新人デザイナーさんに伝えたい10のこと
みなさん、こんにちは!ふくだです。
4月に入り、環境が変わった方も多いのではないでしょうか。
新しいスタートをきったみなさん、おめでとうございます!
今回はそんな新しい環境にとびこんだ新人デザイナーさんに向けて「やっといたらいいんじゃないかなー!?」もしくは「やらんほうがいいんじゃないかなー!?」な10のことを送りたいと思います!
私は独立するまでに2社経験し、グラフィックデザイナーとして従事してました。その経験をもとにまとめてみました。主には会社員デザイナーに向けてになりますが、フリーランスなりたてのデザイナーにとっても参考になる事柄もあります。
少しでもこれからの成長につながれば幸いです。
1.メモをとる
新しい環境になると仕事場の多くのルールがあったり、複数の仕事が同時に進行します。中には「その場で頭に入れる」ことができる人もいますし訓練をすれば全てをメモしなくても整理できるようになります。新しい環境になり、多くのことを同時に進行させつつ、職場のルールを覚えていくのは結構大変で頭に入れたつもりでも忘れてしまうことも多いです。
その際には、「メモ」を有効活用しましょう。
ポイントはメモに夢中にならないこと。
相手の話を聞くことよりもメモをとることに集中しちゃうと意味がありません。
案件を依頼された際、例えば
・納期や形状、サイズなどなど基本情報を箇条書き
・コンセプトや想いなどはしっかり話を聞きながらキーワードをメモ
中には一言一句書き起こす方もいるんですが、それってメモすることが目的になっちゃって、本質の部分をつかめないまま話が終わる可能性が大なので、最低限であったり、自分がここはポイントだ!と思うことはメモしていくのがオススメです。
打ち合わせだけではなくて、先輩からソフトの使い方やデザインのポイントなど技術的に教えてもらう場合もでてくるかと思います。後から「あれなんだっけ?」がないようにメモして、記憶が新しいうちに設定したり実際に手を動かしてみましょう。
色々な考えの方がいますからマナーとしては一言、メモをとっていいかどうかを確認して書くのがいいかなと思います。
2.質問する
打ち合わせ中、知りたい情報が出てこない場合や補足が必要な場合があります。
仕様の話など基本情報はもちろん、話を聞いていくうちに分からない単語や内容について「どういう意味?」「もう少し詳しく知りたい」と感じた箇所については質問してみましょう。
「メモをする」にも書きましたがメモをするだけに集中してしまうと自分の中の疑問点や理解できていないところについて気づけないので、注意してください。
打ち合わせ以外にも質問するタイミングはたくさんあると思います。
一旦自分の席に戻りまとめていくうちに新しく疑問点が出たりすることもあります。その場合は放置せずにすぐに質問しましょう。
内容によっては、自分の今までの作業がすべて意味がなかった…ってことになりかねない、プロジェクトを進める上で重要なポイントだったなんてこともあります。
また、相手から出てきた基本的な情報について、マストで守らないといけないものなのか確認するというのも一つ。
ちょっと具体的な話をいくつか。
例えば「A4のチラシ作って!」と言われた場合、相手の中に「チラシといえばA4」という常識があるだけかもしれません。
それだけがA4という理由だったら…ちょっともったいない。
置き場所や配る場所は?ターゲット層は?
郵送で送る?それは定型サイズの封筒?
それより前に、
「なぜA4なのか?」
「なぜそのプロジェクトをしようとしたのか?」
「なぜそのターゲットなのか?」
パッケージデザインや商品のデザインをすることもあるかもしれません。
印刷し、量産する会社が決まっている場合も多いです。
どうやって印刷するのか…。例えばフルカラーで印刷できるのか、1色なのか。
色数や印刷範囲の制限があるのかなどなど先にクリアにしておきましょう。
お仕事をしていく上で「なぜ?」がたくさん出てくると思います。
この「なぜ?」を大事にしてみてください。
また、打ち合わせや普段の会話の中や職場以外でも知らない話や単語がたくさんでてくると思います。
以前は「こんなことも知らないの?」なんて思われることが嫌で後から調べたり「知ってますよ」感を出したりしてました。
けれど「正直、"知ったかぶり"して良いことってなんもないな?」とあるとき気づいたんですね〜。なんの得にもならんという。むしろ色々その場で質問してコミュニケーションした方が自分の世界が広がりますし楽しいです。
3.すぐにパソコンに向かわない
正しくは「すぐにパソコンを立ち上げてデザインしない」です。
「なんとなくでデザインしない」ためになんですがまずは打ち合わせ後に、内容を改めて自分で整理しましょう。
デザインするために私はいつも調べることと手書きのラフからはじめます。
例えば「お祝いの意味を込めた和柄の箸置き」であれば
