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ラブジュース:1999年のマドレーヌ

昨年シネマヴェーラの特集にてロマンポルノを数本鑑賞、その異形な映画のかたちに衝撃を受けた。 このジャンル映画が、時代時代の空気をあからさまにスクリーンに映し出す力はドキュメンタリーやニュースを含めて古今、他のいかなる映像作品をも超越している。 例外はあっても一対一の男と女が主題である限り、ストーリーをリアリティをもって転がしていく上でその生活空間描写には力を入れずにはおれない、にもかかわらず低予算ゆえ現場はロケやゲリラ撮影中心となり、すなわち現実を「再現」する予算がないた

    • 呪怨:呪いの家が継承するもの

      何かで読んだのだが、Jホラーが出始めの頃アメリカ人はその怖さがわからなかったそうだ。物理的に危害を加えるでもない、ただボーっと佇んでるだけの幽霊は怖くもなんともないというのである。隣人が銃を携帯していること、そして人種間の対立が建国以来のアメリカの恐怖の源だとするならば、日本の恐怖を形作っているものは何だろうか? Jホラー創世期の最重要作品を3本挙げるならばそれは『女優霊』(1996年)、『リング』(1998年)、『呪怨』(2000-2003年)になるだろう。いずれも監督は

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