手話教室6日目

「今日は好きという表現を学びます」
おお、ドラマでよくあるやつ!なんて思っていたら存外深かった。

「まずは好きという手話です」そういいながら手をLの形にして首の前にもっていき、首を挟むように置く。そのまま手前に引きながら親指と人差し指をくっつける。
これはみんなできたようだ。

「次は大好きという手話です」そう言いながら、講師は手話で「好き」とあらわす。

「?」さっきと同じ手話だった。みんなが首を傾げたころ、講師は言った。

「いいですか、好きと大好きの違いは『顔』です」
「嫌いも同じです。嫌いと大嫌いの違いは『顔』です」

これには私も驚いた。
控えめな顔で「好き」とやれば、「まあまあ好き」、力強く「好き」とやれば「大好き」という言葉になる。

ということは。ドラマか何かで見る少し照れながら目をそらし「俺だってお前のこと大好きだから」なんてシーンは手話には無いのだ。
同じセリフを相手に伝えるには、必死な顔で相手を凝視し力強く手を動かし、まじめな顔でやらなければいけないということになる。なにそのあふれ出る格闘技感。

講師が「はい、みなさんでやりましょう。まずは『好き』です」
「はい、次に『大好き』をやってください」
そんなことを言われ指示に従うも、自分が今どんな顔をしているのかわからなくなっていく。できれば鏡が欲しいところだ。
「違いますよ、そんな笑顔の「大嫌い」はいけません。ほらもう一度」

「はい、『好き』『好き』『大好き』はいお上手です」

もはやカオスである。


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kut
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