"箸置き"の役割、"祝いの模様"、"その模様が持つ意味"、"箸置きを使う場面"、"お祝いの場面"などを調べていきます。
フリーランスになると調べる内容はかなり広範囲になり、その分提案できる幅も広くなります。会社員の場合は担当する範囲がきっちり分かれている場合も多いです。
2.の「質問をする」で「どこまでが自分の担当か」は確認しておくのをオススメします。
私の場合は「調べる」と「ラフを描く」を同時に行う場合もありますし、
「調べる」に集中した後に「ラフを描く」場合もあります。
私の場合、アイデアラフは白いA4用紙を使ってひたすら描いていきます。
バラバラの白い用紙だと机の上で広げて取捨選択もできるからです。
自分がやりやすい方法を見つけてみてくださいね。
4.「自分好み」のデザインをしない
たまに、自分の「やりたい」ように作ってしまう方がいます。
美大などの授業ではどちらかというとコンセプトから全て自分で設定し、デザインをすることが多いです。
実際の仕事にはそれぞれにいろいろなテーマや制限があります。
営業さんがいたり、代理店が介していたりと間に人が入ったり。
求められているのは見た目のデザインのみということも。
中には「え、なんで?」という内容の依頼もあるかもしれません。
打ち合わせ内容や相手からの質問の答えを聞いたとしても自分の中で消化できないこともあります。
共通のコンセプトや前提を"勝手に"ひっくり返してデザインをするのはただの暴走です。自分の「好きなデザイン」が明確にある方、自分のデザインにこだわりがある方、それ自体はいいことなのですが注意が必要です。
ラーメン屋で塩ラーメンを注文してステーキが来たら「えええええっ!?」ですよね。まずは塩ラーメンをしっかり作りましょう。
もし余力があれば…B案として進化系ラーメンを提案するのはありだと思います。
自分の「好きなデザイン」の前に相手がどんなデザインを求めているかは忘れてはいけないポイントです。
5.進行状況を見せる
デザイン提案までの間、悩むことも多いかと思います。悩むまでは行かずとも「この方向性でいいのか?」と思うこともあるのでは。そういうときは一人で抱え込まずにプロジェクトチームのメンバーに状況を伝えてみましょう。
チームメンバーがいない場合は上司や先輩デザイナーに。
アドバイスをもらうこともありますし、状況によっては再度打ち合わせが必要になるかもしれません。
「このデザインどう思いますか?」といろんな人に聞くのも良いと思います。自分の目だけではなく他人の目を通してわかることも多いです。(ただし、オープンにしてはいけない情報を取り扱うことの方が多いのでその辺りは気をつけて)
過程を見せることを怖がらずに行うことで、方向性に間違いがないかであったりスケジュールはこのままで問題ないかなど随時確認することができます。
余裕を持って進行するためにも早めに状況の共有をすることが大事になってきます。
6.俯瞰でみる
まず前提として仕事には納期があります。
インハウスデザインの場合は時と場合によってはリスケが可能ですが基本厳守です。
もっと時間をかけたらいい物ができるかもしれない…と誰もが思いますしデザイナーであれば細かな部分の調整の積み重ねが全体のクオリティに繋がることは知っています。
"完璧"を目指すのはいいのですが納期があるその中でできるベストを目指して進行していくことも大切です。
その際にポイントになるのが「俯瞰でみる」こと。
特に新人デザイナーの場合は、俯瞰でみることを忘れがちです。
細かな箇所にばかり集中していまうと全体のバランスが崩れることになります。
俯瞰で見ること、細部を見ること、両方のバランスをうまくとりましょう。
私の場合、細部から作らず大枠からデザインして少しずつ全体のクオリティをあげていくようにしています。
7.煮詰まった時は外にでる
もし作業中に煮詰まった時…または集中力が切れた時…。なんとなくマウスを持ってデザインをあれこれこねくり回しがちなんですが、一旦パソコンから離れてみましょう。
お手洗いやコンビニへ、もし許されている環境ならば外に出て散歩でも良いかもしれません。または調べ物として本を読むであったりストレッチなどなど。
他のプロジェクトも持っている場合はそのデザインに手をつけるのもありです。
煮詰まった時はとりあえずその場から動く。長時間、集中力は続きません。
なので息抜きはうまくしていきましょう。
8.見る、体験する、考える
デザインにはインプットしたものがあらわれると思っています。
それは今までどんなものを見てきたか、です。
デザインについての知識を増やすことや技術習得もですが、
いろいろなデザインを"見る"ことも大切です。
本屋やお店、散歩中、電車の中で…いろいろなデザインが溢れています。
その際に
・なんでこのデザインになったのだろう?
・自分ではどうするだろう?
・このデザインの良さはどこから来てるんだろう?
・このデザインが好きな理由はなんだろう?
