり、すべてのデバイスで互換性が保証されています。視聴環境によらず安定した再現性を持つ点が魅力です。

SONY α7S IIIで撮影した10bit素材の編集ワークフロー

1. 撮影設定

  • 記録方式: XAVC S 4K

  • フレームレート: 30p

  • 記録設定: 140Mbps, 4:2:2, 10bit

この設定は、映像のダイナミックレンジや色再現性を最大限活かせるため、高品質な映像制作に最適です。

2. ライブラリ設定

  • FCPのライブラリ設定で、「Color Processing」を選択します。

    • HDRで編集する場合: Wide Gamut HDRを選択。

    • SDRで編集する場合: Standard Gamut SDRを選択。

ポイント: HDRで書き出さない場合、ライブラリ全体の設定をSDRにしておく方が効率的です。

3. プロジェクト設定

プロジェクト設定では以下の項目を調整します。

  • Rendering Codec:

    • Apple ProRes 422 HQ: 高品質でバランスが良い。

    • Apple ProRes 4444: さらに高品質ですが、ファイルサイズが増加。

  • Color Space:

    • SDRの場合: Rec.709

    • HDRの場合: Wide Gamut HDR Rec.2020PQ

ポイント: SDRで制作する場合でも、レンダリングコーデックを高品質にすることで、編集中のディテール損失を最小限に抑えられます。

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