就職希望から大学進学した話
僕は、内気な性格から学校に馴染めなかった。
また、家庭も兄弟が4人と多い上に親の年収も高いとは言えないため、資金的にも厳しく、大学に進学する気など高校に入るまでは全くなかった。
だが、高校に入ってから少し考えが変わった。よりによって中途半端に学校での成績が良く、高2の夏に担任に大学進学を勧められたのがきっかけだ。しかし、元は就職しようと思っていた僕があと1年で一般受験で受かるわけがない。担任もそう思ったのか担任は地元の某中堅私立大学の指定校推薦を勧めてきた。もちろん、親は猛反対。うちに私立に行かせるお金などない。と。
だが、猛反対されたことで反骨心が芽生えた。僕はあまりお金がない家庭に育ったことから全て我慢して育って来た。周りがゲーム機を持っていても買えないから我慢、周りが塾に通っていても通うお金がないから我慢、僕は「制限」されて過ごして来た。その時、ここで反抗して大学に行かなければ一生、「制限」された人生を歩むという謎の直感がした。
また、僕が現在、目指している国家資格を取るには大学に進学するのが一番の近道だと思ったことから
大学進学を高2の夏に決意した。前置きが長くなったが、やっとここから本題に入る。
しかし、何も定まってない。志望校も定まってない
取り敢えず、資金面の問題から私立は排除して学費が安い国公立の学校に絞った。だが、受験の際、私立は3教科で良いが、国公立は5教科必要らしい…。
高校受験もまともに勉強せず、定員割れ寸前の高校を受け、就職をしようと過ごしていた高校2年生が今から5教科の入試勉強をするのは余りにも酷だった。
絶望しつつもダメ元で担任に相談すると私立だけでなく国公立にも推薦入試というものがあり、共通テストすら要らない小論文・面接のみの入試方式すらあるらしい。それを聞いた僕は真っ先に一般受験を捨て推薦入試に全振りした。なぜ、推薦入試に勝ち目があるかと思ったのか、それは僕の高校生活にある。就職をしようと思っていた僕はなるべく良い企業に入ろうと資格取得や部活に力を入れていた。
自慢じゃないが、資格もある程度社会に通用する資格は取得したし、部活も文化系マイナー部活ではあるが、個人で県ベスト8の成績を残したりしていた。
推薦入試の目的はいわゆる勉強だけができる生徒ではなく、勉強が少しできて、かつ個性がある生徒を獲得することである。(あくまで僕の私見)
つまり、僕のような資格や部活に力を入れていた生徒にはうってつけの入試方式なのである。
そんな事を考えている間にあっという間に1年が経ち、高3の夏になった。夏休み、しっかり勉強しよう
そう思ったはずなのにアニメ好きの血が騒いだのか
ABEMAの「化物語シリーズ全話一挙無料放送」を見ていた。八九寺真宵が歌う「帰り道」や「君の知らない物語」は僕の高校時代の青春ソングであった。
そんなこんなで迷走しつつも入試対策を進めた。
入試方式はもちろん推薦入試で小論文・面接のみ。
理由は単純で5教科やる能力がなかったからである。
一応、書類にも配点があるが、配点が低い上に部活の実績などから、自信があったのであまり意識をせずに小論文と面接に力を入れることにした。
小論文対策。運動音痴のため、消去法で幼い頃から本を読んで過ごし、学生時代は国語がほぼオール5だった僕にとっては正直言って容易だった。しかし、流石は大学入試。テーマは難しい。何ページも文章があり、そこから要点を読み取った上で、自分の考えを書かなければ行けなかったり、逆に問題文が「少子化問題を改善するにはどうすれば良いか、具体例を用いながら1000字以上で自分の考えを書きなさい」しかないような問題など、どんな問題が出るか分からないし、具体例を用いてかかないと行けないので、一般常識的な知識も問われる。
何から手を付ければ良いのか分からないので取り敢えず、過去問を解きまくった。全ての傾向に対応できるようそれぞれ問題の傾向が異なる何個かの大学をピックアップし、その問題をすべて解いた。結果的に、過去問を解きまくった事でこれだけ過去問を解いたから行けるだろ!という自信に繋がった。
やはり、過去問は偉大である。
次は面接対策。部活や学校生活も比較的、真面目に過ごしていた事から面接には自信があった。しかし、1つ問題がある。それはコミュ症ということだ
学生時代、学校に馴染めず、ほぼ友達がいなかった僕にコミュニケーション能力などあるはずがない。
なので、まずは知らない先生に面接練習を頼むということをした。本番の面接官も知らない人だろうし、コミュ力を磨くには知らない人と話すのが一番だと思ったからだ。コミュ力は磨けるものらしい。不思議にも最初こそ緊張して言葉が出なかったものの、最後の面接練習では初見の先生に堂々と話せて太鼓判を貰う程に成長した。コミュ力を磨くには、とにかく人と話すことが重要だと知った。
そして、あれよあれよという内に入試本番。
倍率はざっと見る限り2.5倍と言ったところ。狭い門ではあるが一般入試よりは低いだろうからと考えると緊張がほぐれた。最初は小論文からだった。問題内容を明かしすぎると大学バレするかもしれないので、内容は伏せるが予想した通りのテーマだったので意外とスラスラと書けた。しかし、緊張もあり、「〜である。」「〜だ。」調や算用数字と漢数字の使い分けなどと言った小論文特有の様々なルールを確認しながら書くと意外にも時間が足りず、少し不完全な論述になってしまった。
落ち込みつつも、面接で挽回するしかないので面接に向かった。面接官は教授と入試広報課の職員だった。入試広報課の職員は基本的な質問をしてくるが、教授がかなり厄介だった。平気でよく分からない専門用語を交えて意見を求めてくるし、口調も少し圧迫気味だった。しかし、これに屈するのが一番良くない。相手もペースを崩そうとしてやって来ている。これに屈さず自分のペースに持ち込み、いかに自分の伝えたいことを相手に伝えられるか。
これが本当の「コミュ力」であると僕は思う。
屈さなければ意外にも何とかなるものであり、最初は真顔だった教授の表情に終盤は笑顔すら現れ始めた。僕は小論文に少し失敗しつつも、面接には手応えを感じ、入試会場を後にした。
約2ヶ月後、入試結果が出た。もちろん結果が出るのは平日の朝の9時。学校の授業中だ。偶然にもこの日は1時間目が自習だったため、スマホを開き、静かに結果を確認した。「合格」という2文字。思わず声が漏れた。周りの生徒が振り向く。幸いにも近くの席に友人が居たのでスマホ画面を見せると祝福してくれた。それに呼応するように周りの生徒も祝福してくれた。
桜が舞う4月、僕は満面の笑みで入学式に向かった。
ちょっとしたあとがき
この文章は空きコマに1時間弱で書いた駄文である。
ちょうど約1年前に入試対策をしていたことを思い出してふと書き殴ったもの。
題材的に高校生にかなり参考になる話だと思う。
高校生に読んでもらい、今後の進路の参考にして欲しいな。と思い、投稿に至った。参考にしてくれたら、とても嬉しいです!