など考えながら見ていくこともオススメです。(仕事のONとOFFがありますが私の場合はその境がかなり曖昧になっています。デザイナーさんはそういうかたが多いのでは…)
そして、良いなと思ったデザインから得たことを自身のデザインに取り入れてみましょう。実際に手を動かして行くことが大事です。
実際に手を動かすことで新たな発見があります。
そしてもう一つ。
デザイン以外の世界を知ること。
興味があることには思い切ってその世界に飛び込んでみましょう。
興味を持って調べてみたり、体験してみたりしましょう。
見てきたもの、体験したものの蓄積がアウトプットとして出てきます。
それは何も一般的にオシャレでセンスがある!ことでなくて構いません。
9.逃げてもいい
ちょっとこの項目だけ他の項目と毛色が違います。
もしも、新しい環境が苦しくて苦しくて仕方ない場合。
逃げてもいいです。
デザイナー業界は激務と言われています。
いわゆるブラック企業も多いです。
ブラック企業でなくても自分にどうしても合わない会社というのもありますし、入社前の印象と全然違う会社だってあるでしょう。
正直、激務を経験して揉まれて揉まれて大成した方も多いですし、独立した方も多いです。しんどい経験があったからこそ何かを掴んでいく、学んでいくこともたくさんあります。デザインの仕事は達成感もありますし喜んでもらえると嬉しいですし、楽しいことも多いですが決して「楽」な仕事ではありません。
私自身、激務を経験し、一度はデザイナーをやめようと思ったこともありましたし心療内科に通ったこともあります。そのあと独立しました。(このことはおいおいnoteに書くと思います)
人それぞれ成長するスピードも違えばキャパシティも違います。
モラハラ、パワハラを始めブラックな企業はおいときますが、そうではない企業の場合…
自分自身がとてもしんどい場合は心と身体が壊れる前に一度立ち止まって考えてみてください。
心と身体を壊してまでいなければならない環境ってなんだろう?って話なので。
何かが壊れてしまうような状況ならば、逃げて大いに結構。むしろ逃げるが勝ちだと思います。
「辛抱が足りん!」「そんなんじゃどこに行ってもダメだ!」なんて言う人もいるかもしれませんが…その人はあなたの人生に責任をとってくれません。
あなたの人生、あなた自身が長い目で見ていきましょう。
けれど、まだ頑張れる、まだ粘りたい!と闘志を燃やせるならば…逃げずにとことん向きあう。これもめちゃ大事。とことんやった先に掴めるものはあります。
どちらにしても、選択するのはあなたです。
けど、本当に辛い場合に、逃げてはいけないなんてことはないので。あなたの世界はその会社だけじゃないです。あなたの評価もその会社からの評価が全てじゃないです。
デザイン会社を辞めた中にはデザイナーが向いていないんじゃないか…と思う人もいます。デザイナーに向いてないというわけではなく、その環境が自分に合ってないだけかもしれません。デザイナーと一言で言っても広告、プロダクト、Webなど様々な職種があります。「好きなのは広告だったけど自分に合っているのはWebだった」なんてことも。
人間、可能性は無限大だと思っています。もちろん物事には向き不向きはあるけれどやってみないとそれすら分からないですよね。
(退職をする前に社内に設置されているコンプライアンス窓口など相談できる場所や人がいればまずはそちらに。もしそのような窓口がない場合、労働局などへの相談も検討しましょう。この辺りは調べたらたくさん情報出てくるので一人で悩まずに。)
10.本を読む
新しい考え方を知るのに良いのが本です。
このnoteもいち個人の考えのもとに書いています。
世の中には同じような考えの方もいれば全く別の考えの方もいます。
その考えが自身にぴったり合うかどうかも人それぞれ。
本もそうですね。自分には合わないなーと思う本もあればこれが私のバイブル!って本もあります。悩んでいたことが吹っ飛ぶことも合ったり次の日から実践できるようなことが書いている本に出会えることもあります。
一つの意見や考え方だけではなくいろいろな人のいろいろな考え方を知っていくことをオススメします。
私が考える新人デザイナーの時にこれを読んでたらなあー!と思った本を3冊紹介します。今回はデザインのテクニックではなく仕事に対する考え方の本の紹介です。また改めてオススメのデザイン書籍についてはまとめようと思います。
書店で見かけたらぜひ手にとっていただき、中身を少しみてみてください。
良いかも!?って思ったらぜひ読んでみてくださいね。
そのほかにもたくさん仕事への向き合い方やデザイン論についてなど多くの書籍があります。これも出会いなので自分自身に合った本が見つかりますように。
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まとめ
ここまで読んでくださりありがとうございました!
デザインは一人で考える場合、チームで考える場合とありますが一人で考える場合でもクライアントがいる限りコミュニケーションは一番大事なことです。
今回のnoteで書いた事柄の多くはいかにコミュニケーションをとっていくかがポイントになっていくと思います。
そして、自身の知識や経験を増やすこと。これも欠かせないことです。
あくまで私が思うことなので違う考えの方もいると思います。
もし読んでいただいた中で参考にしてみよう!と思った方が一人でも多くいれば嬉しいです。
読んでくださりありがとうございます! ご支援いただいたものは、書籍購入と紙、印刷サンプル購入として大切に使わせていただきます^^