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NYリレー小説プロジェクト
マイキーとイーストヴィレッジの住人たち 第6話(リレー小説・有料編)
第六走者: 福島 千里
リサの懸念は現実となった。 住民たちの間で“2階に響き渡る老人の独り言問題”は噂となって瞬く間に広がっていったのだ。
「深夜に笑い声とか、迷惑だわ」
「1人暮らしが長すぎてとうとうキレちゃったとか」
「たまに叫んでるらしいぜ」
「うわー、怖っ!」
「誰と話してるんだろうね」
「幻覚とか、はたまた幽霊とか・・・」
「気味が悪い!」
噂とは常に無責任なものだ。誰かが発した一言に、ありとあらゆる尾びれ背びれがつき、それは吹聴する者たちの間でおもしろいように誇張され、広がっていく。さらに集合住宅という狭い空間においては、隣人の噂ーーとりわけネガティブな噂は多くの人にとって時に美味しい燃料となる。 階下でしばしば耳にするようになった住人たちの会話に、ジョセフィーヌはニヤリと口角を上げた。
ーー計画通り。
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