見出し画像

もっと抑揚をつけて話すと良いと思います

「もっと抑揚をつけて話すと良いと思います」

これは私が保健師になって初めて健康教育を行ったとき、事後アンケートにあったコメントです。

行政保健師になりたての頃、町内の公立高校からの依頼で性教育を行うことになりました。
まったく得意分野じゃなくて、何をどう話せば良いかもわからなくて、人前で話すことに苦手意識もあって。

保健所の保健師さんに相談して、教えていただいた内容をそのまんまお話ししました。

事後アンケートには「とても勉強になりましたが、もっと抑揚をつけて話すと良いと思います」と書かれていました。

このコメントを見て、高校生たちに対してとても申し訳なくなりました。

どのような経緯で、役場の保健師に性教育を依頼してくれたのか。
どんなことを期待しているのか。
終了後、会場がどんな雰囲気になって欲しいか。

事前に高校へ出向いて打ち合わせはしたものの、今思えばこのような肝心なことは何も聞けていなかったように思います。
まったく魂ののらない話を高校生に聞かせてしまいました。


人前で話すって難しい。
誰かに何かを伝えるって難しい。

この一件から、できるだけ人前で話す仕事は避けたいと思いました。


それを見かねた上司から「保健師さんは話すのが仕事だから頑張ってね」と言われました。

上司は保健師ではなく事務職だったので、健康教育の内容や進め方についてのアドバイスはいただけませんでしたが、この上司の一言が私の心にそっと火をつけてくれました。笑


保健師をしていると、否が応でも「人前で話す」機会はたくさんやってきます。
最初は、緊張→本番→落ち込むのループ。

ですが、少しずつ場数を踏んでいくと、「別に上手く話そうとしなくても、良いのではないか」と思えるようになりました。
いい意味で肩の力が抜けて、苦手だった「人前で話すこと」は少しずつ面白くなり、好きな仕事に変わりました。


自治体の福祉まつりの記念講演会でメンタルヘルスをテーマにお話


企業でのメンタルヘルス研修


趣味で取得した資格も活かして、薬膳教室




今では研修講師のお仕事をいただけるのがとても幸せです!
「耳ではなく、心に届ける」をモットーに、自分も楽しみながらお話ししています。

「もっと抑揚をつけて話すと良いと思います」

今でも時々、このコメントを思い出します。
このコメントがなければ、ここまで健康教育への思い入れはなかったかもしれません。

あのときの高校生に感謝ですね。


余談ですが、お笑い芸人さんのように、日々健康教育のネタ探しをしています。
気づいたことはなんでも書くノート、これが私のネタ帳です。






いいなと思ったら応援しよう!