2022芸術の秋③音楽祭に吹くそよ風
3年ぶりの「芸術の秋」
今年は、久しぶりに「芸術の秋」を実感できる慌ただしく充実した秋を過ごしました。少しずつですが、印象的だった出来事を記しておきます。第3回はこちら。
薩摩川内市合同文化祭・音楽祭に出演
2022年11月3日(祝)、川内駅のお隣に新しくできたSSプラザせんだいにて開催された薩摩川内市の合同文化祭・音楽祭に、薩摩川内市東郷で活動する「そよ風シンガーズ」とともに出演。
そよ風シンガーズ
鹿児島県薩摩川内市ののどかな町・東郷で活動しているシニア合唱団。元々は男声が数名いての混声3部合唱を主に活動しており、私が出会ったのは確か2012年頃。メンバーのおひとりが私の別の合唱団の演奏を聴いて「うちにも来てみない?」と声を掛けてくださったことがきっかけ。鹿児島市に暮らす私にとっては毎回がやや遠出の出張も、地方で頑張る合唱団とご一緒できる機会はなかなか無く、当時は本当に駆け出しペーペー鼻垂れ小僧だった私、二つ返事で頷いたことを覚えている。
とにかく明るいんだ
出会って約10年。メンバーもそこそこ入れ替わったのに、不思議と変わらないこと。この人たちは、とにかく明るい。性格も表情も声色も。とにかく明るいそよ風。正直なところ音楽的な技術に長けているわけではないし、音符が読めず楽譜は歌詞カード!だと開き直っている人もそこそこいると思う。
だがとにかく明るい。出会った頃も、女声合唱団にスタイルを変えた今も、変わらず明るい。いつも明るいから、チラッと練習を覗きにきた人も、お客さんも、その世界に遠慮なくグイッと引き込んですぐ仲間にしてしまう。人類みな友達。なんなんだろう、この魅力。指揮者を務めながら、うまく言葉で説明できない。とにかく「人間の力」をやたらと感じるグループ。薩摩川内のおおらかな自然で育まれた人間力なんだろうか。
さすがに苦しんだコロナ禍
そんなそよ風ももれなくコロナの渦に巻き込まれ、とても苦しんだ。シンプルにコロナは怖い。練習会場の使用許可が下りない。練習できない。集まれない。定例のステージなんて全部吹き飛んだ。そうこうしている間にも時は流れ、引退することを選んだメンバーもおられる。リアルに自然消滅の足音が近づいている、そんな時期もあったことと思う。
それでも諦めなかった勇者たちが、不遇の時にもメンバーに電話をかけ世間話をしたりしながらつながりを持ち続け、再開の時を待った。
2021年12月に試験的に活動を再開。感染拡大ですぐまた中断するも、2022年4月に再再開。少しでも人が集まりやすいようにと活動時間を日中に変え、地道に広報も行い、狙った獲物は逃さない(見学に来てくれた人を得意の明るさで引き込む)といった努力が実を結び、奇跡的にメンバーも増え!私に容赦なく鞭打たれながら、ようやくこのステージに立つことができた。約3年ぶり、新生そよ風シンガーズ、デビューの日。
懐かしの歌たち
懐かしの唱歌や童謡、歌謡曲の合唱アレンジものなどが好きなこのグループ。今回演奏したのは、
♪花の街
♪ゴンドラの唄
♪木綿のハンカチーフ
元々、年間で3曲程度をじーっくり歌いこむペースだったところにかなりハイペースで詰め込んだけれど、笑い飛ばしながらよくついてきてくださった。次のステージがあるかどうかなんて分からない。とにかく今あるチャンスを逃すまい!この人たちの歌声を響かせたい届けたい、そんな思いで駆け抜けた数ヶ月。そしてこの日、今できる精一杯をやり遂げたような気がしている。
やっぱり明るいんだ
ステージを終えて。みんなで撮った写真をとても気に入っている。やっぱりみんな、明るいんだ。