自分の写真に飽きた時、写真を変える簡単な方法
こんにちは、常丸です。
長年写真を撮っていると、自らの写真に飽きる時ありますよね。
カメラマンが、自らの仕事に飽きちゃダメでしょという声が聞こえてきますが、どんな仕事でもそうだと思います。
どんなにクリエイティブな仕事でも、そこにはある種の継続があり、反復があります。
飽きる時は飽きるのです。
しかし、飽きても簡単にマンネリ化を脱出できるのが、フォトグラファーの良いところ。
今日はオススメの方法を紹介します。
カメラを変える写真家たち
僕は仕事柄というより、もともと写真家という存在、そして彼らが撮ってきた過去の作品を見るのが好きです。
ずっと同じカメラを使い続ける写真家もいれば、時代によってカメラをトントンと変える写真家もいます。
カメラを変えるということは、写真を変えるということで、意図やトーンやテイストまで、全てが変わってしまいます。
それは安易である反面、危険な部分でもあります。
同じカメラを使うのは、ブレッソンやロバートフランクが挙げられます。フランクはまだ生きていますが、ブレッソンは生涯ライカだったのではないでしょうか。写真を撮りたいというよりも「ライカをいつも手元に置いておきたいんだよ」という言葉も残っているくらいです。
マイロウィッツやフリードランダーも変えないですね。やはりストリートスナップの人は、変えない印象があります。機構上ライカが最もそれに適しているからでしょう。
カメラを変えるのはファッション写真家に多いような気がします。ステーブンメイゼルはmamiyaRBからペンタ67へと持ち替えたり、アニーリーボヴィッツはニコンやライカの35から、RBへと行ったり。
面白いのは、使っているカメラによって、同じ写真家でもテイストがガラリと変わることです。時代別に写真を見ていくと、なんかいつもと違うなと感じることがありますが、その時はだいたい使っているカメラが変わっていることが多いですね。
スナップ写真とは逆に、ファッション写真は常に新しいものを提示しなければならないので、彼らはカメラを変えることによって、それを成してきたのだと思います。
カメラを変える時のコツ
コツというほど大げさことでもないのですが、カメラを変える時のポイントが一つあります。
それは
異なるフォーマット、または異なる機構を持つものに変える
ということです。
どういうことか?
例えばフォーマットというのは、撮像素子(フィルム)のサイズのことです。
ニコンの一眼レフから、キャノンの一眼レフに変えたところで、写真はそんなに変わりません。
ニコンの一眼レフ(35mm判)で飽きたなら、トヨビュー(4×5)ハッセルブラッド(中判)や、リコーオートハーフ(ハーフ判)を使ってみるのです。
異なる撮像素子を使うだけで、レンズのスケール感が変わり、同じような被写体を捉えても写真が違って見えます。
また大判になればなるほど、カメラ自体も大きくなる傾向があるので、三脚が必要になったり、身軽に動けなくなったりします。
その制約が、異なる被写体や絞りを選ばせるので、写真が変わります。
そしてもう一つの機構とは、カメラの構造を意味します。
これは例えば、同じ35mmでも、ミラーを持つシングルレフレックスカメラの機構と、ライカのようなレンジファインダーの機構があるということです。
シングルレフレックス=一眼レフのカメラは、ミラーがあることで、レンズを通して世界を見ます。
ファイダーを覗いて見える範囲と、出来上がる写真はほぼ一致します。つまり正確なフレーミングが可能となります。
逆にレンジファインダーはフレームがあるだけで、レンズを通さずに世界を見ます。
ファインダーの範囲と実際に写る範囲には誤差があるので、ファインダーに頼らなくなり、自然とフレキシブルなフレーミングになります。(稀に、レンジファインダーでも穴の開くほど鋭く正確なフレーミングをする写真家もいますが)
レンジファインダーは写真に適度な”ゆるさ”をもたらしながらも、フレーミングにかける時間よりも決定的瞬間を優先することができることから、長い間スナップ系の人達に愛されてきたと言えるでしょう。
ライカ卒業、コンデジ入学
僕も先代の写真家たちを見習って、35ミリからシノゴまで、様々なフォーマットの様々なカメラを使ってきました。
ここ3年ほどはライカMP(フィルム)をメインとしていたのですが、制作システムを完全デジタル化したことにより、2017年の頭に廃止。
卒業と言えるほど使えてもいないのですが、ライカのスナップ機としての凄さを十分に体感しました。
Tokyo 2016 ©tokimaru
Harajuku 2016 ©tokimaru
Harajuku 2016 ©tokimaru ライカはストリートスナップに最適。やはり街中で今を生きる人間を撮りたくなる。
それからしばらく使っていなかったコンデジを再び使い始めている現在です。
その中のお気に入りはこれ。
「SIGMA DP」
初代DPから好きで、メリル、クワトロと使ってきました。
全くサクサク撮れない不便なコンデジです。癖がありすぎて、万人にはオススメできません。
これについてはまたいつか書きたい。
気づいたのは、コンデジって、シノゴ的な感覚を備えているなということです。
自然と、水平垂直をとってしまうんです。
Paris 2013 ©tokimaru
ファインダーが無い代わりに、背面の液晶でフレーミングを行います。これは、逆像で無いことを除けば、シノゴのカメラのスクリーンに像が写っている状況と同じなのです。
あと大きさは違う。シノゴは基本的に三脚必須。ピントもフレーミングも一枚切るのに時間がかかる。
コンデジはスクリーン式のフレーミングだけれど、片手で簡単に持ち運べる。
これ、フォーマットは35ミリなのに、機構はシノゴという、不思議と矛盾した状況が出来上がっていますね。
またこのカメラ(sigma DP)が遅くて色々と不便すぎるという点と、35らしくない描写力が、なおさらシノゴ的な状況を作り上げています。
まだまだ、研究・考察の余地がありそうですが、長くなりそうなのでこの辺で。
自分の写真に飽きた人や、スランプを感じる人は”カメラを変えてみる”
ぜひ試してみてください!
プロ向けのノートも連載中です。